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お妃試験 3

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その1番小さな背の列は、5人だった。
一人ずつ、怪我人の列に向かい合わせになって、正面の人を治すそうだ。怪我の種類はまちまち。
その5人の内3人は治したみたい。3人に当たった人達はお礼を言っている。
あとの2人は、少し痛みがひいたけどしっかり治っていないみたい。
やはり、精霊の種類によって特化する力が違うからかしら?
5人とも、白い光は出ていたような気はするけれど。

「まぁ!小さくてもさすが選ばれた子達ね!!」
お母様。そうですわね。小さくてもというのは関係がないと思いますけれどね。でも精霊と円滑に気持ちのやりとりが出来ているのは素晴らしいですわ。
そういえば、お母様は精霊に選ばれ無かったのでしたっけ。だから選ばれる事は素晴らしい事だと思ってらっしゃるのよね。


と、終わった人達は出口に案内され、広場から出て行った。
そして、また少し大きな背丈の子どもの列と、負傷者の列と順番にやっていった。
最後の列になり、キャサリン姉様もやっておりました。

「キャサリンも、無事治せたみたいよ!」
お母様はずっと見ていたみたいで、お父様に言っていた。
キャサリンお姉様は観覧席を見て、私達を見つけたのか手を振っている。

「ああ。試験は終わったのかな?では帰ろうか。」
「ええそうね!キャサリンには声を掛けられないの?」
「残念ながら掛けられないだろうな。私達はあちらには行けないし。帰りにケーキでも買って行くか?」
「まぁ!あなた。いいわね!そうしましょう!キャロル、行くわよ!」

「はい、お母様。」

そしてふと広場を振り返って見ると、一人、こちらの方をじっと見ている男性がいた。先程の係員の一人だろうと思われるが遠目だから良く分からない。金髪なのはかろうじて見えたが。

「あ!行かないと!」

思い出したように、私はお母様達の後を追った。




☆★☆★☆★

「お帰りなさいませ。お妃試験はどうでしたか?」
部屋につくと、クロエが聞いてきた。
「うーん、良く分からなかったわ。なんか、テスト用紙みたいなのを配って解いていたのと、負傷者を治す試験だったの。」
「なるほど。治癒の力を見たかったのですかねぇ。」
「お父様も、そうおっしゃっていたわ。」
「そうですか。別日にも行うのですか?」
「いいえ。聞いてないわ。」
「そうですか…。ではどう合否がわけられるのですかねぇ。」

「ねぇ、それよりもお父様とお母様って今夜出掛けたりする?」
「そうですね、夜はオペラ鑑賞に行かれるそうですよ。」
「やった!じゃあ夜はこっそり出掛けましょう。」
「なりません!ここは王都です!!」
「じゃあクロエも行きましょう。」
「無理です!!」
「ドナルドには、私と同じ部屋で寝るって言っておけばいいのよ。」
ドナルドは、このタウンハウスの執事だ。

「そんな!…うまくいきますかね?」
お、クロエ悩み始めてきたわね。もう一押しだわ。

「じゃあ今から私が言いに行くわ。その方が伝わるでしょ!」
「ええ!?」
「いいから!クロエは今から、自室から町へ行く用の服を持ってきておいて。あ、靴もよ!その後、夜ご飯は少なめにしてって伝えてね。お金は、持ってきてるから外で買って食べましょ!」
うふふ。王都は夜も店がやっているものね。せっかく来たのだし一度行ってみたかったのよね。楽しみね!
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