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アンカサへ
楽しいランチのはずが……
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「お昼ごはんにしましょう!」
マリアがパンパンッと手を叩くと、侍従たちが手際よく支度をする。
大きい布が広げられ、その上に木製の皿がいくつも並べられる。皿にはパンや干し肉やドライフルーツなどが乗せられた。
豪華なランチとなっている。
「みんなで好きなものを食べましょう! オネット、食べれるものはあるかしら?」
「毒が無ければたいがいのものは食べる」
「安心して。味だけじゃなく衛生面にも気を遣っているから」
マリアは胸を張った。
「パンが硬かったら水でふやかしてから食べて」
「いや、うまい」
「おい、もう食べているのか!? マリア王女が手を付けていないのに」
ミカエルが苦言を呈すると、オネットは首を傾げた。
「早いもの勝ちではないのか?」
「最高権力者に譲るのが普通だろ!」
「譲っていたら食われるだろう」
「それはそうだが、最高権力者に食べてもらえて嬉しいと思え! 上のものに譲るのは常識だ!」
オネットは食べかけのパンを見つめてうなった。
口を付けた部分をちぎり、残りをマリアに手渡す。
ミカエルは制止をかけた。
「待て、それはそれでなしだ。手に毒を塗っていたら大変だ」
「おいしー」
「無警戒に食べないでください、マリア王女!」
「だっておいしいもの。ミカエルも早く食べましょう」
マリアから、干し肉が乗った皿を押し付けられる。
「お肉は好きでしょ?」
「それはそうですが、暗殺者と昼食を共にするなど末代までの恥さらしにされます」
「末代に覚えられているといいな」
「オネット、貴様は黙れ!」
一人を除いて和やかな雰囲気でランチは進んだ。
しかし、草陰からマリアたちの様子を窺う影があった。
近隣に巣くう野盗たちであった。数人いる。
「グローリア王国の連中か」
「うまそうな飯を食ってやがる。見ろよ、あのダラけた近衛兵たち」
「飯も金目のものも奪うチャンスだな」
野盗たちはおのおの武器を手に取り、下卑た笑いを浮かべた。
「こっちに気付いているのはいないぜ」
「野郎ども、行くぜ!」
野盗たちは雄叫びをあげて、いっせいに草陰の外に躍り出た。
奇襲に気付いたミカエルは号令を出す。
「敵襲! 侍従は下がれ、近衛兵はなんとしてでもマリア王女をお守りしろ!」
「俺は?」
「オネットは黙っていろ!」
侍従の間で悲鳴があがる。
王城に出入りする人間としてはさして身分が高くないが、野盗たちにとって充分立派な服を着ている。近衛兵に守られるマリアと違い、恰好の餌食である。
「ついでにてめぇも餌食だ! 珍しい服だぜ!」
オネットに刃を振り下ろす野盗もいた。
「あいにくこの服を奪われるわけにはいかない。ところでミカエル、こいつらはどうすればいい?」
「ああ!? 黙れと言ったはずだな!?」
緊急事態につき、ミカエルの口調は乱暴なものになっていた。
野盗のリーダー格の刃を槍で受け止めながらオネットの方に視線を移す。
野盗のうち何名も地面に倒れ伏していた。侍従たちは無傷であった。
「もうそんなに倒したのか!?」
「少しは譲るべきだと思ったが、あまりに簡単に倒れるから時間の稼ぎ用がなかった」
「野盗なんて譲らなくていい! 加勢しろ!」
「分かった」
オネットが野盗のリーダー格の後ろに回る。
次の瞬間、野郎のリーダー格は両膝を地面についた。泡を吹いて倒れた。
マリアや侍従たちには、野盗たちが勝手に倒れたように見えるだろう。
近衛兵たちがオネットの動きを捉えていたかどうかも怪しい。
しかし、ミカエルには見えていた。
オネットがほんの一瞬にして手刀を落とした瞬間を。
「早すぎる……!」
ミカエルは驚愕し、青ざめた。
「こんな奴からどうやってグローリア王国を守ったらいい……?」
「頑張って守ればいいと思う」
ミカエルの疑問に答えたのは、他でもない、オネットだった。
ミカエルは槍を握る手をワナワナと震わせた。
「ありがたみも何もないアドバイスをありがとな! 貴様は絶対に越えてやる!」
マリアがパンパンッと手を叩くと、侍従たちが手際よく支度をする。
大きい布が広げられ、その上に木製の皿がいくつも並べられる。皿にはパンや干し肉やドライフルーツなどが乗せられた。
豪華なランチとなっている。
「みんなで好きなものを食べましょう! オネット、食べれるものはあるかしら?」
「毒が無ければたいがいのものは食べる」
「安心して。味だけじゃなく衛生面にも気を遣っているから」
マリアは胸を張った。
「パンが硬かったら水でふやかしてから食べて」
「いや、うまい」
「おい、もう食べているのか!? マリア王女が手を付けていないのに」
ミカエルが苦言を呈すると、オネットは首を傾げた。
「早いもの勝ちではないのか?」
「最高権力者に譲るのが普通だろ!」
「譲っていたら食われるだろう」
「それはそうだが、最高権力者に食べてもらえて嬉しいと思え! 上のものに譲るのは常識だ!」
オネットは食べかけのパンを見つめてうなった。
口を付けた部分をちぎり、残りをマリアに手渡す。
ミカエルは制止をかけた。
「待て、それはそれでなしだ。手に毒を塗っていたら大変だ」
「おいしー」
「無警戒に食べないでください、マリア王女!」
「だっておいしいもの。ミカエルも早く食べましょう」
マリアから、干し肉が乗った皿を押し付けられる。
「お肉は好きでしょ?」
「それはそうですが、暗殺者と昼食を共にするなど末代までの恥さらしにされます」
「末代に覚えられているといいな」
「オネット、貴様は黙れ!」
一人を除いて和やかな雰囲気でランチは進んだ。
しかし、草陰からマリアたちの様子を窺う影があった。
近隣に巣くう野盗たちであった。数人いる。
「グローリア王国の連中か」
「うまそうな飯を食ってやがる。見ろよ、あのダラけた近衛兵たち」
「飯も金目のものも奪うチャンスだな」
野盗たちはおのおの武器を手に取り、下卑た笑いを浮かべた。
「こっちに気付いているのはいないぜ」
「野郎ども、行くぜ!」
野盗たちは雄叫びをあげて、いっせいに草陰の外に躍り出た。
奇襲に気付いたミカエルは号令を出す。
「敵襲! 侍従は下がれ、近衛兵はなんとしてでもマリア王女をお守りしろ!」
「俺は?」
「オネットは黙っていろ!」
侍従の間で悲鳴があがる。
王城に出入りする人間としてはさして身分が高くないが、野盗たちにとって充分立派な服を着ている。近衛兵に守られるマリアと違い、恰好の餌食である。
「ついでにてめぇも餌食だ! 珍しい服だぜ!」
オネットに刃を振り下ろす野盗もいた。
「あいにくこの服を奪われるわけにはいかない。ところでミカエル、こいつらはどうすればいい?」
「ああ!? 黙れと言ったはずだな!?」
緊急事態につき、ミカエルの口調は乱暴なものになっていた。
野盗のリーダー格の刃を槍で受け止めながらオネットの方に視線を移す。
野盗のうち何名も地面に倒れ伏していた。侍従たちは無傷であった。
「もうそんなに倒したのか!?」
「少しは譲るべきだと思ったが、あまりに簡単に倒れるから時間の稼ぎ用がなかった」
「野盗なんて譲らなくていい! 加勢しろ!」
「分かった」
オネットが野盗のリーダー格の後ろに回る。
次の瞬間、野郎のリーダー格は両膝を地面についた。泡を吹いて倒れた。
マリアや侍従たちには、野盗たちが勝手に倒れたように見えるだろう。
近衛兵たちがオネットの動きを捉えていたかどうかも怪しい。
しかし、ミカエルには見えていた。
オネットがほんの一瞬にして手刀を落とした瞬間を。
「早すぎる……!」
ミカエルは驚愕し、青ざめた。
「こんな奴からどうやってグローリア王国を守ったらいい……?」
「頑張って守ればいいと思う」
ミカエルの疑問に答えたのは、他でもない、オネットだった。
ミカエルは槍を握る手をワナワナと震わせた。
「ありがたみも何もないアドバイスをありがとな! 貴様は絶対に越えてやる!」
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