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23. 宮廷へ
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しばらくそうしていたのだけれど、はたと気づいて慌ててルドの胸を押して、距離を置く。と、周りは何故か人だかりになっていて。
「ルドフィカス様、良かったですねぇ!」
「本当に!お幸せに!」
「ルドフィカス様をよろしくね!」
「綺麗な人だねぇ、幸せにね!」
民衆がそう口々に声を掛けてくれる。なにがどうなっているの!?
でも、なんとなく思うの。ルドって、柔らかい雰囲気がにじみ出ているもの。本当は、慕われている皇帝陛下なんじゃないかしら?
「止めてくれよ、エルヴィーラが困っているじゃないか!」
ルドが、笑いながらぐるりと見渡して皆に言うと、民衆もそれに応えるかのように笑いながら、『はいはい!』『じゃあ皆帰るか!』などと言って、散り散りに去って行った。
あとに残ったのは、ルドと私。どちらからとも無く顔を見合わせると、ルドが照れたように言葉を発した。
「済みません…皆、僕の事が心配なようです。頼りない皇帝ですから。」
「そんな事ないわ!ルドは皆に慕われているのよね?見られていたのは恥ずかしかったけれど、なんだかルドの家族というか、親戚のおじさんおばさんみたいだったわね!」
私がすぐにそう言うと、
「親戚のおじさんおばさんというのは確かに分かりますね。僕は、兄と比べられるのが嫌でいつも帝都に来ていたり、帝国軍に入ってからも帝都の警備にあたっていたりしてましたから。皆、小さな頃から僕の事を知っているのですよ。」
と言った。そして、
「済みません、時間を取ってしまいました。さぁ、行きましょう!エルヴィーラ。」
そう言葉を続け、ルドは私の手を取り、宮廷へと歩き出した。
それにしても…ルドが私のお相手の、皇帝陛下だったとは。
こんなに親しみやすい人だなんて。
帝国の皇帝っていったら、もっと恐そうな冷徹な感じの人かと思ったわ。
「ねぇ、ルドはどうして、自分の役職を言わなかったの?」
「え?」
「初めの自己紹介の時よ。」
「あぁ…僕、エルヴィーラには昔、話をした事があったのですよ。その時も自分が皇帝とは言わなかったですがね。あの時は怖くて言えませんでしたが、今回は、皇帝陛下としてじゃなくて一人の人としてお互いを知りたかったのです。結果、エルヴィーラが自然に接してくれたから良かったと思っています。」
そう言われたので、なるほどと思った。
私も、ルドから『皇帝陛下です。』なんて言われたら、畏まらないと、とか余計な事を考えた気がする。だからきっと、これで良かったのだわ。
そう結論付け、だんだんと近付いてくる宮廷に思いを馳せた。
☆★
「おや、ルドフィカス様!?」
「暫く見ないと思ったら、そう言う事でしたか。」
「親睦は深められましたかな?」
宮廷に辿り着き、ルドに中庭や廊下に飾られた絵の説明を受けながら進んでいくと前から三、四十代位の人達が三人やって来てそうルドに声を掛けた。
「あぁ、まぁね。そうだ。急だけれど、臨時議会を開きたい。もう皆、帰ってしまったか?」
「ほー!そうですな。皇帝陛下のお言葉とあれば、皆、飛んで来ますぞ。」
「では、済まないがそうしてくれ。」
そう言うと、三人は顔を見合わせて、途端に笑顔になって、
「はい!承知致しました!!」
「すぐ準備致します!」
「ではまた後ほど!」
「「「御前、失礼致します!!!」」」
そう言って、元来た廊下を戻って行った。
「はぁ…。あいつらが重鎮だ。面倒な事は早く済ませないとだからね。エルヴィーラの事を議会で紹介してもいい?」
「え!!…はい。」
とうとう来たのね…でも確かにそうね。宮廷に来たんだもの。私が、皆が思う〝エルヴィーラ様〟ではない事をきちんと白状しないといけないわよね。銀獅子だからって、帝国軍に入って指揮を執れと言われても私、無理だもの。
そう思って、腹を括らないとと思った。
「緊張してしまいますよね。とりあえず、僕の部屋へと行きましょう。」
そう言って、またルドは進み出す。
そういえば、宮廷に入る時の門番との応対の時からずっと、手を繋がれたままだったわ。そして、今重鎮の方々と話している最中も。
(重鎮の方々どう思ったのかしら。)
まぁ、でも、上手くいくのを願うしか無いなと思いながらルドの後を付いていった。
「ルドフィカス様、良かったですねぇ!」
「本当に!お幸せに!」
「ルドフィカス様をよろしくね!」
「綺麗な人だねぇ、幸せにね!」
民衆がそう口々に声を掛けてくれる。なにがどうなっているの!?
でも、なんとなく思うの。ルドって、柔らかい雰囲気がにじみ出ているもの。本当は、慕われている皇帝陛下なんじゃないかしら?
「止めてくれよ、エルヴィーラが困っているじゃないか!」
ルドが、笑いながらぐるりと見渡して皆に言うと、民衆もそれに応えるかのように笑いながら、『はいはい!』『じゃあ皆帰るか!』などと言って、散り散りに去って行った。
あとに残ったのは、ルドと私。どちらからとも無く顔を見合わせると、ルドが照れたように言葉を発した。
「済みません…皆、僕の事が心配なようです。頼りない皇帝ですから。」
「そんな事ないわ!ルドは皆に慕われているのよね?見られていたのは恥ずかしかったけれど、なんだかルドの家族というか、親戚のおじさんおばさんみたいだったわね!」
私がすぐにそう言うと、
「親戚のおじさんおばさんというのは確かに分かりますね。僕は、兄と比べられるのが嫌でいつも帝都に来ていたり、帝国軍に入ってからも帝都の警備にあたっていたりしてましたから。皆、小さな頃から僕の事を知っているのですよ。」
と言った。そして、
「済みません、時間を取ってしまいました。さぁ、行きましょう!エルヴィーラ。」
そう言葉を続け、ルドは私の手を取り、宮廷へと歩き出した。
それにしても…ルドが私のお相手の、皇帝陛下だったとは。
こんなに親しみやすい人だなんて。
帝国の皇帝っていったら、もっと恐そうな冷徹な感じの人かと思ったわ。
「ねぇ、ルドはどうして、自分の役職を言わなかったの?」
「え?」
「初めの自己紹介の時よ。」
「あぁ…僕、エルヴィーラには昔、話をした事があったのですよ。その時も自分が皇帝とは言わなかったですがね。あの時は怖くて言えませんでしたが、今回は、皇帝陛下としてじゃなくて一人の人としてお互いを知りたかったのです。結果、エルヴィーラが自然に接してくれたから良かったと思っています。」
そう言われたので、なるほどと思った。
私も、ルドから『皇帝陛下です。』なんて言われたら、畏まらないと、とか余計な事を考えた気がする。だからきっと、これで良かったのだわ。
そう結論付け、だんだんと近付いてくる宮廷に思いを馳せた。
☆★
「おや、ルドフィカス様!?」
「暫く見ないと思ったら、そう言う事でしたか。」
「親睦は深められましたかな?」
宮廷に辿り着き、ルドに中庭や廊下に飾られた絵の説明を受けながら進んでいくと前から三、四十代位の人達が三人やって来てそうルドに声を掛けた。
「あぁ、まぁね。そうだ。急だけれど、臨時議会を開きたい。もう皆、帰ってしまったか?」
「ほー!そうですな。皇帝陛下のお言葉とあれば、皆、飛んで来ますぞ。」
「では、済まないがそうしてくれ。」
そう言うと、三人は顔を見合わせて、途端に笑顔になって、
「はい!承知致しました!!」
「すぐ準備致します!」
「ではまた後ほど!」
「「「御前、失礼致します!!!」」」
そう言って、元来た廊下を戻って行った。
「はぁ…。あいつらが重鎮だ。面倒な事は早く済ませないとだからね。エルヴィーラの事を議会で紹介してもいい?」
「え!!…はい。」
とうとう来たのね…でも確かにそうね。宮廷に来たんだもの。私が、皆が思う〝エルヴィーラ様〟ではない事をきちんと白状しないといけないわよね。銀獅子だからって、帝国軍に入って指揮を執れと言われても私、無理だもの。
そう思って、腹を括らないとと思った。
「緊張してしまいますよね。とりあえず、僕の部屋へと行きましょう。」
そう言って、またルドは進み出す。
そういえば、宮廷に入る時の門番との応対の時からずっと、手を繋がれたままだったわ。そして、今重鎮の方々と話している最中も。
(重鎮の方々どう思ったのかしら。)
まぁ、でも、上手くいくのを願うしか無いなと思いながらルドの後を付いていった。
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