【完結】「お姉様は出かけています。」そう言っていたら、お姉様の婚約者と結婚する事になりました。

まりぃべる

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3. 久々に

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 あれからさらに一月経ちまして、今日もウェイン様が来られる日です。かれこれ五回目ですわね。
毎回いないのですからもういっそのこと、このお茶会は次回から無しにしてもらおうと言い出そうと決心致しました。来てもらっているのに申し訳ないからです。

「ウェイン=スタンフォード様がいらっしゃいました。」

「ありがとう。いつものように応接室?」

「それが、今日は気候が良いから、ガセボがいいと…。」

「そう。ありがとう。カフソン、いいわ。私から伝えてみる。」

 大丈夫かしら…。私の思い出の中のウェイン様は優しいけれど、さすがに毎度断ると角が立つわよね…。

「ウェイン様、失礼します。あの、」

「やぁ、ティラ。勝手に場所を移してもらって済まないね。今日は、もしティラの時間があれば、久しぶりにティラと一緒にいたいのだけどどうかな?あ、お茶なんていらないから。」

 どうやら、もうお姉様に会いに来たというのは止めて、私からお姉様の今を聞く感じかしら?
まぁ、こちらが言う前にそう言ってくださったのはありがたいですけれど。

「ウェイン様、そう言っていただけて、お気遣い感謝いたします。私とお茶をして下さるなんて嬉しいです。お姉様に会いに来て下さったのに申し訳ありません…。」

 と、頭を下げた。

「ティラ…ありがとう。カーラの代わりに頭を下げてくれたんだね。相変わらず君は優しい。でも、もう良いよ。実はそれも含めて話したいんだけれどいいかな?あ、ここにしたのは、どこからも良く見えるだろう?やましいことは何もしないからね。」

「ありがとうございます。あの、もしよければ、料理長が焼いたアップルクッキーがあるのですけれど一緒に食べてもらえませんか?」

「え!?本当かい?懐かしいな。小さい頃は、ゼイクの作ったお菓子が大好きだったから。あ、ゼイクはもう居ない?」

「いいえ、まだ現役ですわ。名前、覚えていらしたのですね。彼が聞いたら、泣いて喜びますわ。」

 よかった!昔見た笑顔が見られたわ!ウェイン様と遊んでいた幼い頃は良くお菓子を持ってピクニックをしたり、お茶会ごっこをしたりしてたのよね。

 それにしても、うちの料理長の名前まで覚えていて下さった事に驚きだわ。
確か、ウェイン様がうちにいらした時、出迎えもせず私がゼイクにお菓子をもらいに行ってたのがばれた時に、名前を名乗っていたわよね。そんな昔の些細な事を覚えて下さっているなんて、ウェイン様は使用人にもお優しいものね。
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