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お妃試験 2

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「続いて、精霊の力を見定める。無理な人は退出してよろしいので言いなさい!では、入って参れ!」
と、先程試験の始まりを言った人と同じ進行役の男性がまた言った。

広場に足に包帯を巻いた人、腕に包帯を巻いて首に吊る下げている人、担架に乗せられて運ばれてくる人がさまざま入って来た。

「今から、ここにいる人達を治してもらう。この試験を放棄する者は、お帰り願おう。あちらの出口で係員に言いなさい。もちろん、これを放棄すれば試験も放棄したと同義である事をお忘れなく。」
さあ、と、出口を指さすと、数人立ち上がって出口へ向かう。

「まぁ、無理もないわね。あんなに怪我人が来ては。帰りたくもなるわ。だって見て!血を流している人もいるわ!」
と、お母様は言っている。

「でも、どう?キャサリンはちゃんと残っているかしら。」
あら。無理もないって言っているのに、キャサリン姉様は残ってって、少し酷くはございませんか?

「どうだろうな。結構減ったな。でも、王太子殿下は治癒の力がある精霊がお好みなのか?精霊といっても、種類があって治癒の力が使えない精霊もたくさんいるだろうに。」
なるほど。そういえば精霊にも使える力に種類や、使えない力があるものもいましたわね。

私の傍に居る精霊達はたいていいつも傍にいる精霊や、たまに顔を出す精霊でがいるけれど、だいたい私が言うお願い事は誰かが聞けるからそんな事考えた事も無かったけれど、お父様も確か精霊に選ばれたんだったわよね。それでそう言ったのですね。

お姉様の精霊は、どの力に特化しているのでしたっけ。しばらくお会いしていないから、忘れてしまいましたわ。

「あ、残っているわね!あの奥の方に、真っ赤なドレスを着たキャサリンがいたわ。」
お姉様真っ赤なドレスにしたんですか!?

今日は試験なので、ラフなワンピースを着ている人が半分ほど。もう半分はお母様みたいにこれから夜会でも行くというような、ドレスを着ている人がもう半分ほど。
お姉様はその後者の半分に区分されるわけね。

見ると、残った人は半分ほどに減っていた。まだ出口には受付をしているのか長い列になっている。が、粗方席を立ったのでいいと思ったのか、
「では、座っている人達はこの試験を受けるという事でよろしいですね?」
と進行役の男性が言って、それぞれの座っている人達の顔を見た。

「異論は無さそうなので、では、そちらの列から。順番に立って、こちらに来て下さい。」
と、背の小さな子の列から行うと言った。
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