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8. 願い
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「願い…?」
「そうだ。見て分からぬか。この社、綺麗にされてはおるがいかんせん参拝客がさっぱりじゃ。無論、この土地に昔から住む年配のやつらは気が向いた時に来てはくれるが、それだけじゃ淋しい。だから、もっとここに人が来るようになって欲しい。それが我の願いじゃ、それから、牛乳をたまに、供物として奉納してくれると尚よしじゃ。」
「牛乳、体に悪くはなかったです?気に入ってくれたんですか?」
「あれは旨い!酒もいいが、酒は年配のやつらがいつも持ってきてくれる。それだけじゃ物足りんのじゃ。牛乳は旨い!格別じゃ!」
ふふふ。猫の氏神様だからかしら?牛乳を気に入ってくれたのね。
「ふぅむ…楓は、迷っとるんか。仕事を続けるか、帰ってくるか。」
私が笑っていると、氏神様は顎に手を当てて何やら言い出した。
「…分かるんですか?」
「我は氏神よ。氏子の事が分からんでどうする。楓の好きなようにするといいぞ。…む、なるほどな。結婚したいとあらば…そうじゃの、役所に勤める、猫石なんて言ったか…あ、樹!あいつはどうだ?同級生だったな。やつは、楓を好いておるぞ。楓もまんざらでもなければ、やつと結婚すればいい。」
「な…な…!」
私が中学の頃、好きになった唯一の人の名前…!なぜ氏神様が!?そこまでも分かっちゃうの??
それに、なぜ今更…結局、中学時代に話を良くしたけれど、告白も出来なかったのに。
まぁ、小学生の時から同級生もほとんど変わらなかったし、お互いに親戚みたいなものだったのよね。
何故好きになったかというのも、樹が話し掛けてきて、ちょうど私の好きなアイドルの話で盛り上がったのがきっかけで仲良くなって。それからちょくちょく話して、でも、私にはそれ以上の関係になる勇気もなく、告白が出来なかった。
「樹はな、女々しい男よ。未だに楓を想うておる。ま、一途ともいうわな。ええ男になっとるぞ。どうだ?」
どうだと言われても…。
「楓の好きにせいとは言っても、楓が帰ってくると我は嬉しい。我には牛乳がかかっておるからの。ま、すぐじゃなく、楓がいいと思うまでやってきたらええて。この土地で、この社に人を増やしてくれたら我は、今まで楓に格別の加護を付けてきたがこれからも付けてやるぞ。」
え!?加護?
もしかして、大学でもそれなりに単位を落とさずに卒業出来、有名な企業に就職出来たのは、氏神様のおかげ!?
「我に牛乳やおやつをくれたからの。おかげで、我は一時丸々と太ってしまったわ。あの時は幸せじゃったよ。だから、この土地に住んでいる氏子には皆加護を付けるが、楓には格別なものをちょいとな。もちろん、楓の実力がなきゃ、出世なんぞ出来るもんじゃない。大学とやらも受からん。我の加護は、零を百にする事は出来ん。その辺りは楓の実力じゃ。」
「氏神様…ありがとうございます。」
私、そんなすごい人におやつや牛乳をほいほいあげていたのね…。よかったわ、逆鱗に触れなくて。
「よいよい。む?誰か来たな。いいな、我の言葉、ゆめゆめ忘れるでないぞ。」
そう言うと、氏神様はまた元の猫に戻った。
「そうだ。見て分からぬか。この社、綺麗にされてはおるがいかんせん参拝客がさっぱりじゃ。無論、この土地に昔から住む年配のやつらは気が向いた時に来てはくれるが、それだけじゃ淋しい。だから、もっとここに人が来るようになって欲しい。それが我の願いじゃ、それから、牛乳をたまに、供物として奉納してくれると尚よしじゃ。」
「牛乳、体に悪くはなかったです?気に入ってくれたんですか?」
「あれは旨い!酒もいいが、酒は年配のやつらがいつも持ってきてくれる。それだけじゃ物足りんのじゃ。牛乳は旨い!格別じゃ!」
ふふふ。猫の氏神様だからかしら?牛乳を気に入ってくれたのね。
「ふぅむ…楓は、迷っとるんか。仕事を続けるか、帰ってくるか。」
私が笑っていると、氏神様は顎に手を当てて何やら言い出した。
「…分かるんですか?」
「我は氏神よ。氏子の事が分からんでどうする。楓の好きなようにするといいぞ。…む、なるほどな。結婚したいとあらば…そうじゃの、役所に勤める、猫石なんて言ったか…あ、樹!あいつはどうだ?同級生だったな。やつは、楓を好いておるぞ。楓もまんざらでもなければ、やつと結婚すればいい。」
「な…な…!」
私が中学の頃、好きになった唯一の人の名前…!なぜ氏神様が!?そこまでも分かっちゃうの??
それに、なぜ今更…結局、中学時代に話を良くしたけれど、告白も出来なかったのに。
まぁ、小学生の時から同級生もほとんど変わらなかったし、お互いに親戚みたいなものだったのよね。
何故好きになったかというのも、樹が話し掛けてきて、ちょうど私の好きなアイドルの話で盛り上がったのがきっかけで仲良くなって。それからちょくちょく話して、でも、私にはそれ以上の関係になる勇気もなく、告白が出来なかった。
「樹はな、女々しい男よ。未だに楓を想うておる。ま、一途ともいうわな。ええ男になっとるぞ。どうだ?」
どうだと言われても…。
「楓の好きにせいとは言っても、楓が帰ってくると我は嬉しい。我には牛乳がかかっておるからの。ま、すぐじゃなく、楓がいいと思うまでやってきたらええて。この土地で、この社に人を増やしてくれたら我は、今まで楓に格別の加護を付けてきたがこれからも付けてやるぞ。」
え!?加護?
もしかして、大学でもそれなりに単位を落とさずに卒業出来、有名な企業に就職出来たのは、氏神様のおかげ!?
「我に牛乳やおやつをくれたからの。おかげで、我は一時丸々と太ってしまったわ。あの時は幸せじゃったよ。だから、この土地に住んでいる氏子には皆加護を付けるが、楓には格別なものをちょいとな。もちろん、楓の実力がなきゃ、出世なんぞ出来るもんじゃない。大学とやらも受からん。我の加護は、零を百にする事は出来ん。その辺りは楓の実力じゃ。」
「氏神様…ありがとうございます。」
私、そんなすごい人におやつや牛乳をほいほいあげていたのね…。よかったわ、逆鱗に触れなくて。
「よいよい。む?誰か来たな。いいな、我の言葉、ゆめゆめ忘れるでないぞ。」
そう言うと、氏神様はまた元の猫に戻った。
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