【完結】私には何の力もないけれど、祈るわ。〜兄様のお力のおかけです〜

まりぃべる

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20. 男だけの昼食 ヤロスワフ視点

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「ウカーシュ様、でしたか。その節は何度もお手紙ありがとうございました。ここでは何ですから、よろしければ私も含めて一緒に昼食、いかがですかな。」

 そう、突然訪ねて来られたウカーシュ様に私は声を掛けた。





 十年前、ナタリアが西湖で彼を助けてから、三カ月に一度のペースで感謝の手紙をくれるようになった。
初めは、〝直接会って感謝の意を表したい〟と。
なぜ、うちフォルヒデン伯爵家だと分かったのかと思ったが、よくよく考えるとあの時の少ない会話で、そう導き出したのかと思ったら頭がキレる男なのではないかと思った。

 助けた人物は、現在は騎士団に所属するウカーシュ=チェルウィンスキーだと言う。手紙で何度も書かれていた。
チェルウィンスキーといえば、コンガレン国の侯爵家だったな。侯爵家のご子息が、騎士団に入られているとは。

 私も気になってその人物がいるかと調べてみると確かに実在したので、嘘を述べているわけではないだろうと思った。

 が、なぜ会いたいのか。
ナタリアの不思議な力について知りたいと思ったのか?
私は、疑心暗鬼になっていたのかもしれない。けれども一度そのように考えてしまったら、ナタリアの幸せが崩れてしまうかもしれないと危惧し、距離を置くにこした事はないと判断した。

 念のため、ダミアンにも伝えた。
同じ、ナタリアの幸せを想う者同士、知っておいた方がいいと思ったからだ。


 しばらくして、ダミアンが通う王立学院に留学してきたと聞き、頭を抱えた。
ウカーシュという男は、何を企んでいるのか。そんなにまで、ナタリアの力が気になるのか。

 …確かに、あの不思議な力はイノリコ以外の何者でもないだろう。イノリコがなぜ、イノリバで過ごさずに家族でいるのかと疑問に思ったのかもしれない。

 取りようによっては、我々がしている事は、反逆罪でもある。国を護る事が出来る人間を、意図して国に渡さないのだから…。



 しかし、ダミアンの話では〝ナタリアに会いたそうにしている〟しか分からなかった。ダミアンは、彼があまりにしつこすぎるから、『ナタリアの素晴らしい所を暇さえあれば伝える事にした。それで、諦めてもらいます。』と言った。そんな事で本当に諦めてくれるのか?

 いや…彼がナタリアに会いたいのはなぜだ?イノリコだからではなく、一人の女の子として会いたいと思っていたら?

 もし、もし万が一彼がナタリアに恋い焦がれているとしたら、ナタリアはコンガレン国へ行った方が幸せなんじゃないか?この国にいても、いつかは露見してしまうかもしれない。

 であれば…。




「ウカーシュ様。単刀直入に聞きます。なぜうちにまで訪ねて来て下さった?何が目的だ?」
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