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20. 夜会
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「夜会があるんだ。俺は職業柄、いつ何があるか分からないから、あまり行かないんだが……明日は王太子の婚約披露なんだ。だから、一緒に行ってくれるか?」
そのように言われた私は、苦手だけれどとうとう社交があるんだと思った。
公爵家ですものね。従兄弟である王太子様の婚約披露とあれば欠席はダメよね。
といいますか、アンセルム様は今日もこの邸へ帰ってこられ、一緒に夕食を食べている時に言われたの。
帰って来て下さるのは、夫婦なのですから嬉しいけれど、先日討伐軍が遠征から帰ってきてから毎日よ。どうされたのかしら?
アンセルム様の部屋、私の一つ間を開けた隣で、客室みたいなの。どうやら私の部屋の方が大きいのですって。交換して下さいと言ったのだけれど、『今はこれでいいんだ』って押し通されてしまったわ。いいのかしら…。
「はい。アンセルム様もあまり参加されないのですね。私もほとんど行った事ないので…頑張りますね!」
「頑張る?無理しなくて良いんだ。」
「え?でも、公爵夫人として、頑張らないといけませんよね?」
「あぁ…それか。そうだな。だがまぁ、大丈夫だろう。」
そう言われたけど、頑張らなくても大丈夫だという事かしら?いえ、そんな事ないわよね。
☆★
「ほう………素敵だよ。素晴らしいね。」
夜会当日。
アンセルム様は、午前中だけ王宮で仕事をしてきて、昼過ぎに帰ってきたの。その時、すでにアンセルム様は着替えていたので、出迎えた時はこれもまた目を見張る程。どんな美丈夫かと思うくらい似合っている軍服だわ。
今日は、結婚式で着用されたのとは違う黒に近い紺色で、左胸に叙勲されたバッチが幾つもついていた。
同じような軍服ではあるのに、威圧感がないのは何故かしら。
「これからは、ここに俺の荷物を持ってこないとな。向こうから着て来るのは面倒なんだ。」
と言われていた。
それなら、会場も王宮なのだし現地で待ち合わせした方が…?と思ったけれど、エスコートされず、会場に入る次期公爵夫人って良くないわよね?と思い直した。
私の準備も終わって、馬車に乗る為に玄関ホールへと下りていくとアンセルム様に先ほどの言葉を言われ、なんだかとても恥ずかしくなった。
「あ…ありがとうございます。アンセルム様も、とても良くお似合いです。」
「そうか?スティナの隣にいるには、軍服よりも普通のタキシードにしたかったのだが、軍服だと馬に乗っても動きやすいんだ。今度からは、タキシードにすればスティナと隣に居てもしっくりくるよな。」
私の事を考えて下さったの!?
ちょっと驚いてしまったけれど、軍服でも充分素敵ですわよ。
「ど、どちらでも素敵ですわ。」
「そう?そう言ってもらえて良かった。さぁ、行こうか。」
「はい!」
なんだか、以前にも増して優しくエスコートもしてくれるような気がするのだけれど…?どうして…?
でも、放っておかれるよりは嬉しいからいいのですけれど。
…だけど、好きな方がいるのですよね……それを考えると何故だか心がチクチクと痛んだ。
王宮に着くと、私達は会場まで進むのだけれど、アンセルム様は早速いろんな方から声を掛けられているわ。
でもその時、さり気なく私の腰に手を添えて紹介してくれるので初めは緊張していたけれど、だんだんと慣れてきたのよ。
今日の午前中も、所作をしっかりと復習してきたから大丈夫よね?ちゃんと、次期公爵夫人として上手くやれているかしら。
会場のダンスホールまで来ると、正面の壇上に、一段と煌びやかな金のタキシードを着た男性と、綺麗に着飾った白色に金の縁取りをされた豪華なドレスの女性がいて、話し出す所だった。
「せっかくだから、前へ行こう。」
アンセルム様にそう言われ、エスコートされながら前へと進んだ。
「皆、良く集まってくれた。今日は私の息子であるヴァイセルの婚約披露会だ。ヴァイセル、来なさい。」
壇上にいるのは、国王陛下と王妃様だったようで、ヴァイセルと言われた殿下が、一人の女性を連れて上って来た。
「クリスタ様!?」
私は、幼い頃のクリスタ様そっくりな鮮やかな波打ったような金髪の女性を見てそう呟いてしまった。
大きくなってからは会う事は無かったけれど、変わらない髪色で、笑った顔は最後に会った八歳の頃そっくりだったもの。
「皆さん、僕はこれより兼ねてから愛を育んできた彼女と婚約し、半年後に結婚をする事とします。彼女は皆さんもご存じの通り、クリスタ=セーデルホルム。僕らを、どうか温かく応援してくれると嬉しい。」
そう言うと、クリスタ様もゆっくりと頭を下げた。
「相変わらずお綺麗…!」
私が呟いていると、アンセルム様が私の顔を覗き込んで声を掛けられた。
「スティナは、クリスタ様と従姉妹であったか?」
「はい!恐れ多くも、幼少の頃冬の間だけですが、一緒に過ごさせていただいておりました。と言っても、その時は良く分かっておりませんでしたが。」
「……そうか。挨拶に行こう。」
王太子のヴァイセル殿下の挨拶が終わると、陛下が『これからも我が王家を支えて欲しい。今日は皆、ゆっくり楽しんでいってくれ。』と言って、音楽が流れ始めた。
壇上には椅子が四つ準備され、陛下と王妃様、ヴァイセル殿下とクリスタ様がお座りになられ、参加者は爵位順に挨拶を交わす事となっている。
公爵家であるアンセルム様と一緒の私も必然的に早く挨拶となる為、前の方に来ていたというわけだったのね。
アンセルム様は国王夫妻に私を紹介して下さり、私も記憶が無いほど緊張したけれどどうにか挨拶が出来たみたいだわ。
次に、アンセルム様はヴァイセル殿下とクリスタ様の前へ行き私を紹介して下さった。
「あぁ、君が噂の〝奥方〟だね。君のおかげでこの前の遠征は早く帰って来れたよ、ありがとう。」
「え!?わ、私は何も…。」
「ヴァイセル殿下!変な事を仰らないでいただきたい!」
アンセルム様、珍しく大きな声で焦ったように話されているわ。
「フフフ…スティナ、ずいぶんと会って無かったけれど、元気だった?」
クリスタ様は私を見てとても優しく微笑みながら声を掛けてくれた。
「クリスタ様!はい。クリスタ様は相変わらずお美しく、目を見張るほどです。」
「まぁ!やだわ、スティナ。そんな言い方はなんだか他人行儀ね。昔のように接して欲しいわ。せっかくこうやって会えるようになったのだもの。」
「で、ですが…。」
「スティナ殿。クリスタは昔からお転婆だったのだろう?僕からもクリスタと仲良くしてやって欲しいな。公爵家でもある彼女は心からの友達がいないんだよ。」
「あら、ヴァイセル。そういう言い方は失礼よ?まぁ確かに私は昔も今もお友達はいないの。スティナだけよ、私の隠れんぼに根気よく付き合ってくれたのは。」
「…懐かしいです。」
「ふふふ。またお話しましょ?あ、またスティナの水、飲ませてね?」
「気休めでよろしければ…。」
「何言ってるのよ!あなたの魔力は優秀よ?私いつもスティナの水で怪我を治してもらったでしょ?あーあ!私も魔力があったらよかったのに!」
「クリスタはいつもそう言うね。魔力なんて無くても君は魅力的なんだから気にしないんだよ?」
そう恐れ多くも、話していると、横にいた従者が『そろそろ…』という合図を出してきた。確かに、まだ挨拶の列は長いもの。私達がずっと独占して話しているわけにもいかないわね。
「…済まないね。また話そう。二人とも幸せにね。」
「ヴァイセル殿下もクリスタ様も、お幸せに。」
「スティナ、またね。幸せにしてもらうのよ?」
「はい。クリスタ様もお幸せに。」
そう言い合って、アンセルム様が私をエスコートして壇上から降りた。
この後は、中央部の広間で流れている音楽に合わせてダンスをしてもいいし、お喋りに興じてもいいみたい。
私はどうするのだろうと思ってアンセルム様を見上げると、ちょうどアンセルム様も私を見たところだったようで視線が合い、微笑み掛けてくれて言った。
「スティナ。どうする?帰るか?」
「え?もうですか?帰っていいのでしたら…でも、アンセルム様は?」
「俺か?別に一通り挨拶は出来たしな。それよりもスティナと話したいんだ。スティナが満足したなら帰ろうか、俺達の邸に。」
え?お、俺達の!?
そのように言われた私は、苦手だけれどとうとう社交があるんだと思った。
公爵家ですものね。従兄弟である王太子様の婚約披露とあれば欠席はダメよね。
といいますか、アンセルム様は今日もこの邸へ帰ってこられ、一緒に夕食を食べている時に言われたの。
帰って来て下さるのは、夫婦なのですから嬉しいけれど、先日討伐軍が遠征から帰ってきてから毎日よ。どうされたのかしら?
アンセルム様の部屋、私の一つ間を開けた隣で、客室みたいなの。どうやら私の部屋の方が大きいのですって。交換して下さいと言ったのだけれど、『今はこれでいいんだ』って押し通されてしまったわ。いいのかしら…。
「はい。アンセルム様もあまり参加されないのですね。私もほとんど行った事ないので…頑張りますね!」
「頑張る?無理しなくて良いんだ。」
「え?でも、公爵夫人として、頑張らないといけませんよね?」
「あぁ…それか。そうだな。だがまぁ、大丈夫だろう。」
そう言われたけど、頑張らなくても大丈夫だという事かしら?いえ、そんな事ないわよね。
☆★
「ほう………素敵だよ。素晴らしいね。」
夜会当日。
アンセルム様は、午前中だけ王宮で仕事をしてきて、昼過ぎに帰ってきたの。その時、すでにアンセルム様は着替えていたので、出迎えた時はこれもまた目を見張る程。どんな美丈夫かと思うくらい似合っている軍服だわ。
今日は、結婚式で着用されたのとは違う黒に近い紺色で、左胸に叙勲されたバッチが幾つもついていた。
同じような軍服ではあるのに、威圧感がないのは何故かしら。
「これからは、ここに俺の荷物を持ってこないとな。向こうから着て来るのは面倒なんだ。」
と言われていた。
それなら、会場も王宮なのだし現地で待ち合わせした方が…?と思ったけれど、エスコートされず、会場に入る次期公爵夫人って良くないわよね?と思い直した。
私の準備も終わって、馬車に乗る為に玄関ホールへと下りていくとアンセルム様に先ほどの言葉を言われ、なんだかとても恥ずかしくなった。
「あ…ありがとうございます。アンセルム様も、とても良くお似合いです。」
「そうか?スティナの隣にいるには、軍服よりも普通のタキシードにしたかったのだが、軍服だと馬に乗っても動きやすいんだ。今度からは、タキシードにすればスティナと隣に居てもしっくりくるよな。」
私の事を考えて下さったの!?
ちょっと驚いてしまったけれど、軍服でも充分素敵ですわよ。
「ど、どちらでも素敵ですわ。」
「そう?そう言ってもらえて良かった。さぁ、行こうか。」
「はい!」
なんだか、以前にも増して優しくエスコートもしてくれるような気がするのだけれど…?どうして…?
でも、放っておかれるよりは嬉しいからいいのですけれど。
…だけど、好きな方がいるのですよね……それを考えると何故だか心がチクチクと痛んだ。
王宮に着くと、私達は会場まで進むのだけれど、アンセルム様は早速いろんな方から声を掛けられているわ。
でもその時、さり気なく私の腰に手を添えて紹介してくれるので初めは緊張していたけれど、だんだんと慣れてきたのよ。
今日の午前中も、所作をしっかりと復習してきたから大丈夫よね?ちゃんと、次期公爵夫人として上手くやれているかしら。
会場のダンスホールまで来ると、正面の壇上に、一段と煌びやかな金のタキシードを着た男性と、綺麗に着飾った白色に金の縁取りをされた豪華なドレスの女性がいて、話し出す所だった。
「せっかくだから、前へ行こう。」
アンセルム様にそう言われ、エスコートされながら前へと進んだ。
「皆、良く集まってくれた。今日は私の息子であるヴァイセルの婚約披露会だ。ヴァイセル、来なさい。」
壇上にいるのは、国王陛下と王妃様だったようで、ヴァイセルと言われた殿下が、一人の女性を連れて上って来た。
「クリスタ様!?」
私は、幼い頃のクリスタ様そっくりな鮮やかな波打ったような金髪の女性を見てそう呟いてしまった。
大きくなってからは会う事は無かったけれど、変わらない髪色で、笑った顔は最後に会った八歳の頃そっくりだったもの。
「皆さん、僕はこれより兼ねてから愛を育んできた彼女と婚約し、半年後に結婚をする事とします。彼女は皆さんもご存じの通り、クリスタ=セーデルホルム。僕らを、どうか温かく応援してくれると嬉しい。」
そう言うと、クリスタ様もゆっくりと頭を下げた。
「相変わらずお綺麗…!」
私が呟いていると、アンセルム様が私の顔を覗き込んで声を掛けられた。
「スティナは、クリスタ様と従姉妹であったか?」
「はい!恐れ多くも、幼少の頃冬の間だけですが、一緒に過ごさせていただいておりました。と言っても、その時は良く分かっておりませんでしたが。」
「……そうか。挨拶に行こう。」
王太子のヴァイセル殿下の挨拶が終わると、陛下が『これからも我が王家を支えて欲しい。今日は皆、ゆっくり楽しんでいってくれ。』と言って、音楽が流れ始めた。
壇上には椅子が四つ準備され、陛下と王妃様、ヴァイセル殿下とクリスタ様がお座りになられ、参加者は爵位順に挨拶を交わす事となっている。
公爵家であるアンセルム様と一緒の私も必然的に早く挨拶となる為、前の方に来ていたというわけだったのね。
アンセルム様は国王夫妻に私を紹介して下さり、私も記憶が無いほど緊張したけれどどうにか挨拶が出来たみたいだわ。
次に、アンセルム様はヴァイセル殿下とクリスタ様の前へ行き私を紹介して下さった。
「あぁ、君が噂の〝奥方〟だね。君のおかげでこの前の遠征は早く帰って来れたよ、ありがとう。」
「え!?わ、私は何も…。」
「ヴァイセル殿下!変な事を仰らないでいただきたい!」
アンセルム様、珍しく大きな声で焦ったように話されているわ。
「フフフ…スティナ、ずいぶんと会って無かったけれど、元気だった?」
クリスタ様は私を見てとても優しく微笑みながら声を掛けてくれた。
「クリスタ様!はい。クリスタ様は相変わらずお美しく、目を見張るほどです。」
「まぁ!やだわ、スティナ。そんな言い方はなんだか他人行儀ね。昔のように接して欲しいわ。せっかくこうやって会えるようになったのだもの。」
「で、ですが…。」
「スティナ殿。クリスタは昔からお転婆だったのだろう?僕からもクリスタと仲良くしてやって欲しいな。公爵家でもある彼女は心からの友達がいないんだよ。」
「あら、ヴァイセル。そういう言い方は失礼よ?まぁ確かに私は昔も今もお友達はいないの。スティナだけよ、私の隠れんぼに根気よく付き合ってくれたのは。」
「…懐かしいです。」
「ふふふ。またお話しましょ?あ、またスティナの水、飲ませてね?」
「気休めでよろしければ…。」
「何言ってるのよ!あなたの魔力は優秀よ?私いつもスティナの水で怪我を治してもらったでしょ?あーあ!私も魔力があったらよかったのに!」
「クリスタはいつもそう言うね。魔力なんて無くても君は魅力的なんだから気にしないんだよ?」
そう恐れ多くも、話していると、横にいた従者が『そろそろ…』という合図を出してきた。確かに、まだ挨拶の列は長いもの。私達がずっと独占して話しているわけにもいかないわね。
「…済まないね。また話そう。二人とも幸せにね。」
「ヴァイセル殿下もクリスタ様も、お幸せに。」
「スティナ、またね。幸せにしてもらうのよ?」
「はい。クリスタ様もお幸せに。」
そう言い合って、アンセルム様が私をエスコートして壇上から降りた。
この後は、中央部の広間で流れている音楽に合わせてダンスをしてもいいし、お喋りに興じてもいいみたい。
私はどうするのだろうと思ってアンセルム様を見上げると、ちょうどアンセルム様も私を見たところだったようで視線が合い、微笑み掛けてくれて言った。
「スティナ。どうする?帰るか?」
「え?もうですか?帰っていいのでしたら…でも、アンセルム様は?」
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