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17. 鳥が好きな王子様
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ウスターシュと共にリュシーは厩舎から部屋へと戻る途中、庭園から鳥達の大合唱が聞こえてきた。
ピチチチ
キュルキュルキュル
ピーチチチチ
チュンチュンチュン
チチチチチ
「なんだか、賑やかですね。レスキュン領の朝を思い出します。」
リュシーはフフフ、と微笑みながらいつの間にかそう呟いていた。
「ん?あぁ…あれは、王太子のジルベール様だよ。彼の特技、とでもいうべきかな。行ってみようか。」
そうウスターシュは言うと、その鳥達の方へと方向転換して進んだ。
「まぁ…!」
リュシーは、庭園の噴水を抜けた奥の四阿を見た時に、想像以上で驚いてしまう。
鳥達が、一人の男性を囲み、合唱していたのだ。
その男性は、ジルベールだ。
ジルベールのの頭に乗っている黄色い鳥、両肩に乗っている茶色の鳥、伸ばした腕を止まり木代わりに止まって並んでいるお腹が白い鳥達。そして、ジルベールに乗れない鳥達はほかにもいて、四阿の椅子や机に止まり、ジルベールもとても嬉しそうに鳥達を順に見つめている。
「おや。珍しいお客さんだ。」
そうジルベールが言うと、足音に気づいたのか、鳥達が一斉に飛び立ってしまった。
「あ!…申し訳ありません……。」
リュシーは反射的にそう呟いた。あんなに楽しそうにしていたのに邪魔をしてしまったと思ったからだ。
「あぁ、いいよ。すぐきっと戻って来てくれる。それよりウスターシュ、彼女が?」
ジルベールは、リュシーへと視線を移し、心配ないというように笑いながらそういうと、ウスターシュへと話し掛ける。
「はい。昨日、我ら魔術騎士の仲間となりました、リュシー=アランブール嬢です。」
「よろしくお願い致します。」
「あぁ、いいよ。今は別に、誰もいないから楽にしてくれ。私は、この国の王太子、ジルベールだ。…驚いたかい?」
「は、はい…素晴らしいです!」
「そう?そう言ってくれて嬉しいよ。けれどね、僕って一応、次代の国王陛下なんだ。だから、こんな鳥を愛するナヨナヨした男じゃダメだと言う輩もいるんだよ。」
「そんな…!」
「ああ、それからアオ鷹の爪を持って来てくれたんだろう?ありがとう。あれは、僕が頂いたよ。」
「え?あ、いいえ…。」
(ジルベール様が?体調がどこか良くなかったのかしら。)
ジルベールの言葉に、リュシーは首を傾げる。そして、そんな王族の体調に関わる話を聞いていいものなのだろうか、と思った。
「僕は、体が弱いんだよ。すぐに熱が出てしまってね。これでも、幼い頃よりはだいぶ丈夫になったんだけれどね。
けどね、アオ鷹の爪を煎じて飲んだら、なんだか今までよりも体がスッキリしてね。とてもよく効いたよ。」
「そうでしたか…お元気になられて本当に良かったです。」
「ありがとう。まぁ、それもあって周りからいろいろと言われるんだ。
実際、僕は執務室で書類に向き合っているより、こうやって鳥達と一緒に居た方が性に合っている。しかし鳥達とこういう時間を過ごせるのも、父が国をしっかり治めてくれているからだ。その姿を見ているから、僕なりに国を治める事はしないといけないと思っているよ。」
「ジルベール、片意地張るな。皆、分かっているさ。」
「…そうだといいがね。」
その横顔がとても悲しそうだと思っていたリュシーだったが、それを感じ取ったのか、ジルベールの周りにまた、先ほど飛んで行ったと思った鳥達が戻って来て、同じようにジルベールの体や、近くに止まった。
「ありがとう。君たちが今と変わらず暮らせる国を、変わらずに僕が治めていくから。」
ジルベールは、そんな鳥達に声を掛ける。
「リュシー嬢。君は、動物の声が聞けるんだよね?なんと素晴らしい魔術かと思うよ。僕は、この小鳥達が寄ってきてくれるが、別に声が聞けるわけではないからね。」
リュシーには、ピチチチと囀っているのは会話しているというより合唱しているように聞こえているから、ずっと話し声が聞こえているわけではないが、いつも話が聞けていると思っているのだろうと考える。
「ジルベール様。この小鳥達は、ジルベール様と一緒にいるのが楽しいというような、歌を歌っております。」
「…!歌…そうか……。」
「はい。」
そう言うと、より一層嬉しそうに鳥達を見つめるジルベール。
そのやりとりを見ていたウスターシュは、なんとも、微笑ましいというように見ていた。
「ウスターシュ。リュシー嬢を連れて来てくれてありがとう。僕はいつも話しかけられているんだと思っていたんだ。けれどそういうわけでも無かったんだね。」
《そりゃあそうよ。だってジルベールが淋しそうにしてたって聞いたわ。》
《そうね。私達は代々一緒にいるのよ!親から伝え聞いているのは、ジルベールに元気を与える為に、一緒に歌う事にしたらしいわ。》
《うん、そう聞いてる。僕達は、人間みたいに長く生きられないから、代々親から伝え聞いているけど、ジルベールが小さかった頃に元気が無かったから、傍にいるようになったって。体が弱くって、よく部屋に居たって。》
《そうそう。それになんか、歌が歌えなくなって、悲しそうだったとか言ってたかなぁ。》
《ねー!》
「そうなのね。
ジルベール様。皆は、ジルベール様が小さい時に出会った鳥達から代々伝え聞いて傍に来て一緒にいるらしいですよ。歌が歌えないとか、元気が無かったから、とか?」
「ああ、そうか…。そうだね、いつも傍に来てくれてたな。部屋にも、窓を開けていると入ってきたし。歌もたくさん歌うと倒れそうになるけど、気をつければ部屋に居てもベッドに入っていても歌えたからね。でも、ベッドにいても、体が辛い時は歌う事も出来なくて、なんで僕の体はこんなに弱いんだと嘆いていた事もあったんだ。
皆ありがとう!
リュシー嬢も、それを僕に伝えてくれてありがとう。なんだか、より一層、鳥達の為にも、もちろん国の民の為にも頑張っていかないとと思えたよ!」
「いいえ。お役に立てたならよかったです。」
リュシーはまた、そう言ってニコリと笑った。先ほどよりもジルベールが晴れやかな顔になったので、リュシーはここに来て人の役に立つ事が出来て本当に良かったと思った。
ピチチチ
キュルキュルキュル
ピーチチチチ
チュンチュンチュン
チチチチチ
「なんだか、賑やかですね。レスキュン領の朝を思い出します。」
リュシーはフフフ、と微笑みながらいつの間にかそう呟いていた。
「ん?あぁ…あれは、王太子のジルベール様だよ。彼の特技、とでもいうべきかな。行ってみようか。」
そうウスターシュは言うと、その鳥達の方へと方向転換して進んだ。
「まぁ…!」
リュシーは、庭園の噴水を抜けた奥の四阿を見た時に、想像以上で驚いてしまう。
鳥達が、一人の男性を囲み、合唱していたのだ。
その男性は、ジルベールだ。
ジルベールのの頭に乗っている黄色い鳥、両肩に乗っている茶色の鳥、伸ばした腕を止まり木代わりに止まって並んでいるお腹が白い鳥達。そして、ジルベールに乗れない鳥達はほかにもいて、四阿の椅子や机に止まり、ジルベールもとても嬉しそうに鳥達を順に見つめている。
「おや。珍しいお客さんだ。」
そうジルベールが言うと、足音に気づいたのか、鳥達が一斉に飛び立ってしまった。
「あ!…申し訳ありません……。」
リュシーは反射的にそう呟いた。あんなに楽しそうにしていたのに邪魔をしてしまったと思ったからだ。
「あぁ、いいよ。すぐきっと戻って来てくれる。それよりウスターシュ、彼女が?」
ジルベールは、リュシーへと視線を移し、心配ないというように笑いながらそういうと、ウスターシュへと話し掛ける。
「はい。昨日、我ら魔術騎士の仲間となりました、リュシー=アランブール嬢です。」
「よろしくお願い致します。」
「あぁ、いいよ。今は別に、誰もいないから楽にしてくれ。私は、この国の王太子、ジルベールだ。…驚いたかい?」
「は、はい…素晴らしいです!」
「そう?そう言ってくれて嬉しいよ。けれどね、僕って一応、次代の国王陛下なんだ。だから、こんな鳥を愛するナヨナヨした男じゃダメだと言う輩もいるんだよ。」
「そんな…!」
「ああ、それからアオ鷹の爪を持って来てくれたんだろう?ありがとう。あれは、僕が頂いたよ。」
「え?あ、いいえ…。」
(ジルベール様が?体調がどこか良くなかったのかしら。)
ジルベールの言葉に、リュシーは首を傾げる。そして、そんな王族の体調に関わる話を聞いていいものなのだろうか、と思った。
「僕は、体が弱いんだよ。すぐに熱が出てしまってね。これでも、幼い頃よりはだいぶ丈夫になったんだけれどね。
けどね、アオ鷹の爪を煎じて飲んだら、なんだか今までよりも体がスッキリしてね。とてもよく効いたよ。」
「そうでしたか…お元気になられて本当に良かったです。」
「ありがとう。まぁ、それもあって周りからいろいろと言われるんだ。
実際、僕は執務室で書類に向き合っているより、こうやって鳥達と一緒に居た方が性に合っている。しかし鳥達とこういう時間を過ごせるのも、父が国をしっかり治めてくれているからだ。その姿を見ているから、僕なりに国を治める事はしないといけないと思っているよ。」
「ジルベール、片意地張るな。皆、分かっているさ。」
「…そうだといいがね。」
その横顔がとても悲しそうだと思っていたリュシーだったが、それを感じ取ったのか、ジルベールの周りにまた、先ほど飛んで行ったと思った鳥達が戻って来て、同じようにジルベールの体や、近くに止まった。
「ありがとう。君たちが今と変わらず暮らせる国を、変わらずに僕が治めていくから。」
ジルベールは、そんな鳥達に声を掛ける。
「リュシー嬢。君は、動物の声が聞けるんだよね?なんと素晴らしい魔術かと思うよ。僕は、この小鳥達が寄ってきてくれるが、別に声が聞けるわけではないからね。」
リュシーには、ピチチチと囀っているのは会話しているというより合唱しているように聞こえているから、ずっと話し声が聞こえているわけではないが、いつも話が聞けていると思っているのだろうと考える。
「ジルベール様。この小鳥達は、ジルベール様と一緒にいるのが楽しいというような、歌を歌っております。」
「…!歌…そうか……。」
「はい。」
そう言うと、より一層嬉しそうに鳥達を見つめるジルベール。
そのやりとりを見ていたウスターシュは、なんとも、微笑ましいというように見ていた。
「ウスターシュ。リュシー嬢を連れて来てくれてありがとう。僕はいつも話しかけられているんだと思っていたんだ。けれどそういうわけでも無かったんだね。」
《そりゃあそうよ。だってジルベールが淋しそうにしてたって聞いたわ。》
《そうね。私達は代々一緒にいるのよ!親から伝え聞いているのは、ジルベールに元気を与える為に、一緒に歌う事にしたらしいわ。》
《うん、そう聞いてる。僕達は、人間みたいに長く生きられないから、代々親から伝え聞いているけど、ジルベールが小さかった頃に元気が無かったから、傍にいるようになったって。体が弱くって、よく部屋に居たって。》
《そうそう。それになんか、歌が歌えなくなって、悲しそうだったとか言ってたかなぁ。》
《ねー!》
「そうなのね。
ジルベール様。皆は、ジルベール様が小さい時に出会った鳥達から代々伝え聞いて傍に来て一緒にいるらしいですよ。歌が歌えないとか、元気が無かったから、とか?」
「ああ、そうか…。そうだね、いつも傍に来てくれてたな。部屋にも、窓を開けていると入ってきたし。歌もたくさん歌うと倒れそうになるけど、気をつければ部屋に居てもベッドに入っていても歌えたからね。でも、ベッドにいても、体が辛い時は歌う事も出来なくて、なんで僕の体はこんなに弱いんだと嘆いていた事もあったんだ。
皆ありがとう!
リュシー嬢も、それを僕に伝えてくれてありがとう。なんだか、より一層、鳥達の為にも、もちろん国の民の為にも頑張っていかないとと思えたよ!」
「いいえ。お役に立てたならよかったです。」
リュシーはまた、そう言ってニコリと笑った。先ほどよりもジルベールが晴れやかな顔になったので、リュシーはここに来て人の役に立つ事が出来て本当に良かったと思った。
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