【完結】【番外編追加】隠していた特技は、魔術の一種だったみたいです!

まりぃべる

文字の大きさ
6 / 30

6. お金を得るには

しおりを挟む
 リュシーは十八歳となり、弟のカジミールが十三歳になる頃。

 リュシーは、カジミールの学費の為、金を稼ごうと思った。
 今までもリシューなりに、〝森の恵み〟を取ったりもらったりしては売っていたが、それだけでは足りないからだ。

 十三歳になると、王都にある寄宿学校に通う事が出来る。カジミールを通わせたいと思ったのだ。
 寄宿学校は、寮生活をしながらさまざまな学問を学ぶ学校であり、貴族であれば通う事が出来る。ただし、それなりのお金を払わないといけない。
リシューは跡取りでもないし、友達が欲しいとは思ったが、自分が動物と話すのを知られて心無い事を言われるのが怖かったのもあり、父親に入学したいかと聞かれた時も首を横に振り、通わなかった。


(カジミールは将来、ここレスキュン領の領主となるのだもの。学校には通った方がいいわよね。私は通っていないから、よく分からないけれど、きっとたくさんの事を学べる、将来の役に立つ場所よね。)


 この国には魔力があるものは寄宿学校で魔術を習うことが出来る。そこで、優秀だと認められれば魔術騎士の道や、魔術師にもなれる。そうすれば、安定した高額な給料を得る事が出来る為、目指す者も多い。
 また、魔力を持っていなくとも寄宿学校で専門的な事を学び、就職に生かす事も出来る。


 少し大きくなるとリュシーも、通えるものなら将来お金を得る為に、寄宿学校に通っておけば良かったと思う事もあった。しかし、入学費用も必要だとマルゴから聞いたし授業料を払うことも出来ないと思ったから、その後も無理して入学したいと言う事はなかった。そもそも魔力を持っていない。不器用でもあったから、刺繍も、裁縫も苦手で、女性に人気の職業であるお針子になる事さえも無理であった。


 リュシーは長女ではあるが、オジュレバン国は男性が爵位を継ぐのが常である。だから、弟カジミールがアランブールの家を継ぐのである。その為、貴族ではあっても家を継がない子供は手に職をつけるか、男であれば一人娘の家へ婿養子に入ってそこの家の爵位を継ぐしか道がないのだ。幸いにも、リュシーは女で、どこかの跡取りの貴族に嫁ぐ事も選択肢にはある。
 しかしリュシーは空いている土地はあるので結婚しなくとも住む場所はあると思っていた。


(だけど…どうすればお金を得られるかしら。)

 危ない森が近くにあるから、狩人のような野生動物を獲る事が出来れば、高額な収入を得る事ができる。動物の毛皮は高値だし、肉や爪だって売れるのだ。

 森に入る事は、リュシーなら動物と会話が出来る為にする事が出来る。野生動物も、リュシーが邪な事を考えて近づいてくるわけではないので、危害を加えないからだ。むしろ、会話が出来る柔らかい雰囲気を持ったリュシーに野生動物から近づいてくる。
 ただ、動物を獲る事はリュシーは野生動物がでそんな事は絶対に出来ない。


(それは無理ね。私に出来る事、私に…)

 自分をふと見つめると、長い髪が視界を捉える。手入れの行き届いた髪は高く売れる為に、リュシーはマルゴに聞いてみる。

「ねぇ、マルゴ。髪の毛、売りたいのだけど私の髪はどのくらいで売れると思う?」

「え!?り、リュシー様そんな…どうしてですか!?」

「だって、髪の毛が売れればそれなりにならない?カジミールの学費にあてられないかと思って。」

「リュシー様…その案は、最後の最後に取っておきましょう。貴族にとってお髪は、魅力的に見せる為の武器なのですから。」

「そうは言っても…マルゴ。私にはそんな武器必要ないわ。社交にも参加していないし。」

「ご結婚の為には、長い髪でないと。短い髪では庶民のようですから。」

「そうかしら?短い髪も動きやすそうよ。それに、私結婚なんて無理よ。結婚を申し込んでくる人なんていないわ。なんていうか…貧しいじゃない?」

「そんなはっきりと…いいえ!リュシー様は大変綺麗なお顔立ちなのですから、出会いさえあれば引く手あまたでございます!」

「そんなこと…でしたら、カジミールの学費はどうしたらいいのかしら。」

「そうですねぇ…特別制度を利用するとかでしょうか。」

「?なにかしら?」

「はい。出世払いのようなものです。卒業してから、少しずつお支払いするのです。」

「そうなのね。それなら通えるかしら。」

「はい。それしか方法は無いかと。」

(でも、貴族の端くれなのにそんな事して大丈夫かしら?貴族は見栄っぱりで世間体を重きに置くと聞いたわ。私が稼げていたら良かったのに。)

 リュシーは、大きなため息をついて、貴族が後払いってどうなのかしら…と思った。
しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

無能だと思われていた日陰少女は、魔法学校のS級パーティの参謀になって可愛がられる

あきゅう
ファンタジー
魔法がほとんど使えないものの、魔物を狩ることが好きでたまらないモネは、魔物ハンターの資格が取れる魔法学校に入学する。 魔法が得意ではなく、さらに人見知りなせいで友達はできないし、クラスでもなんだか浮いているモネ。 しかし、ある日、魔物に襲われていた先輩を助けたことがきっかけで、モネの隠れた才能が周りの学生や先生たちに知られていくことになる。 小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿してます。

【完結】婚約者と仕事を失いましたが、すべて隣国でバージョンアップするようです。

鋼雅 暁
ファンタジー
聖女として働いていたアリサ。ある日突然、王子から婚約破棄を告げられる。 さらに、偽聖女と決めつけられる始末。 しかし、これ幸いと王都を出たアリサは辺境の地でのんびり暮らすことに。しかしアリサは自覚のない「魔力の塊」であったらしく、それに気付かずアリサを放り出した王国は傾き、アリサの魔力に気付いた隣国は皇太子を派遣し……捨てる国あれば拾う国あり!? 他サイトにも重複掲載中です。

【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!

しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。 けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。 そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。 そして王家主催の夜会で事は起こった。 第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。 そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。 しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。 全12話 ご都合主義のゆるゆる設定です。 言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。 登場人物へのざまぁはほぼ無いです。 魔法、スキルの内容については独自設定になっています。 誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。

【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。

138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」  お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。  賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。  誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。  そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。  諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。

婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。

拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。

オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~

雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。 突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。 多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。 死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。 「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」 んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!! でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!! これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。 な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。 小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)

婚約破棄ありがとうございます! やりたかった薬草配りができて幸せです

er
ファンタジー
婚約破棄された侯爵令嬢フィリアは、亡き母の遺志を継ぎ薬草師として貧民街で無償治療を始める。しかし悪徳商会に告発され裁判に。協力を申し出た第二王子レオニードは、彼女を商会を潰す「囮」として利用するつもりだった。だが、誰にでも分け隔てなく優しいフィリアの純粋さに触れ、次第に心を動かされていく。

悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。

潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。

処理中です...