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14. 裏話
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ウスターシュとリュシーからしばらく遅れてすっかり夜の帳が降りた頃、エタン達が王宮へと辿り着いた。
エタンが、応援の魔術騎士の者達と一緒にマリエットとセレスタンを連れて行く。その頃には、目が覚めていて、けれども寝ぼけているのかなぜここに来たのか良く分かっていないようだった。
「陛下。ウスターシュ様から聞かれていらっしゃるでしょうか。レスキュン領での罪人をお連れ致しました。」
「ほう。詳しい話は聞いておらん。説明せよ。」
「はい。こちらの女性マリエット様は、アランブール伯爵家バルテレミー様のご夫人でごさいます。」
「あぁ。存じておる。」
「左様ですか。それで、こちらの男性はセレスタン=アルブー男爵です。
アルブー商会の会長で、レスキュン領の〝危ない森〟の野生動物を違法に乱獲されていたそうです。
そして、アランブール伯爵家への不法侵入、マリエット様との不貞、それからマリエット様の実の娘であられるリュシー嬢との身売りのような結婚をバルテレミー伯爵の許可も無く無理矢理させようとした事が発覚しましたのでお連れしました。」
「なるほどな…多いな。」
「そんなデタラメ、でっち上げだ!」
「そ、そうよそうよ!私は何も悪くないわ!」
「控えろ!国王陛下の御前であるぞ!」
「!」
「!」
「ふん…マリエット夫人、昔はバルテレミーにぞっこんで、半ば押しかけのようにレスキュン領へと嫁いだと思っておったのに、どこをどう転んだらこんな事をしでかしてしまうのだ。悲しいことよ。」
「へ、陛下!そう言いましても、バルテレミーは私を抱きしめる事もキスをする事もしてくれなかったのよ!?私に触れないの!だからバルテレミーが悪いのよ!!」
「…それは、仕方ないのだよ。バルテレミーもきちんとマリエット夫人に話していればこうもならなかっただろうに。
あいつはな、触れた相手の意識を無くしてしまうのだよ。眠らせるというのかな。愛する者を触れられないのは辛い、と言っておったな。」
「…え?」
「魔力だ。特殊な魔力。あやつは寄宿学校ではそれを同級生に知られまいと必死に隠しておった。まぁ、そのせいでいつも一人だったがな。よって、マリエット夫人にも隠しておったのかもしれん。」
「そ…!」
「だからといって、不貞をしていい事にはならん。もっとよく話し合い、どうにかすればよかったものを。
それに、なんだ?バルテレミーの知らない所で実の娘を、売ろうとしただと!?バカにするにもほどがあるわ!」
「…!で、ですが、お金が必要だったのです!」
「金が必要なら、娘を売ってもよいのか?アルブー商会といえば、いかがわしい商品しか販売しないと噂の商会であろう。新たな蒐集品に加えられるのは目に見えておろうが!まぁ、近々調べあげようとしていたからちょうど良いわ。アルブー商会はもうお終いだ。」
「ちょ、ちょっとお待ち下さい!へ、陛下は…動物がお好みだとか。ウチにはたくさん珍しいものがあります!献上いたしますからぜひとも無かった事に!!」
「なにを戯けた事を……そんな事で罪が軽くなると思うたのか?私を見くびるな!今までレスキュン領の貴重な野生動物をどれだけ乱獲した!?それで生計を細々と立てている狩人とは違うだろうに!まぁ、余罪はたんとあるだろうて。そうだなぁ…調べ上げるまで、二人共ゆっくりしていくがよい。さぁ、連れて行け!」
「はい。」
レスキュン領の近くからエタンと共に来た応援の魔術騎士は、王宮魔術騎士に二人を縛り上げている綱を預ける。王宮魔術騎士達は、視線を交わしたあと、喚いている二人を無理矢理引っ張ったり背中を押したりして連れて行った。
「エタン。」
「はい。」
「ご苦労であったな。」
「ありがとうございます。」
「お前は、マリエットとセレスタンの処遇はどう思う?意見を述べよ。」
「私…ですか?」
「そうだ。お前は現場で見てきただろう?どのように映った?」
「私が…考えるに、セレスタンは極刑でも足りない位かと。彼の蒐集品の中には、可哀想な最期を迎えた生き物もいるとかいないとか…証拠を掴めきれていなかった為に、家宅捜索が出来なかったので、噂の域を超えませんが。」
「ふむ。」
「マリエット様は…正直、極刑は難しいでしょう。不貞は、人道に反する事ではありますが、それだけでは、世の中良くある話です。リュシー嬢の結婚話は、当主を蔑ろにはしているので、その線でいくならあるいは。ただ、未遂で終わっております。」
「そうだな。」
「ただ、バルテレミー伯爵より、処遇は一任されております。どのような罪状となっても、文句は言われないでしょう。」
「まぁ、あいつはそうだな。優しい性格ゆえに自分では処遇を決められないのだろう。今はどうあれ、一時は愛し合っていただろうし余計にな……。
エタンも疲れただろう。ゆっくり休め。」
フロランはそう言い、エタンを労った。しかし、エタンはそう言ったフロランこそ疲れているように見えた。
エタンが、応援の魔術騎士の者達と一緒にマリエットとセレスタンを連れて行く。その頃には、目が覚めていて、けれども寝ぼけているのかなぜここに来たのか良く分かっていないようだった。
「陛下。ウスターシュ様から聞かれていらっしゃるでしょうか。レスキュン領での罪人をお連れ致しました。」
「ほう。詳しい話は聞いておらん。説明せよ。」
「はい。こちらの女性マリエット様は、アランブール伯爵家バルテレミー様のご夫人でごさいます。」
「あぁ。存じておる。」
「左様ですか。それで、こちらの男性はセレスタン=アルブー男爵です。
アルブー商会の会長で、レスキュン領の〝危ない森〟の野生動物を違法に乱獲されていたそうです。
そして、アランブール伯爵家への不法侵入、マリエット様との不貞、それからマリエット様の実の娘であられるリュシー嬢との身売りのような結婚をバルテレミー伯爵の許可も無く無理矢理させようとした事が発覚しましたのでお連れしました。」
「なるほどな…多いな。」
「そんなデタラメ、でっち上げだ!」
「そ、そうよそうよ!私は何も悪くないわ!」
「控えろ!国王陛下の御前であるぞ!」
「!」
「!」
「ふん…マリエット夫人、昔はバルテレミーにぞっこんで、半ば押しかけのようにレスキュン領へと嫁いだと思っておったのに、どこをどう転んだらこんな事をしでかしてしまうのだ。悲しいことよ。」
「へ、陛下!そう言いましても、バルテレミーは私を抱きしめる事もキスをする事もしてくれなかったのよ!?私に触れないの!だからバルテレミーが悪いのよ!!」
「…それは、仕方ないのだよ。バルテレミーもきちんとマリエット夫人に話していればこうもならなかっただろうに。
あいつはな、触れた相手の意識を無くしてしまうのだよ。眠らせるというのかな。愛する者を触れられないのは辛い、と言っておったな。」
「…え?」
「魔力だ。特殊な魔力。あやつは寄宿学校ではそれを同級生に知られまいと必死に隠しておった。まぁ、そのせいでいつも一人だったがな。よって、マリエット夫人にも隠しておったのかもしれん。」
「そ…!」
「だからといって、不貞をしていい事にはならん。もっとよく話し合い、どうにかすればよかったものを。
それに、なんだ?バルテレミーの知らない所で実の娘を、売ろうとしただと!?バカにするにもほどがあるわ!」
「…!で、ですが、お金が必要だったのです!」
「金が必要なら、娘を売ってもよいのか?アルブー商会といえば、いかがわしい商品しか販売しないと噂の商会であろう。新たな蒐集品に加えられるのは目に見えておろうが!まぁ、近々調べあげようとしていたからちょうど良いわ。アルブー商会はもうお終いだ。」
「ちょ、ちょっとお待ち下さい!へ、陛下は…動物がお好みだとか。ウチにはたくさん珍しいものがあります!献上いたしますからぜひとも無かった事に!!」
「なにを戯けた事を……そんな事で罪が軽くなると思うたのか?私を見くびるな!今までレスキュン領の貴重な野生動物をどれだけ乱獲した!?それで生計を細々と立てている狩人とは違うだろうに!まぁ、余罪はたんとあるだろうて。そうだなぁ…調べ上げるまで、二人共ゆっくりしていくがよい。さぁ、連れて行け!」
「はい。」
レスキュン領の近くからエタンと共に来た応援の魔術騎士は、王宮魔術騎士に二人を縛り上げている綱を預ける。王宮魔術騎士達は、視線を交わしたあと、喚いている二人を無理矢理引っ張ったり背中を押したりして連れて行った。
「エタン。」
「はい。」
「ご苦労であったな。」
「ありがとうございます。」
「お前は、マリエットとセレスタンの処遇はどう思う?意見を述べよ。」
「私…ですか?」
「そうだ。お前は現場で見てきただろう?どのように映った?」
「私が…考えるに、セレスタンは極刑でも足りない位かと。彼の蒐集品の中には、可哀想な最期を迎えた生き物もいるとかいないとか…証拠を掴めきれていなかった為に、家宅捜索が出来なかったので、噂の域を超えませんが。」
「ふむ。」
「マリエット様は…正直、極刑は難しいでしょう。不貞は、人道に反する事ではありますが、それだけでは、世の中良くある話です。リュシー嬢の結婚話は、当主を蔑ろにはしているので、その線でいくならあるいは。ただ、未遂で終わっております。」
「そうだな。」
「ただ、バルテレミー伯爵より、処遇は一任されております。どのような罪状となっても、文句は言われないでしょう。」
「まぁ、あいつはそうだな。優しい性格ゆえに自分では処遇を決められないのだろう。今はどうあれ、一時は愛し合っていただろうし余計にな……。
エタンも疲れただろう。ゆっくり休め。」
フロランはそう言い、エタンを労った。しかし、エタンはそう言ったフロランこそ疲れているように見えた。
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