【完結】私、噂の令息に嫁ぎます!

まりぃべる

文字の大きさ
18 / 25

18. 侯爵夫人の仕事

しおりを挟む
 今日も、礼儀作法の先生に言われてしまった。『意識がよそへいっていますね?大丈夫ですか?昨日もでしたよね。調子が優れませんか?』と逆に心配までされてしまったわ。

 こんなでは駄目ね。よし、今日こそフォルス様に会えるかしら?

「エラ。フォルス様と今日お会い出来ますか?」

「旦那様は今日も夕飯は遅くに取る予定でした。でも、お時間を作っていただきましょうか。」

「…。」

「アンリエッタ様?」

「フォルス様は、私に会いたくないのでしょうか。」

「そんな事はございません!今は、本当にお仕事が忙しく、こなされているのです。アンリエッタ様に会いたくてたまらないはずですわ!」

 思わず、私は愚痴をこぼしてしまいました。
すると、エラがそんな風に気遣ってくれたので、少し心が温かくなりました。本当にフォルス様がそう思ってくれていたらどんなに嬉しいか。でもそれは、今エラに言うことでは無いですわね。

「ありがとう、エラ。そうよね、お仕事されているのにワガママ言っては駄目ね。では、お仕事が落ち着いたら話したいのだけれど、いつになるかしら。」

「そうですね…では確認しておきますね。」

「よろしくね。…ねぇ、エラ。テイラー侯爵家は、絹織物が主な収入源だったかしら?フォルス様はどんなお仕事されているの?このお屋敷で書類とか?私もお手伝い出来る事ないかしら?」

「…!え、ええ。そ、そうですよ。私もお仕事の内容までは分からないのですけれど、侯爵家ともなれば、様々な収入の他に、支出もありますので、その書類などもあるかと思います。もう少ししたら旦那様のお仕事が落ち着きますから、その時に直接お聞きになったら分かりやすいかと思います。けれど、アンリエッタ様は、侯爵夫人としてのお仕事を覚えていただいて、やってもらわないといけませんので、そちらを頑張りましょうか。」

「侯爵夫人…?」

「はい!えと、え…えー、そ、そうそう!貴族のお名前と、領地の名産と、あとその方のご趣味などを覚えると、会話が弾みますから。社交の場でお話する際の会話も出来るように頑張りましょう!旦那様がお仕事されているのですから、アンリエッタ様もお仕事をすれば、変な気持ちにならなくて済む…じゃなかった!旦那様に次お会いした時に、『おぉ!やはり僕の妻は素晴らしい!』って言ってくれますよ!絶対!!」

「そう…そうね!えぇ、分かったわ。じゃあ私も頑張るわね。」

 なんだか、エラが必死になって言うからこれ以上エラに言うのも悪いし、確かに他の事に打ち込むのもいいわね。
フォルス様が褒めて下さるかは分からないけれど、エラの言うことも最もだから頑張ってみるわ。

 だって会話といっても今までは、家族か、恵みの森で会った人としかしてこなかったもの。

 お母様の実家へは、現状が知られるとよろしくないからと商家も忙しいのを逆手に取って全く会いに行かなかったもの。

 お母様のお祖父様は、お母様を嫁がせてすぐに亡くなっているし、お母様のお父様は商売に忙しかったからお母様の事を心配はしていたけれど、会いには来なかったのよね。
その代わり一年に一度、誕生日の時は宝飾費を送ってくれたり、たまに珍しい物が手に入ったと食べ物を送ってくれたことはあったけれど。

 だから、会話なんて貴族の人と出来る自信は、全くないわ。
忘れていたけれど私、侯爵夫人なんだものね。
会話を弾ませられるようにいろいろと対策を練ってやるわ!
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

【完結】1王妃は、幸せになれる?

華蓮
恋愛
サウジランド王国のルーセント王太子とクレスタ王太子妃が政略結婚だった。 側妃は、学生の頃の付き合いのマリーン。 ルーセントとマリーンは、仲が良い。ひとりぼっちのクレスタ。 そこへ、隣国の皇太子が、視察にきた。 王太子妃の進み道は、王妃?それとも、、、、?

【完結】謀られた令嬢は、真実の愛を知る

白雨 音
恋愛
男爵令嬢のミシェルは、十九歳。 伯爵子息ナゼールとの結婚を二月後に控えていたが、落馬し、怪我を負ってしまう。 「怪我が治っても歩く事は難しい」と聞いた伯爵家からは、婚約破棄を言い渡され、 その上、ナゼールが自分の代わりに、親友のエリーゼと結婚すると知り、打ちのめされる。 失意のミシェルに、逃げ場を与えてくれたのは、母の弟、叔父のグエンだった。 グエンの事は幼い頃から実の兄の様に慕っていたが、彼が伯爵を継いでからは疎遠になっていた。 あの頃の様に、戻れたら…、ミシェルは癒しを求め、グエンの館で世話になる事を決めた___  異世界恋愛:短編☆(全13話)  ※魔法要素はありません。 ※叔姪婚の認められた世界です。 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆

旦那様に「君を愛する気はない」と言い放たれたので、「逃げるのですね?」と言い返したら甘い溺愛が始まりました。

海咲雪
恋愛
結婚式当日、私レシール・リディーアとその夫となるセルト・クルーシアは初めて顔を合わせた。 「君を愛する気はない」 そう旦那様に言い放たれても涙もこぼれなければ、悲しくもなかった。 だからハッキリと私は述べた。たった一文を。 「逃げるのですね?」 誰がどう見ても不敬だが、今は夫と二人きり。 「レシールと向き合って私に何の得がある?」 「可愛い妻がなびくかもしれませんわよ?」 「レシール・リディーア、覚悟していろ」 それは甘い溺愛生活の始まりの言葉。 [登場人物] レシール・リディーア・・・リディーア公爵家長女。  × セルト・クルーシア・・・クルーシア公爵家長男。

何度時間を戻しても婚約破棄を言い渡す婚約者の愛を諦めて最後に時間を戻したら、何故か溺愛されました

海咲雪
恋愛
「ロイド様、今回も愛しては下さらないのですね」 「聖女」と呼ばれている私の妹リアーナ・フィオールの能力は、「モノの時間を戻せる」というもの。 姉の私ティアナ・フィオールには、何の能力もない・・・そう皆に思われている。 しかし、実際は違う。 私の能力は、「自身の記憶を保持したまま、世界の時間を戻せる」。 つまり、過去にのみタイムリープ出来るのだ。 その能力を振り絞って、最後に10年前に戻った。 今度は婚約者の愛を求めずに、自分自身の幸せを掴むために。 「ティアナ、何度も言うが私は君の妹には興味がない。私が興味があるのは、君だけだ」 「ティアナ、いつまでも愛しているよ」 「君は私の秘密など知らなくていい」 何故、急に私を愛するのですか? 【登場人物】 ティアナ・フィオール・・・フィオール公爵家の長女。リアーナの姉。「自身の記憶を保持したまま、世界の時間を戻せる」能力を持つが六回目のタイムリープで全ての力を使い切る。 ロイド・エルホルム・・・ヴィルナード国の第一王子。能力は「---------------」。 リアーナ・フィオール・・・フィオール公爵家の次女。ティアナの妹。「モノの時間を戻せる」能力を持つが力が弱く、数時間程しか戻せない。 ヴィーク・アルレイド・・・アルレイド公爵家の長男。ティアナに自身の能力を明かす。しかし、実の能力は・・・?

【完結】伯爵令嬢は婚約を終わりにしたい〜次期公爵の幸せのために婚約破棄されることを目指して悪女になったら、なぜか溺愛されてしまったようです〜

よどら文鳥
恋愛
 伯爵令嬢のミリアナは、次期公爵レインハルトと婚約関係である。  二人は特に問題もなく、順調に親睦を深めていった。  だがある日。  王女のシャーリャはミリアナに対して、「二人の婚約を解消してほしい、レインハルトは本当は私を愛しているの」と促した。  ミリアナは最初こそ信じなかったが王女が帰った後、レインハルトとの会話で王女のことを愛していることが判明した。  レインハルトの幸せをなによりも優先して考えているミリアナは、自分自身が嫌われて婚約破棄を宣告してもらえばいいという決断をする。  ミリアナはレインハルトの前では悪女になりきることを決意。  もともとミリアナは破天荒で活発な性格である。  そのため、悪女になりきるとはいっても、むしろあまり変わっていないことにもミリアナは気がついていない。  だが、悪女になって様々な作戦でレインハルトから嫌われるような行動をするが、なぜか全て感謝されてしまう。  それどころか、レインハルトからの愛情がどんどんと深くなっていき……? ※前回の作品同様、投稿前日に思いついて書いてみた作品なので、先のプロットや展開は未定です。今作も、完結までは書くつもりです。 ※第一話のキャラがざまぁされそうな感じはありますが、今回はざまぁがメインの作品ではありません。もしかしたら、このキャラも更生していい子になっちゃったりする可能性もあります。(このあたり、現時点ではどうするか展開考えていないです)

【完結】死に戻り8度目の伯爵令嬢は今度こそ破談を成功させたい!

雲井咲穂(くもいさほ)
恋愛
アンテリーゼ・フォン・マトヴァイユ伯爵令嬢は婚約式当日、婚約者の逢引を目撃し、動揺して婚約式の会場である螺旋階段から足を滑らせて後頭部を強打し不慮の死を遂げてしまう。 しかし、目が覚めると確かに死んだはずなのに婚約式の一週間前に時間が戻っている。混乱する中必死で記憶を蘇らせると、自分がこれまでに前回分含めて合計7回も婚約者と不貞相手が原因で死んでは生き返りを繰り返している事実を思い出す。 婚約者との結婚が「死」に直結することを知ったアンテリーゼは、今度は自分から婚約を破棄し自分を裏切った婚約者に社会的制裁を喰らわせ、婚約式というタイムリミットが迫る中、「死」を回避するために奔走する。 ーーーーーーーーー 2024/01/13 ランキング→恋愛95位 ありがとうございました! なろうでも掲載20万PVありがとうございましたっ!

【完結】溺愛される意味が分かりません!?

もわゆぬ
恋愛
正義感強め、口調も強め、見た目はクールな侯爵令嬢 ルルーシュア=メライーブス 王太子の婚約者でありながら、何故か何年も王太子には会えていない。 学園に通い、それが終われば王妃教育という淡々とした毎日。 趣味はといえば可愛らしい淑女を観察する事位だ。 有るきっかけと共に王太子が再び私の前に現れ、彼は私を「愛しいルルーシュア」と言う。 正直、意味が分からない。 さっぱり系令嬢と腹黒王太子は無事に結ばれる事が出来るのか? ☆カダール王国シリーズ 短編☆

【完結】お荷物王女は婚約解消を願う

miniko
恋愛
王家の瞳と呼ばれる色を持たずに生まれて来た王女アンジェリーナは、一部の貴族から『お荷物王女』と蔑まれる存在だった。 それがエスカレートするのを危惧した国王は、アンジェリーナの後ろ楯を強くする為、彼女の従兄弟でもある筆頭公爵家次男との婚約を整える。 アンジェリーナは八歳年上の優しい婚約者が大好きだった。 今は妹扱いでも、自分が大人になれば年の差も気にならなくなり、少しづつ愛情が育つ事もあるだろうと思っていた。 だが、彼女はある日聞いてしまう。 「お役御免になる迄は、しっかりアンジーを守る」と言う彼の宣言を。 ───そうか、彼は私を守る為に、一時的に婚約者になってくれただけなのね。 それなら出来るだけ早く、彼を解放してあげなくちゃ・・・・・・。 そして二人は盛大にすれ違って行くのだった。 ※設定ユルユルですが、笑って許してくださると嬉しいです。 ※感想欄、ネタバレ配慮しておりません。ご了承ください。

処理中です...