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19. お出掛けは私と?

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 下へ下りると、ダミアン兄様とウカーシュ様は遊戯室でビリヤードをされていました。

「父上!ナタリアを連れて来たのですか!?」
「やぁナタリア。また会えて嬉しいよ。」

 ダミアン兄様とウカーシュ様がこちらを振り向き、かぶさるように話されました。
お父様は、呆れたように、ダミアン兄様に言われています。

「ダミアン。どう転ぶかは分からない。だが、外へ出た方がナタリアにはいいかもしれない。…私はいやだが。」

「そ…!…そうですけど…でも僕だって嫌です!」

「ダミアン。そうやってずっとナタリアをここへ閉じ込めて置くのか?それはそれで…なぁ。」

 お父様は何故か深いため息を付き、ダミアン兄様も何か言いたそうでしたけれど、言葉を飲み込んだように思いました。どうされたのでしょう。

「ナタリア。ウカーシュ様にお聞きしたい事があるのだろう?」

 私に顔を向け、お父様はそう言われました。
そう聞いたウカーシュ様は、私の方を見てとても柔らかい優しい笑顔を向けてくれました。

「はい。先ほどお父様から、私と一緒に出掛けたいとお聞きしました。ダミアン兄様とでなく私ですか?領地を一緒に見回りたいという事でしょうか?」

 そう、ウカーシュ様に言うと、彼は少し困ったように笑っていいました。

「うーん、なんと言ったらいいのか。本当は、西湖で君に助けてもらったみたいだから今更なんだけれど、お礼を述べたかったんだ。もっと早く来たかったんだが、君のご家族に遠慮されたのだけれどね。」

 ん?何を言っているのかしら。私は何も…。

「もちろん、ナタリアはかもしれない。だけど、声を掛けてもらってリシャルドは確かに助かったと言っていたし、私もすっきりしたからね。結果、助かったんだよ。」

 ああ、そう言う事。確かに、あんな場面で一人でいたらさぞかし心細かったでしょうね。あのリシャルドという人、ひどく焦っていたものね。

「そうですか。わざわざそれを言いに遠くまで来て下さったのですか?ご丁寧にありがとうございます。こちらこそ、お元気な姿を拝見出来て安心いたしました。」

 ではこれからもお元気で。そう言おうかと思ったのですが、ダミアン兄様が隣でクックッ…と肩を揺らし笑っていた。何か、笑えるような事私言ったかしら?

「まぁ…そうなんだけど。もし良かったら、もう少しだけ君と一緒の時間を過ごさせてもらえないかな。」

 理由が結局分からないのだけれど、なぜ私なのかしら。ウカーシュ様は見目麗しくて一緒にいると少し緊張してしまうのよね。
それに…そんな言葉言われるとなんだか恥ずかしいわ。ウカーシュ様からしたら特に意味はない言葉なのかもしれないけれど、なんだか顔に熱が集まる感じがして心がザワザワとしてしまうのよ。
けれど、これでお別れというのも確かに寂しいかもしれないわね。話し方もとても紳士的で、優しい雰囲気ですもの。

「ええ分かりました。よろしくお願い致します。」
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