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4. 新しい住まい
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「まぁ…!素晴らしい部屋ね。こんなに素敵でいいのかしら。」
「気に入って下さいましたか。お好きに手を加えて宜しいと伺っておりますから、何なりと仰って下さい。」
結婚式がどうにか終わり、私は一人、馬車に乗せられ、王都から一時間程走ったベンディクス公爵家の数ある領地の一つで、かなり小さな領地だそう。
今は私の部屋だと言われた、一番奥の部屋に連れて来られた。
ベンディクス公爵家の王都にあるタウンハウスには、まだお義父様とお義母様が滞在するみたいで、数日してベンディクス公爵家の一番大きい領地のカントリーハウスに帰られると言っていた。
一緒にそこに住むのかと思っていたけれど、どうやら違うみたいだわ。
結婚式は、陛下から言われた言葉を賜るというもので、呆気なかった。
けれどその後、参列して下さった人達へお礼を述べ、更に王宮の正門の上にある見張り台へと上がると、一般庶民達がかなりの数こちらを見て手を振ったり、声を掛けてくれたりしていた。私とアンセルム様はその人々に応えるように手を振った。
公爵家であるから、そうやって庶民にも結婚したとお披露目するようで、全て終わってこの屋敷についたのは、すっかり日が暮れてからだった。
屋敷は、公爵家の物だと言っていたけれど、ソランデル領の屋敷よりも小さく、私の部屋の物は新しく揃えてくれたようだけれど、それ以外の物は年代物のような感じだった。
私に先ほど返事を返してくれたのは、へレーナ。今日から私付きの侍女だそう。
へレーナは、生きていればきっと私のお母様と同じ位の年齢だと思うわ。頼りになりそうだと思ったの。
部屋は、南向きでとても日当たりが良く、ベッドも手足を広げて寝てもまだまだ余裕がある感じで、とっても大きいわ。一人で寝るには淋しく感じる位の広さ。
でも、壁紙も落ち着いた感じで、強いていえば布製のカーテンがワインレッドの色で、見た目もとても重厚感があるので、もう少し軽めに見える色合いのものがいいと思ったけれど、それはおいおいね。
「朝から一日お疲れでしたでしょう。ゆっくり湯に浸かりますか。」
「ええ、入りたいわ。」
「では、すぐにでも行きますか?」
「え?もう準備してくれているの?」
「はい。ここの領地は何も無いですが、お湯だけは、其処彼処にありますから。」
「まぁ!素晴らしいのね!お湯って沸かすの大変だもの。とてもいい領地ね!」
「そうでございますか?確かに、お湯は沸かさなくてもいいですが…けれども、それしかない領地ですから…。しばらくはこの領地でゆっくり滞在していただく予定ですが、何も無くて申し訳ないほどです。」
誇れる領地だと思うけれど、それしかないと言えばそうなのかしら。
「ですので、ここは公爵領ではありますが、領主はおりません。税金も領民の好きな物を納め、細々とではありますがきつい取り立てもなく過ごしております。」
「そうなの…。」
「あ、申し訳ありません!湯が冷めてしまいますね。さぁ、お風呂はこちらです。冷めていたら温かいお湯、すぐにお持ちしますからね。」
そう言って、お風呂場へと案内してくれるへレーナ。
お風呂場は、私専用らしく入りたい時にいつでも言えば準備してくれるそうで、本当に素敵だと思う。明日、そのお湯がどうなっているのか見せてもらおうかしら。
だって、先ほど、其処彼処にある、と言っていたもの。湧き水と同じようなものかしら?
「え…!すごいのね!!」
お風呂場は、浴槽が床と一体化していた。床をくり抜いて、そこに湯を張ったというべきか。
私の実家では、浴槽は脚付きのバスタブで、またいで入る形であったからとても驚いたわ!
体を洗う場所も隣にあり、ここのお風呂は床に入り込む感覚がして面白いと思ってしまった。
(これも、地域が違うからかしら。面白い発見だわ!)
アンセルム様とは夫婦となったハズなのに全く実感が湧かない私は、この領地で何か出来る事を見つけてみようと思いながら、一人では広すぎるお風呂にゆっくりと入った。
「気に入って下さいましたか。お好きに手を加えて宜しいと伺っておりますから、何なりと仰って下さい。」
結婚式がどうにか終わり、私は一人、馬車に乗せられ、王都から一時間程走ったベンディクス公爵家の数ある領地の一つで、かなり小さな領地だそう。
今は私の部屋だと言われた、一番奥の部屋に連れて来られた。
ベンディクス公爵家の王都にあるタウンハウスには、まだお義父様とお義母様が滞在するみたいで、数日してベンディクス公爵家の一番大きい領地のカントリーハウスに帰られると言っていた。
一緒にそこに住むのかと思っていたけれど、どうやら違うみたいだわ。
結婚式は、陛下から言われた言葉を賜るというもので、呆気なかった。
けれどその後、参列して下さった人達へお礼を述べ、更に王宮の正門の上にある見張り台へと上がると、一般庶民達がかなりの数こちらを見て手を振ったり、声を掛けてくれたりしていた。私とアンセルム様はその人々に応えるように手を振った。
公爵家であるから、そうやって庶民にも結婚したとお披露目するようで、全て終わってこの屋敷についたのは、すっかり日が暮れてからだった。
屋敷は、公爵家の物だと言っていたけれど、ソランデル領の屋敷よりも小さく、私の部屋の物は新しく揃えてくれたようだけれど、それ以外の物は年代物のような感じだった。
私に先ほど返事を返してくれたのは、へレーナ。今日から私付きの侍女だそう。
へレーナは、生きていればきっと私のお母様と同じ位の年齢だと思うわ。頼りになりそうだと思ったの。
部屋は、南向きでとても日当たりが良く、ベッドも手足を広げて寝てもまだまだ余裕がある感じで、とっても大きいわ。一人で寝るには淋しく感じる位の広さ。
でも、壁紙も落ち着いた感じで、強いていえば布製のカーテンがワインレッドの色で、見た目もとても重厚感があるので、もう少し軽めに見える色合いのものがいいと思ったけれど、それはおいおいね。
「朝から一日お疲れでしたでしょう。ゆっくり湯に浸かりますか。」
「ええ、入りたいわ。」
「では、すぐにでも行きますか?」
「え?もう準備してくれているの?」
「はい。ここの領地は何も無いですが、お湯だけは、其処彼処にありますから。」
「まぁ!素晴らしいのね!お湯って沸かすの大変だもの。とてもいい領地ね!」
「そうでございますか?確かに、お湯は沸かさなくてもいいですが…けれども、それしかない領地ですから…。しばらくはこの領地でゆっくり滞在していただく予定ですが、何も無くて申し訳ないほどです。」
誇れる領地だと思うけれど、それしかないと言えばそうなのかしら。
「ですので、ここは公爵領ではありますが、領主はおりません。税金も領民の好きな物を納め、細々とではありますがきつい取り立てもなく過ごしております。」
「そうなの…。」
「あ、申し訳ありません!湯が冷めてしまいますね。さぁ、お風呂はこちらです。冷めていたら温かいお湯、すぐにお持ちしますからね。」
そう言って、お風呂場へと案内してくれるへレーナ。
お風呂場は、私専用らしく入りたい時にいつでも言えば準備してくれるそうで、本当に素敵だと思う。明日、そのお湯がどうなっているのか見せてもらおうかしら。
だって、先ほど、其処彼処にある、と言っていたもの。湧き水と同じようなものかしら?
「え…!すごいのね!!」
お風呂場は、浴槽が床と一体化していた。床をくり抜いて、そこに湯を張ったというべきか。
私の実家では、浴槽は脚付きのバスタブで、またいで入る形であったからとても驚いたわ!
体を洗う場所も隣にあり、ここのお風呂は床に入り込む感覚がして面白いと思ってしまった。
(これも、地域が違うからかしら。面白い発見だわ!)
アンセルム様とは夫婦となったハズなのに全く実感が湧かない私は、この領地で何か出来る事を見つけてみようと思いながら、一人では広すぎるお風呂にゆっくりと入った。
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