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42. 騎士団へ ウカーシュ視点
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書類の不備だなんて…本当なのか?何度も見直して、上司にも報告して、急ではあったがきちんと認められたと思ったのに。
第二騎士団長がいきなり辞める、そう言い出したのだから、確かにざわつかれはした。
だが前々から俺の上司である、統括騎士団長には第二騎士団長に昇格する時に伝えてはいた。『将来、侯爵家を継がなければならない為、辞める時がきます。』と。まぁ、自分自身辞めるのはあとまだ数年先だとは思っていた。
だが、ザルーツ国でアリツィア王女とナタリアの兄のピオトルが結婚をすると聞き、更になぜか結婚の前にフォルヒデン領にアリツィア王女とピオトルが帰ってくると聞き、ヤロスワフ伯爵に相談されたのもあって結婚と、退団するのを早めたのだ。
何かあった時の為に、ナタリアの傍にいたいからだ。騎士団を辞めていれば、多少は融通が利くだろう。
「結婚するので、騎士団を辞めさせていただきます!」
そう伝えると、『何だって!?これからって時だろう?』とかなり驚かれた。まぁ、確かに俺は二十一歳。まだまだこれからだ。
でも、自分の人生掛けてでも守りたい人という存在が出来てしまったんだ。これだけは、譲れない。
「急で、申し訳ありません。が、結婚をするので侯爵家を継ぐ準備をしていきたいのです。」
そう言ってしまえば、上司も肯定するより仕方なかったみたいだ。
「分かった。有給が残っていたか?とりあえずそれは消化してくれ。引き継ぎは、きちんとしろよ。第二騎士副団長のリシャルドには伝えてあるな?あいつを暫定の第二騎士団長とするから。」
それなのに…。
王宮までは、今日も晴れているし馬で飛ばせばそんなに掛からない。早く済ませてナタリアの待つ家へ帰ろう。
そういえば、最近大雨、あまり降っていないな。こんなにも晴れが続くのは珍しい。もしかして、ナタリアのおかげだったりするのだろうか…。
ーーー
ーー
ー
「失礼します。」
「おお!久し振りだなぁ。会えないと寂しかったぞ。」
そう言って、机に向かって書類を見ていた統括騎士団長は席を立ち、目の前の応接セットの席へと俺を促し、自らも座られた。
「よく言いますね、統括騎士団長。会わない日なんてしょっちゅうでしたのに。」
「まぁ、そう言うなよ。お前が見習いの時から知っているんだから辞めると聞いて寂しかったのは本当なんだから。」
確かにそうだ。俺が入団した頃から世話になっている。年齢は二十歳ほど違うが、兄のように父のように気に掛けてくれていた。俺だけではなく、万遍なく世話を焼いている気がするが。
「ところで…。」
そう言って、統括騎士団長は前屈みになり、椅子に座った俺の目をじっと見つめた。
「な、なんですか!?」
何かじっくり話したい時、真面目に話したい時などに統括騎士団長はそうやられるので、俺は身構えた。
「ウカーシュよ。聞いた所によると、お前の妻は女神なのか?奇跡を起こすのか!?」
な、何だって!聞いた所って、どこから聞いたんだ!?女神って、リシャルドが言ったのか?あいつ…あれだけ秘密にしてくれって言ったのに!
十年前俺が落馬し、その後一行に追いついた時だってリシャルドが出来事を逐一報告しようとするから、少し休憩したら俺の熱がいつの間にか下がったと上手くごまかしたのに!
「………。」
「あぁ、ウカーシュよ。リシャルドを責めるな。あいつは比喩で女神と言っていただけだ。だが、奇跡を起こした事も少し話し出したので他の奴には広めるな、とは伝えておいたぞ。奇跡を起こせる人物は普通だったらお目にかかれるはずがないからな。もし万が一にでも出くわしてしまったのなら…やんごとなき理由があるのだろうからな。」
…さすがだ。ありがたい。
「ウカーシュ。これは、万が一事実であるなら、統括騎士団長として把握しておいた方がいいのではないか?何か合った時に、上手く対応出来るように。」
それもそうだ。国同士の話となってしまう可能性もあり得るからな。ナタリアがもし、兄のピオトルの結婚式を見たいというなら連れて行ってやりたいし。
「…はい。それで呼ばれたと言うわけですか。」
「ははは。そうだ。お前が書類の不備を起こすなんてあり得ないからな。月末にも、騎士団退団の申請書類は通るだろな。」
「分かりました。俺も、話していいものか迷ってはいました。くれぐれも、公にはしないでいただきたいのです。そして、何か合った時には助力いただけると助かります。それでですね…」
散々世話になった統括騎士団長にそう前置きし、俺はナタリアの事を話し出した。
…帰るのは、結局昼過ぎになってしまった。統括騎士団長め!最後だからと昼食を一緒にとろうと言ってきたんだ。確かに、滅多に会えなくなるだろうとその誘いも嬉しかったが。
統括騎士団長も、味方になると言ってくれたし、結果、それなりに楽しかったからよしとするか!
第二騎士団長がいきなり辞める、そう言い出したのだから、確かにざわつかれはした。
だが前々から俺の上司である、統括騎士団長には第二騎士団長に昇格する時に伝えてはいた。『将来、侯爵家を継がなければならない為、辞める時がきます。』と。まぁ、自分自身辞めるのはあとまだ数年先だとは思っていた。
だが、ザルーツ国でアリツィア王女とナタリアの兄のピオトルが結婚をすると聞き、更になぜか結婚の前にフォルヒデン領にアリツィア王女とピオトルが帰ってくると聞き、ヤロスワフ伯爵に相談されたのもあって結婚と、退団するのを早めたのだ。
何かあった時の為に、ナタリアの傍にいたいからだ。騎士団を辞めていれば、多少は融通が利くだろう。
「結婚するので、騎士団を辞めさせていただきます!」
そう伝えると、『何だって!?これからって時だろう?』とかなり驚かれた。まぁ、確かに俺は二十一歳。まだまだこれからだ。
でも、自分の人生掛けてでも守りたい人という存在が出来てしまったんだ。これだけは、譲れない。
「急で、申し訳ありません。が、結婚をするので侯爵家を継ぐ準備をしていきたいのです。」
そう言ってしまえば、上司も肯定するより仕方なかったみたいだ。
「分かった。有給が残っていたか?とりあえずそれは消化してくれ。引き継ぎは、きちんとしろよ。第二騎士副団長のリシャルドには伝えてあるな?あいつを暫定の第二騎士団長とするから。」
それなのに…。
王宮までは、今日も晴れているし馬で飛ばせばそんなに掛からない。早く済ませてナタリアの待つ家へ帰ろう。
そういえば、最近大雨、あまり降っていないな。こんなにも晴れが続くのは珍しい。もしかして、ナタリアのおかげだったりするのだろうか…。
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「失礼します。」
「おお!久し振りだなぁ。会えないと寂しかったぞ。」
そう言って、机に向かって書類を見ていた統括騎士団長は席を立ち、目の前の応接セットの席へと俺を促し、自らも座られた。
「よく言いますね、統括騎士団長。会わない日なんてしょっちゅうでしたのに。」
「まぁ、そう言うなよ。お前が見習いの時から知っているんだから辞めると聞いて寂しかったのは本当なんだから。」
確かにそうだ。俺が入団した頃から世話になっている。年齢は二十歳ほど違うが、兄のように父のように気に掛けてくれていた。俺だけではなく、万遍なく世話を焼いている気がするが。
「ところで…。」
そう言って、統括騎士団長は前屈みになり、椅子に座った俺の目をじっと見つめた。
「な、なんですか!?」
何かじっくり話したい時、真面目に話したい時などに統括騎士団長はそうやられるので、俺は身構えた。
「ウカーシュよ。聞いた所によると、お前の妻は女神なのか?奇跡を起こすのか!?」
な、何だって!聞いた所って、どこから聞いたんだ!?女神って、リシャルドが言ったのか?あいつ…あれだけ秘密にしてくれって言ったのに!
十年前俺が落馬し、その後一行に追いついた時だってリシャルドが出来事を逐一報告しようとするから、少し休憩したら俺の熱がいつの間にか下がったと上手くごまかしたのに!
「………。」
「あぁ、ウカーシュよ。リシャルドを責めるな。あいつは比喩で女神と言っていただけだ。だが、奇跡を起こした事も少し話し出したので他の奴には広めるな、とは伝えておいたぞ。奇跡を起こせる人物は普通だったらお目にかかれるはずがないからな。もし万が一にでも出くわしてしまったのなら…やんごとなき理由があるのだろうからな。」
…さすがだ。ありがたい。
「ウカーシュ。これは、万が一事実であるなら、統括騎士団長として把握しておいた方がいいのではないか?何か合った時に、上手く対応出来るように。」
それもそうだ。国同士の話となってしまう可能性もあり得るからな。ナタリアがもし、兄のピオトルの結婚式を見たいというなら連れて行ってやりたいし。
「…はい。それで呼ばれたと言うわけですか。」
「ははは。そうだ。お前が書類の不備を起こすなんてあり得ないからな。月末にも、騎士団退団の申請書類は通るだろな。」
「分かりました。俺も、話していいものか迷ってはいました。くれぐれも、公にはしないでいただきたいのです。そして、何か合った時には助力いただけると助かります。それでですね…」
散々世話になった統括騎士団長にそう前置きし、俺はナタリアの事を話し出した。
…帰るのは、結局昼過ぎになってしまった。統括騎士団長め!最後だからと昼食を一緒にとろうと言ってきたんだ。確かに、滅多に会えなくなるだろうとその誘いも嬉しかったが。
統括騎士団長も、味方になると言ってくれたし、結果、それなりに楽しかったからよしとするか!
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