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4. お茶会

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「急だったのに済まないね。ティラのおやつだったものじゃないのかい?」

「もうあの頃とは違いますわ!今日は、ウェイン様の為に準備していたのですよ。ええと…、それで大変申し上げにくいのですが…この交流を深める為のお茶会は今日で一旦お終いにしてもらえませんか?」

 そう言って、ウェイン様の顔を見る事が出来ずに私は頭を下げた。

「わ!ちょっと!ティラ、顔を上げて!ええと、確認したいんだ。」

 確認?なんでしょうか。私は一度、頭を上げてウェイン様の顔を見た。

「ええとね、まず。俺…あ、いや僕は怒っていないからね?で、聞くけど、カーラはどこにいる?」

「ええと…。」

 正直に答えていいのでしょうか。
あ、今そういえば昔のように俺って言ったわね。飾らないで話して下されば、子供の頃のように何も考えずに話せるのに…今はお互いの立場もあるからそうはいきませんね。

「大丈夫。正直に言ってくれるか?」

「はい。あの…分かりません。」

「ん?本当に分からないの?王都の屋敷に居るとかでなく?」

「私には、何も知らされてないのかもしれませんが…。卒業式の日に、婚約期間の話を聞いたお姉様は、次の日の朝には部屋からいなくなっておりました。書き置きもないのです。お父様にも知らせましたが、『大事にはするな』と言われておりますの。探してくれてるようですが…。」

「そうだったんだね。それなのに、僕が訪ねてきて、辛い思いをさせてごめんね。実はね、僕は卒業式の前の日に父親に話して承諾は得ていたんだけれど、話が行き違いになってしまったみたいだ。僕は、カーラと婚約はしない。」

「え!?」

「あの約束はお互いの両親の口約束みたいなものだったろ?あ…いや、ごめんね。それに、大人になるまでお互いの相手が居なかったら、だったから好きな相手が出来たなら白紙になる話だったんだ。」

「はい。」

「それで、カーラが自分の両親と話したときに自分で言えば良かったのに言えなかったんだろうね。『僕とではなくて、好きな相手がいる』と。いや…正確には違うなぁ。カーラは、学院でお付き合いしている人がたくさんいてね。その相手を決めかねていたみたいなんだ。」

「そうだったのですか…。え?」

 えと…たくさん?

「そうなんだよ…、カーラ、学院に入学して、いろんな男性と付き合っていてね。ティラにはちょっと刺激が強い話だろうから言いにくいんだけど、とにかくきっとその相手のだれかの家にいるんじゃないかと思ったんだ。それで僕の方だけれどね、僕にもその…」

 ウェイン様が話していると、屋敷の方でバタバタと音がし始めた。誰かが訪問してきたみたいね。カフソンが慌てて私の方にやって来たわ。

「お話中誠に申し訳ありません!ティラ様、ちょっとよろしいですか。」

「どうしたの?お客様?ウェイン様に失礼よ。」

「いや、そうなんですけど…あ!」

 珍しくカフソンが汗を掻きながら口ごもっていると屋敷から一人の女性がこちらへ向かってくるのが見えた。
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