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13. 父からの報告
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ドタバタと、応接室で何かが繰り広げられていると思ったリュシーは大丈夫なのかと心配した。が、それに対してバルテレミーと入れ替わりで応接室から退出したマルゴは、
「気にされないで、ゆっくりいたしましょう。」
と言ってさらに焼き菓子を持ってきた。まぁ、自分にはきっと関係のない話だろうとゆっくりする事にした。森で野生動物と話をしたあとはやたらと甘いものが欲しくなるから、嬉しそうにリュシーは二個三個と焼き菓子に手を伸ばした。
やがて、紅茶のお代わりをゆっくりと楽しんだ頃、オーバンが入ってくると、くつろいでいるリュシーを見て目を細め、近づいてきて頭を撫でた。
「え?オーバン?」
リュシーは幼い頃にはよくやってくれていたが、大きくなってからは無かったので戸惑い、上目づかいでオーバンを見上げるとオーバンば座っているリュシーに視線を合わせ、言葉を掛けた。
「リュシー様。本当にここまで大きくなられて。私は、おこがましいですけれども我が子のように接して参りました。ですがこの度、お別れの運びとなりましたのでご挨拶を…。これからも、しっかりやるのですよ。」
「え!?オーバン、辞めてしまうの?」
「いえ…私は変わらずここにおりますよ。リュシー様、あとはバルテレミー様よりお聞き下さい。応接室へお戻りを。」
「まぁ…!という事は、リュシー様が!?私はついていけますでしょうか?とにかく、急いでバルテレミー様の元へ伺いましょう。」
マルゴは、何故いきなりリュシーとお別れの挨拶をするのかと不思議であった。先日、マリエットが発していたどこかへ嫁ぐ話なのかと思ったがそれにしてはオーバンが悔しがってはいない。マルゴも、リュシーがどこかへ行くなんて寝耳に水であった為に、急いで話を知ろうと思ったのだった。
「お父様…え!?」
応接室へ入ると壁際にマリエットと知らない男性が手足を縛られて横たわっていた。それをいないものとして、バルテレミーとウスターシュとエタンがソファに座っているので、どうしたものかと図りかねたのだ。
「リュシー、おいで。ちょっと驚いたかもしれないが、まぁ気にしなくていい。それよりも、ウスターシュ様とエタン様がリュシーを王宮にある魔術棟へとお連れしてくれると聞いたよ。リュシー、それでいいのかい?」
「え?えっと…。」
リュシーはいきなりの事で話が見えなかったが、きっと魔力の話の続きなのだろうと思った。なので改めて聞いてみる事にした。
「お父様。それは、お話していい事なのですか?」
「うん?どういう事だい?」
「私のその…私には通常の事で皆とは違ったもの、他の人にお話しても大丈夫なのかと思いまして…。気持ち悪いとか、あの…」
「リュシー嬢。先ほどは話が途中だったかもしれないね。リュシー嬢が持っている我々から見ると特別な事は、恐らく動物と会話が出来る事かな?それは、かなり特殊な魔力だよ。気持ち悪い事は全くない。むしろ誇れる力だ。出来るなら我々魔術騎士の仲間入りをしてほしい。あ、騎士という名がついているけれど、剣を持って戦うだけが騎士ではないよ。もちろん、給料は支払われるから安心して欲しい。住まいも国が準備してくれる。」
俯いてか細い声でそう話すから、ウスターシュは優しく丁寧にそう伝える。
そして、そのように声を掛けられたリュシーは心が温かくなるのを感じる。今まで、何やっているのとか、気持ち悪いとかしか面と向かって言われていなかった。それを、誇れる力だとウスターシュは言ってくれたのだ。それを聞いて、浮上するように顔を少し上げた。
「済まないね、リュシー。今まで黙っていたが、あそこで寝ている二人は私が眠らせたんだよ。私も、隠していたんだが特殊な魔力持ちと言えるだろう。」
「!」
(お父様が!?そうだったの…!)
「バルテレミー伯爵も、我ら魔術騎士の仲間入りをして欲しいくらいだよ。ね、ウスターシュ。」
「いや、私は…。」
「まぁ、そう言うだろうと思ったよ。じゃあさ、もっとこのレスキュン領も整わせようよ。バルテレミー伯爵が魔力持ちって分かれば、セレスタンみたいな変態野郎が来なくなるんじゃない?」
「そうだね。もう少し手を加えてもいいかもしれないな。進言してみるよ。野生動物も、増えすぎては困るが獲りすぎてもいけないからな。」
「驚いたかい?リュシー。
ああそうだ、リュシーが三歳位の頃に、アオ鷹の爪を取ってきてくれたろう?あれには驚いたが、本当に助かった。あの日はね、野生動物を獲りに行ってたんだ。生け捕りは高値で売れるからね。でも、生け捕りには出来たが失敗して、首を引っかかれてね。死にかけたよ。」
「え?お父様が?どうして?」
「売ったお金を収入、まぁ生活費に回していたんだよ。だから、カジミールが寄宿学校で学びたいのなら、ちょっと希少な野生動物を二匹ほど捕まえてこれば事足りたんだ。リュシーにも通いたいかと一度聞いたね?通いたければ通えたんだよ。
ただ、そうするとリュシーが悲しむかと思ってなかなかし辛くてね。よく、野生動物と楽しそうに話をしていただろう?だが、他の者が近づくと野生動物は皆逃げるから、リュシーを見守る事しか出来なかったなぁ。済まなかったね。」
そう言ったバルテレミーは抱きしめようと手を伸ばしたがすんでの所で手を止める。
「あぁ、愛する我が娘を抱きしめる事も出来ない父親をどうか許しておくれ。」
「お父様…!私、行ってみるわ。自分は野生動物と会話が出来るだけで、それが特別なのかよく分からないけれど、試してみたいの!カジミールの学費にもなりそうだもの。」
「あぁ。分かった。行って来なさい。出来ないと思ったらすぐに帰ってこればいいからな。」
そう言ったバルテレミーに、父親の気持ちを初めて知れたと思ったリュシーは嬉しそうに笑った。
「気にされないで、ゆっくりいたしましょう。」
と言ってさらに焼き菓子を持ってきた。まぁ、自分にはきっと関係のない話だろうとゆっくりする事にした。森で野生動物と話をしたあとはやたらと甘いものが欲しくなるから、嬉しそうにリュシーは二個三個と焼き菓子に手を伸ばした。
やがて、紅茶のお代わりをゆっくりと楽しんだ頃、オーバンが入ってくると、くつろいでいるリュシーを見て目を細め、近づいてきて頭を撫でた。
「え?オーバン?」
リュシーは幼い頃にはよくやってくれていたが、大きくなってからは無かったので戸惑い、上目づかいでオーバンを見上げるとオーバンば座っているリュシーに視線を合わせ、言葉を掛けた。
「リュシー様。本当にここまで大きくなられて。私は、おこがましいですけれども我が子のように接して参りました。ですがこの度、お別れの運びとなりましたのでご挨拶を…。これからも、しっかりやるのですよ。」
「え!?オーバン、辞めてしまうの?」
「いえ…私は変わらずここにおりますよ。リュシー様、あとはバルテレミー様よりお聞き下さい。応接室へお戻りを。」
「まぁ…!という事は、リュシー様が!?私はついていけますでしょうか?とにかく、急いでバルテレミー様の元へ伺いましょう。」
マルゴは、何故いきなりリュシーとお別れの挨拶をするのかと不思議であった。先日、マリエットが発していたどこかへ嫁ぐ話なのかと思ったがそれにしてはオーバンが悔しがってはいない。マルゴも、リュシーがどこかへ行くなんて寝耳に水であった為に、急いで話を知ろうと思ったのだった。
「お父様…え!?」
応接室へ入ると壁際にマリエットと知らない男性が手足を縛られて横たわっていた。それをいないものとして、バルテレミーとウスターシュとエタンがソファに座っているので、どうしたものかと図りかねたのだ。
「リュシー、おいで。ちょっと驚いたかもしれないが、まぁ気にしなくていい。それよりも、ウスターシュ様とエタン様がリュシーを王宮にある魔術棟へとお連れしてくれると聞いたよ。リュシー、それでいいのかい?」
「え?えっと…。」
リュシーはいきなりの事で話が見えなかったが、きっと魔力の話の続きなのだろうと思った。なので改めて聞いてみる事にした。
「お父様。それは、お話していい事なのですか?」
「うん?どういう事だい?」
「私のその…私には通常の事で皆とは違ったもの、他の人にお話しても大丈夫なのかと思いまして…。気持ち悪いとか、あの…」
「リュシー嬢。先ほどは話が途中だったかもしれないね。リュシー嬢が持っている我々から見ると特別な事は、恐らく動物と会話が出来る事かな?それは、かなり特殊な魔力だよ。気持ち悪い事は全くない。むしろ誇れる力だ。出来るなら我々魔術騎士の仲間入りをしてほしい。あ、騎士という名がついているけれど、剣を持って戦うだけが騎士ではないよ。もちろん、給料は支払われるから安心して欲しい。住まいも国が準備してくれる。」
俯いてか細い声でそう話すから、ウスターシュは優しく丁寧にそう伝える。
そして、そのように声を掛けられたリュシーは心が温かくなるのを感じる。今まで、何やっているのとか、気持ち悪いとかしか面と向かって言われていなかった。それを、誇れる力だとウスターシュは言ってくれたのだ。それを聞いて、浮上するように顔を少し上げた。
「済まないね、リュシー。今まで黙っていたが、あそこで寝ている二人は私が眠らせたんだよ。私も、隠していたんだが特殊な魔力持ちと言えるだろう。」
「!」
(お父様が!?そうだったの…!)
「バルテレミー伯爵も、我ら魔術騎士の仲間入りをして欲しいくらいだよ。ね、ウスターシュ。」
「いや、私は…。」
「まぁ、そう言うだろうと思ったよ。じゃあさ、もっとこのレスキュン領も整わせようよ。バルテレミー伯爵が魔力持ちって分かれば、セレスタンみたいな変態野郎が来なくなるんじゃない?」
「そうだね。もう少し手を加えてもいいかもしれないな。進言してみるよ。野生動物も、増えすぎては困るが獲りすぎてもいけないからな。」
「驚いたかい?リュシー。
ああそうだ、リュシーが三歳位の頃に、アオ鷹の爪を取ってきてくれたろう?あれには驚いたが、本当に助かった。あの日はね、野生動物を獲りに行ってたんだ。生け捕りは高値で売れるからね。でも、生け捕りには出来たが失敗して、首を引っかかれてね。死にかけたよ。」
「え?お父様が?どうして?」
「売ったお金を収入、まぁ生活費に回していたんだよ。だから、カジミールが寄宿学校で学びたいのなら、ちょっと希少な野生動物を二匹ほど捕まえてこれば事足りたんだ。リュシーにも通いたいかと一度聞いたね?通いたければ通えたんだよ。
ただ、そうするとリュシーが悲しむかと思ってなかなかし辛くてね。よく、野生動物と楽しそうに話をしていただろう?だが、他の者が近づくと野生動物は皆逃げるから、リュシーを見守る事しか出来なかったなぁ。済まなかったね。」
そう言ったバルテレミーは抱きしめようと手を伸ばしたがすんでの所で手を止める。
「あぁ、愛する我が娘を抱きしめる事も出来ない父親をどうか許しておくれ。」
「お父様…!私、行ってみるわ。自分は野生動物と会話が出来るだけで、それが特別なのかよく分からないけれど、試してみたいの!カジミールの学費にもなりそうだもの。」
「あぁ。分かった。行って来なさい。出来ないと思ったらすぐに帰ってこればいいからな。」
そう言ったバルテレミーに、父親の気持ちを初めて知れたと思ったリュシーは嬉しそうに笑った。
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