【完結】私、噂の令息に嫁ぎます!

まりぃべる

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6.お相手の噂

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「では、そのようにお伝えしておきます。相手の都合が分かり次第また、ご連絡しますね。」

「はい、ありがとうございます。よろしくお願いします!」

「ありがとうございました…。」



 相手方に、名前を教えていいか確認とかはしないのかと聞いたのですが、そろそろ身を固めたいそうで、どんな方でも会ってみると言われていると伺いました。ただ、お相手は忙しい方みたいで、予定を聞いてから顔合わせをする場所と日時を後日教えてくれるのだそう。

 お父様はその間、またも泣きそうになっていたわ。暑くもないのに頭にも、汗が滝のように噴き出していたわね。

「アンリエッタ…そんなに無理をしなくてもいいんだよ。最悪の場合、家を売ろうと思うんだ。」

「あら、今さらですか?だって、学院に入学する為の試験は、約三カ月後でしょう?家を売るにしたってすぐ売れるわけじゃないのですから、早めに動かないとお金が手に入らないわよ。それに、あの家が無くなったら、私達どこへ住むのですか?お母様が淋しがりますよ。」

「う、うむ…。」

「お父様、もっと喜んで下さいな!まだお会いしてはいませんが、良さそうなお相手がいたのですもの!これは好機ですわ。」

「いや、んーまぁそうなんだが…。」

「なんですか?もしかして、お相手の方、ご存じでした?」


 相手の名前は、フォルス=テイラー侯爵。
一度目の二十歳の結婚の時に家督を早々に受け継ぎ侯爵となったらしいが、一カ月も持たない内に離婚されたとか。
それから、結婚案内所にお世話になっているみたい。

 お父様は、その名前を聞いた時に驚いた顔をしていたから知っているのかと思ったのです。

「うーん…。まぁ、今度会うと決めたお前に言うのも何だが…噂があってな。呪われた侯爵と…。」

「呪われた…!?」

「まぁ、噂とは事実と異なる場合もあるがなぁ。何度も離婚しているから、そう言われただけではあるのだろうが、理由があるだろうから心配でな。」

「そうなのですね。肝に銘じておきますわ。でも、どんな方なのでしょうか。ワクワクしますわ!」

「ワクワク!?お前、私の話を聞いておったか?」

「聞いていましたよ。呪われた侯爵って言われているのですよね?でも、まだ三十歳で…なんだか可哀想です。顔はハンサムと言っていましたから、少なくとも顔は呪われてはいませんね。」

「アンリエッタ…。」

「連絡が早く来るといいですわね!お父様!」

「うむ…。これで良かったのか…うーん…。」

 お父様、良かったんですよ!だって、侯爵様ですもの、お金持ちとも言われていたし。暴力もしない、酒癖も悪くない、ギャンブルもしないなら、好条件じゃないの。これで結婚が決まればクリストファーも学院に入学が出来るわ!
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