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番外編 結婚の儀
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「お綺麗ですね。あぁ…こんな日が来るなんて。どうぞ、お幸せに、リュシー様。」
「マルゴ。ありがとう!今日はここから二度目の旅立ちだけれど、また来るからね!」
「はい。けれど、あまり実家に帰って来すぎて、ウスターシュ様に愛想を尽かされませんように。」
「そんな事…!え?ある?あるかしら。じゃあもう帰って来られないの?」
「リュシー様!申し訳ありません、冗談でございますよ!ウスターシュ様は、リュシー様に愛想を尽かす事は絶対にないでしょうね。何しろ、一度目の旅立ちの時からリュシー様をそれはもう壊れもののように大切に扱って下さってましたものね。」
「そうだったかしら…?確かに、ウスターシュに私の事を認めてもらって嬉しかったのは覚えているけれど…。」
「それでいいのですよ。リュシー様は何も変わらずに、そのままで。
さ、皆様お待ちですよ。行きましょう。」
「ええ、今まで本当にありがとう、マルゴ。」
「勿体ないお言葉ですねぇ。」
今日は、結婚の儀。
このオジュレバン国では、花嫁の家から花婿の家まで向かい、その家に入る前に、神父に向かって花婿と共に誓いの言葉を述べると、花嫁は初めてその家族と認められるのだ。
見送る為に、バルテレミーは馬車の前で待っていてくれる。今日は、寄宿学校が休みの為、カジミールも帰ってきていた。
「お父様。」
「リュシー。大きくなったな。昔から変わらず今も、これからもずっと愛しているよ。」
「ふふふ、お父様!私もですわ!」
そう言ったリュシーを優しく、恐々と両手を広げて包み込むバルテレミ-。リュシーがプレゼントしてくれた手袋を嵌めているのだ。
「姉上。幸せになって下さい。頼りないかもしれませんが、僕、レスキュン領を盛り上げていきますから。」
「あら。カジミールは頼りなくなんかないわ。私はいつも誇りに思っているわ。ええ、頑張ってね!」
「気をつけるんだよ。」
「はい!あ、オーバンにも伝えておいてね。元気でねって。今までありがとうって。」
「分かっているよ。姉上、早く行かないと到着が夜になってしまいますよ。」
「それはいけないわ!あ!」
リュシーが名残惜しみながらも馬車に乗ろうとすると、〝危ない森〟の方角で野生動物達が立ち並んでいるのが見えた。ここからは小さいので定かではないが、いつもリュシーと語らった動物達だろうとリュシーは手を振る。
「みんな、ありがとう!みんながいたから私は淋しくなかったのよ!またね!」
アオ鷹も、その動物達の頭の上で、旋回していた。
☆★
馬車で半日ほど走ると、セナンクール領が見えてきた。もう少しで、屋敷も見えると前方に座っている馬車を操っている御者がリュシーへと伝える。
(いよいよなのね。)
ウスターシュの両親には、一度挨拶をしていた。
ウスターシュはしなくていいと言ったのだが、やはり結婚前に会うのが礼儀ではないのか、印象が悪くならないのかと心配してウスターシュに問いたリュシーに、大丈夫だと言って放っておいたら、なんと自ら王宮に会いに来てしまったのだ。
「こんにちは。私、ウスターシュの母のアニエスよ。ウスターシュを虜にしちゃったっていうリュシーちゃんを見に来ちゃったわ!だって…ウスターシュったら連れて来てくれないのだもの!リュシーちゃん、屋敷に来たらたくさんお話しましょうね!」
とても優しくリュシーに言葉を掛けてくれたアニエスに、リュシーはこんな優しい母だったら…と思ってしまった。
「リュシーちゃん!結婚したら、あなたはもう私の娘なのだからね?遠慮せず存分に甘えてちょうだい!うちには、息子がウスターシュ一人でしょ?それなのに家に寄り付かないのだもの。私淋しくって!
だからね、リュシーちゃんこれからいっぱいいろんな事をしましょうね!」
そんな風に声を掛けてくれ、温かい言葉を掛けてくれたのだ。初対面であるにも関わらず、リュシーは思わず涙を流してしまった。
「あらあらあら!もう、可愛いわねぇ!ウスターシュが一時も離さないのが分かるわぁ!でもね、これからは私とも一緒の時間を少しだけでも過ごす事。いいわね?
女同士でしか出来ない事ってたくさんあるもの。うふふ。楽しみだわね!」
リュシーは、きっと自分の母の事を知っているからこそそう言ってくれたのではないかと思い、義母が素敵な人でよかったと思った。
「到着しました。今開けますからお待ち下さい。」
御者に言われ、リュシーは馬車の中で待っていると、扉が開いた。そこには、すでに正装をしたウスターシュがいて手を差し伸べてくれた。
「リュシー、いらっしゃい。真っ白のドレス、とても綺麗だよ。」
ウスターシュとお揃いのリュシーの白いドレスは、太陽に当たるとキラキラと輝いている。ところどころに小さくはあるが宝石が散りばめられているのだ。
「ウスターシュも素敵…。」
いつもは緑色のマントを羽織っている背の高いウスターシュは、白いタキシードはリュシーにとったら新鮮で、手足の長さが引き立っていて格好いいと見惚れてしまうほどだった。
「さぁ、お二人共。お進み下さい。」
二人見つめ合っていたが、あまりに長いので、従僕のブレーズがそう声を掛ける。
ウスターシュは、リュシーの手を自身の左腕に絡ませ、ゆっくりと屋敷の入り口まで進んだ。
そこには、ウスターシュの両親である父ギヨームと、母アニエスが横に控えて立っている。正面には、神父がすでに準備をして立っていた。
二人が、神父の前まで進むと、神父は早速言葉を述べた。
「リュシー=アランブール。あなたは、このウスターシュ=セナンクールと夫婦になる為にここに来たのですか?」
「はい。私、リュシー=アランブールは、ウスターシュ=セナンクール様と夫婦になりたくてここに参りました。」
「ウスターシュ=セナンクール。リュシー=アランブールはこう申しているが、そなたはどうしてここにいるのですか?」
「はい。私、ウスターシュ=セナンクールは、リュシー=アランブールと夫婦になりたくてここにいます。」
「それは、いついかなる時もという事ですかな?楽しいだけではなく、辛い時、悲しい時も共に乗り越えていく夫婦となると誓いますか?」
「「はい、誓います!」」
「よろしい。それではこれより夫婦と認めます。末永く幸せにおなりなさい。」
「ありがとうございます!」
「ありがとうございました。」
それを見届けたウスターシュの両親は、リュシーの元へ来て、喜んでくれる。
「リュシーちゃん、これで晴れて家族の仲間入りね!楽しみにしてたのよ?さぁ、入ってちょうだい!長旅お疲れさまだったわね。ウスターシュったら、朝からそわそわとしていたのよ。」
「リュシーさん、私とは初めましてだね。ウスターシュの父ギヨームだよ。これからよろしく。
私も、君に会いに行ったとアニエスから聞いた時、私も、行こうかと何度思った事か。けれど、それをしたらウスターシュに叱られると思ってね。今日まで我慢していたんだよ。さぁ、中へ入ろう。
ウスターシュ、良かったな。こんな可愛い人が嫁に来てくれて。」
「ありがとうございます。こちらこそ、よろしくお願い致します。」
リュシーは、両親にそれぞれ視線を向けて挨拶をする。
「あ、リュシーちゃん、ここには野生の動物達もよく顔を見せてくれるのよ?庭には、リスもいるわ。今度一緒に見ましょうね!」
「む!アニエス、私も仲間に入れてくれよ?イタチなんかも、いるから、今度一緒に見てくれるかい?」
「まぁ!はい、是非に!」
「もう、母上も父上も止めてくれ!
さぁ、リュシー。屋敷へ入ろう。お手をどうぞ。」
「これで本当に、リュシーとやっと夫婦になれたよ。今日は初夜だからね!」
「!」
リュシーの手を取り、ウスターシュはこっそりとリュシーの耳元でそう言うと、セナンクールの屋敷へと入って行った。
ウスターシュは、今までは王宮で生活していたのだが、これからはセナンクール領の屋敷で生活する事にした。出勤する際は、馬で通勤するのだ。
屋敷は、さすが公爵家。部屋数もたくさんある為に、両親も未だ住んでいるが、ウスターシュと共にリュシーもこれから新婚生活をここで送るのだ。
リュシーはこれからは週に一度王宮へ出勤する。それ以外はここで、公爵夫人としての教育もしなければならないからだ。
ここからまた、リュシーの生活は続いていくーーー。
☆★
番外編もこれにて終わりとなります。
物足りない部分は、あとは読者様の素敵な妄想をお願い致します☆
長々と、ここまで読んで下さいまして、本当にありがとうございました!
ファンタジー小説大賞にエントリーしました。ポチッと押して下さいました方、本当にありがとうございます!
とてもとても、励みになります!嬉しく思っております。
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「そうだったかしら…?確かに、ウスターシュに私の事を認めてもらって嬉しかったのは覚えているけれど…。」
「それでいいのですよ。リュシー様は何も変わらずに、そのままで。
さ、皆様お待ちですよ。行きましょう。」
「ええ、今まで本当にありがとう、マルゴ。」
「勿体ないお言葉ですねぇ。」
今日は、結婚の儀。
このオジュレバン国では、花嫁の家から花婿の家まで向かい、その家に入る前に、神父に向かって花婿と共に誓いの言葉を述べると、花嫁は初めてその家族と認められるのだ。
見送る為に、バルテレミーは馬車の前で待っていてくれる。今日は、寄宿学校が休みの為、カジミールも帰ってきていた。
「お父様。」
「リュシー。大きくなったな。昔から変わらず今も、これからもずっと愛しているよ。」
「ふふふ、お父様!私もですわ!」
そう言ったリュシーを優しく、恐々と両手を広げて包み込むバルテレミ-。リュシーがプレゼントしてくれた手袋を嵌めているのだ。
「姉上。幸せになって下さい。頼りないかもしれませんが、僕、レスキュン領を盛り上げていきますから。」
「あら。カジミールは頼りなくなんかないわ。私はいつも誇りに思っているわ。ええ、頑張ってね!」
「気をつけるんだよ。」
「はい!あ、オーバンにも伝えておいてね。元気でねって。今までありがとうって。」
「分かっているよ。姉上、早く行かないと到着が夜になってしまいますよ。」
「それはいけないわ!あ!」
リュシーが名残惜しみながらも馬車に乗ろうとすると、〝危ない森〟の方角で野生動物達が立ち並んでいるのが見えた。ここからは小さいので定かではないが、いつもリュシーと語らった動物達だろうとリュシーは手を振る。
「みんな、ありがとう!みんながいたから私は淋しくなかったのよ!またね!」
アオ鷹も、その動物達の頭の上で、旋回していた。
☆★
馬車で半日ほど走ると、セナンクール領が見えてきた。もう少しで、屋敷も見えると前方に座っている馬車を操っている御者がリュシーへと伝える。
(いよいよなのね。)
ウスターシュの両親には、一度挨拶をしていた。
ウスターシュはしなくていいと言ったのだが、やはり結婚前に会うのが礼儀ではないのか、印象が悪くならないのかと心配してウスターシュに問いたリュシーに、大丈夫だと言って放っておいたら、なんと自ら王宮に会いに来てしまったのだ。
「こんにちは。私、ウスターシュの母のアニエスよ。ウスターシュを虜にしちゃったっていうリュシーちゃんを見に来ちゃったわ!だって…ウスターシュったら連れて来てくれないのだもの!リュシーちゃん、屋敷に来たらたくさんお話しましょうね!」
とても優しくリュシーに言葉を掛けてくれたアニエスに、リュシーはこんな優しい母だったら…と思ってしまった。
「リュシーちゃん!結婚したら、あなたはもう私の娘なのだからね?遠慮せず存分に甘えてちょうだい!うちには、息子がウスターシュ一人でしょ?それなのに家に寄り付かないのだもの。私淋しくって!
だからね、リュシーちゃんこれからいっぱいいろんな事をしましょうね!」
そんな風に声を掛けてくれ、温かい言葉を掛けてくれたのだ。初対面であるにも関わらず、リュシーは思わず涙を流してしまった。
「あらあらあら!もう、可愛いわねぇ!ウスターシュが一時も離さないのが分かるわぁ!でもね、これからは私とも一緒の時間を少しだけでも過ごす事。いいわね?
女同士でしか出来ない事ってたくさんあるもの。うふふ。楽しみだわね!」
リュシーは、きっと自分の母の事を知っているからこそそう言ってくれたのではないかと思い、義母が素敵な人でよかったと思った。
「到着しました。今開けますからお待ち下さい。」
御者に言われ、リュシーは馬車の中で待っていると、扉が開いた。そこには、すでに正装をしたウスターシュがいて手を差し伸べてくれた。
「リュシー、いらっしゃい。真っ白のドレス、とても綺麗だよ。」
ウスターシュとお揃いのリュシーの白いドレスは、太陽に当たるとキラキラと輝いている。ところどころに小さくはあるが宝石が散りばめられているのだ。
「ウスターシュも素敵…。」
いつもは緑色のマントを羽織っている背の高いウスターシュは、白いタキシードはリュシーにとったら新鮮で、手足の長さが引き立っていて格好いいと見惚れてしまうほどだった。
「さぁ、お二人共。お進み下さい。」
二人見つめ合っていたが、あまりに長いので、従僕のブレーズがそう声を掛ける。
ウスターシュは、リュシーの手を自身の左腕に絡ませ、ゆっくりと屋敷の入り口まで進んだ。
そこには、ウスターシュの両親である父ギヨームと、母アニエスが横に控えて立っている。正面には、神父がすでに準備をして立っていた。
二人が、神父の前まで進むと、神父は早速言葉を述べた。
「リュシー=アランブール。あなたは、このウスターシュ=セナンクールと夫婦になる為にここに来たのですか?」
「はい。私、リュシー=アランブールは、ウスターシュ=セナンクール様と夫婦になりたくてここに参りました。」
「ウスターシュ=セナンクール。リュシー=アランブールはこう申しているが、そなたはどうしてここにいるのですか?」
「はい。私、ウスターシュ=セナンクールは、リュシー=アランブールと夫婦になりたくてここにいます。」
「それは、いついかなる時もという事ですかな?楽しいだけではなく、辛い時、悲しい時も共に乗り越えていく夫婦となると誓いますか?」
「「はい、誓います!」」
「よろしい。それではこれより夫婦と認めます。末永く幸せにおなりなさい。」
「ありがとうございます!」
「ありがとうございました。」
それを見届けたウスターシュの両親は、リュシーの元へ来て、喜んでくれる。
「リュシーちゃん、これで晴れて家族の仲間入りね!楽しみにしてたのよ?さぁ、入ってちょうだい!長旅お疲れさまだったわね。ウスターシュったら、朝からそわそわとしていたのよ。」
「リュシーさん、私とは初めましてだね。ウスターシュの父ギヨームだよ。これからよろしく。
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ウスターシュ、良かったな。こんな可愛い人が嫁に来てくれて。」
「ありがとうございます。こちらこそ、よろしくお願い致します。」
リュシーは、両親にそれぞれ視線を向けて挨拶をする。
「あ、リュシーちゃん、ここには野生の動物達もよく顔を見せてくれるのよ?庭には、リスもいるわ。今度一緒に見ましょうね!」
「む!アニエス、私も仲間に入れてくれよ?イタチなんかも、いるから、今度一緒に見てくれるかい?」
「まぁ!はい、是非に!」
「もう、母上も父上も止めてくれ!
さぁ、リュシー。屋敷へ入ろう。お手をどうぞ。」
「これで本当に、リュシーとやっと夫婦になれたよ。今日は初夜だからね!」
「!」
リュシーの手を取り、ウスターシュはこっそりとリュシーの耳元でそう言うと、セナンクールの屋敷へと入って行った。
ウスターシュは、今までは王宮で生活していたのだが、これからはセナンクール領の屋敷で生活する事にした。出勤する際は、馬で通勤するのだ。
屋敷は、さすが公爵家。部屋数もたくさんある為に、両親も未だ住んでいるが、ウスターシュと共にリュシーもこれから新婚生活をここで送るのだ。
リュシーはこれからは週に一度王宮へ出勤する。それ以外はここで、公爵夫人としての教育もしなければならないからだ。
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そうですね、また違っていたかもしれません(>_<)
そう言って下さいましてありがとうございます>^_^<また機会がありましたら、読んで下さると嬉しいです(≧ヮ≦)
最後まで読んで下さいましてありがとうございました(●^ー^●)
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まだまだ先が気になります🥺困りました。
もふもふさん達のお話もっと聞きたかったな😄
でもでも、読ませていただきありがとうございます😊
にゃあん様、またまた感想&嬉しいお言葉ありがとうございます☆
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最後までお読み下さいまして、本当にありがとうございました(●^ー^●)