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本編
癒えない傷
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雪崩から救われた後、僕たちは教会に連れてこられた。教会の内部は意外と広い。幾つもの長椅子と長机が二列に並べられている。前方に教壇っぽいものがあり、すぐ傍にオルガンが置いてある。その奥は暖炉になっている。両側の壁に窓がある。
石造りという事を除けば、どこにでもありそうな教会だ。暖炉の近くに窓があるのは、たぶん換気のためだ。今は暖炉に火はなく、窓は締め切っているけど。
ここの照明も、光る蔦が担っている。教会の内部中に生い茂り、静かに光っている。
蛍の川とは違った神秘性を感じる。
そんな教会の長椅子に、僕とリトスが並んで座らされた。
目の前には、両目を釣り上げるダークと、顔面が真っ青のボスコが立っている。長机を挟んでいるが、プレッシャーを感じる。
ダークはリトスを睨んでいる。
「まず確認するが、墓地にスノウ・ラビットが出現してみんなが混乱している最中に、リトスはシリウス様を連れて行ったんだな?」
「うん……」
リトスは肩を落としていた。
「蛍を見せたかったんだ」
「森の近くに不自然な穴があった。あれもてめぇが掘ったものだよな?」
「……うん」
リトスは絶望的な表情で頷いた。
僕は慌てて口を開く。
「僕は怪我がなかったし、問題ないよ!」
「たまたまだろ。落とし穴にはめたのが大問題だぜ」
ダークは露骨に溜め息を吐いた。
「本当は俺をはめようとしていたのを、充分な深さになる前に穴を掘るのがめんどくさくなって、急遽シリウス様を落とす事にしたんだろ?」
「しょ、証拠はあるのか? あんたをはめようとした証拠が」
リトスが初めて反論した。
ダークの切れ長の瞳が、鋭く光る。
「言っておくが、シリウス様を落としたのは俺をはめるより遥かに罪が重いぜ。皇帝のご子息に危害を加えたんだ。まず間違いなく死罪だな」
リトスは絶句した。全身を震わせて、冷や汗を垂らしていた。
僕は声を張り上げる。
「リトスは僕に綺麗な景色を教えてくれたんだ! 彼女を処刑しないように命令するよ!」
「最終的な決定をするのはルドルフ皇帝だぜ。シリウス様に蛍を見せた後で、立ち入りを禁止していた場所に勝手に行ったんだ。同情の余地はねぇよ」
川上は立ち入り禁止だったのか!?
リトスは俯いて、ダークに言われるがままだ。
「スノウ・ラビットが山から降りてきたのも、てめぇの差し金だろ? スノウ・ラビットの生息域は足場が特にもろく、雪崩が発生しやすい。足を踏み入れるのだって厳禁だったのによぉ」
「スカイ君、僕からもいいですか?」
ボスコが口を開く。
ダークは頷いた。
ボスコは咳払いをする。
「リトス、君はみんなにとてもひどい事をしたという自覚はありますね?」
「……全部あたしが悪かったよ」
リトスは絞り出すように言っていた。
「みんなが羨ましかったし、妬ましかった。困らせたかった」
「羨ましいとは?」
「幸せそうだった」
リトスは涙目になっていた。
「あたしが混ざっちゃいけないのは分かるけど、本当に羨ましかった」
「そうですか……とても悩んでいたのですね」
ボスコは両手を伸ばし、そっとリトスの両頬を包む。
「あなただって人の間に生まれた子です。人の間で幸せになる権利があるのですよ」
「そんな権利なんて、とっくの昔に消えた!」
リトスは金切り声をあげて、ボスコの両手を振り払った。
「父ちゃんと母ちゃんが理不尽に死んだんだ! あたしに幸せになる権利なんてないんだ!」
「ひどい心の傷を負ったのですね」
ボスコは憐みの視線を浮かべた。
リトスの頬に涙が伝う。
「やめてくれよ、もう父ちゃんと母ちゃんは戻ってこないんだ。幸せになんてなれないんだ。どうせあたしは死ぬんだ!」
リトスがまくしたてた。荒い息をしている。
僕は何も言えなかった。
僕だって祖国のサンライト王国が滅ぼされた時は辛かった。父さんと母さんも死んだだろう。
この傷は癒えない。
ボスコも困惑していた。
そんな時に、ダークが呆れ顔になる。
「そうだよな、てめぇが幸せになれるはずは無いよな」
心底突き放した言い方だ。その場の空気が固まるけど、ダークは頓着がないようだ。
「一生懸命に幸せになろうと頑張っても、幸せになれない人間がいるんだ。そもそも努力をしていない人間が幸せになんてなれるはずがないよな」
ダークはリトスに軽蔑の視線を送っている。
リトスはわなわなと震えた。
「あんたに何が分かる?」
「なにも分からねぇよ。不幸のままでいいなら放っておくし、死にたければそうしろよ。俺にできる事なんて何もないしな」
ダークは教会の外へ歩き出す。
「ルドルフ皇帝とローズベル皇后に報告に行く。ついでにオルガンの鍵盤を抜こうとした事、仮眠をしていた俺の顔に落書きしようとした事、戦争で重傷になった俺に塩を塗ろうとした事も、全部きっちり報告するぜ」
「リトス、それはすぐに謝ろうよ!」
僕が声を掛けると、リトスは涙声になった。
「未遂で終わったんだからいいだろ?」
「全然よくないよ!? むしろ何でやろうとしたの!?」
「だって面白そうだったから」
「わけがわからないよ!」
この子は何を言っているんだ!?
ダークはもう姿が見えなくなってしまった。
リトスは大粒の涙を流して、わんわん泣いていた。
「あたしだって楽しい事をしたいんだ!」
「リトス、少しいいですか?」
ボスコの視線が痛い。きっと怒っている。
でも、声は穏やかなままだ。
「あなたを庇うために、スカイ君がどれほど苦労をしたのか分かりますか?」
「え?」
意表を突かれたのだろう。リトスは両目を丸くして沈黙した。
僕も言葉を失った。
ボスコの表情は暗い。
「スカイ君から口止めをされていますが、どうしてもお伝えしたい事があります。あなたにとって辛く苦しい話になると思いますが、聞いていただきたいのです」
「……どんな話なんだ?」
リトスは嗚咽をもらしたが、涙をぬぐっていた。
「どうせ死ぬんだ。どんな話でも聞くよ」
「感謝します」
ボスコは悲しそうに微笑んだ。
「実は、あなたはとっくに昔に殺される予定でした。ローズ・マリオネットたちのパワーアップのために」
「え……?」
リトスは固まった。たいがいの話を聞いても驚かないつもりだったけど、僕も唖然とした。
ボスコは続ける。
「あなただけではありません。この教会に住んでいる多くの人間が、殺されるはずでした。ローズ・マリオネットが扱う異能であるワールド・スピリットは、死者の魂の集合体がエネルギー源ですからね。死ぬ人間が多いほど、強力になると言われていました」
「……ダーク・スカイもローズ・マリオネットだよな。あたしなんて死んだ方が都合がいいよな」
リトスは絞り出すように言っていた。
「なんであたしを助けたんだ?」
「詳しい事はスカイ君に聞いてください。僕が見たのは、あなたたちを殺すという決定に猛抗議する姿です。ローズベル様に、決闘を申し込んでいました」
「なんだって!?」
リトスは驚嘆した。僕だって初耳だ。
石造りという事を除けば、どこにでもありそうな教会だ。暖炉の近くに窓があるのは、たぶん換気のためだ。今は暖炉に火はなく、窓は締め切っているけど。
ここの照明も、光る蔦が担っている。教会の内部中に生い茂り、静かに光っている。
蛍の川とは違った神秘性を感じる。
そんな教会の長椅子に、僕とリトスが並んで座らされた。
目の前には、両目を釣り上げるダークと、顔面が真っ青のボスコが立っている。長机を挟んでいるが、プレッシャーを感じる。
ダークはリトスを睨んでいる。
「まず確認するが、墓地にスノウ・ラビットが出現してみんなが混乱している最中に、リトスはシリウス様を連れて行ったんだな?」
「うん……」
リトスは肩を落としていた。
「蛍を見せたかったんだ」
「森の近くに不自然な穴があった。あれもてめぇが掘ったものだよな?」
「……うん」
リトスは絶望的な表情で頷いた。
僕は慌てて口を開く。
「僕は怪我がなかったし、問題ないよ!」
「たまたまだろ。落とし穴にはめたのが大問題だぜ」
ダークは露骨に溜め息を吐いた。
「本当は俺をはめようとしていたのを、充分な深さになる前に穴を掘るのがめんどくさくなって、急遽シリウス様を落とす事にしたんだろ?」
「しょ、証拠はあるのか? あんたをはめようとした証拠が」
リトスが初めて反論した。
ダークの切れ長の瞳が、鋭く光る。
「言っておくが、シリウス様を落としたのは俺をはめるより遥かに罪が重いぜ。皇帝のご子息に危害を加えたんだ。まず間違いなく死罪だな」
リトスは絶句した。全身を震わせて、冷や汗を垂らしていた。
僕は声を張り上げる。
「リトスは僕に綺麗な景色を教えてくれたんだ! 彼女を処刑しないように命令するよ!」
「最終的な決定をするのはルドルフ皇帝だぜ。シリウス様に蛍を見せた後で、立ち入りを禁止していた場所に勝手に行ったんだ。同情の余地はねぇよ」
川上は立ち入り禁止だったのか!?
リトスは俯いて、ダークに言われるがままだ。
「スノウ・ラビットが山から降りてきたのも、てめぇの差し金だろ? スノウ・ラビットの生息域は足場が特にもろく、雪崩が発生しやすい。足を踏み入れるのだって厳禁だったのによぉ」
「スカイ君、僕からもいいですか?」
ボスコが口を開く。
ダークは頷いた。
ボスコは咳払いをする。
「リトス、君はみんなにとてもひどい事をしたという自覚はありますね?」
「……全部あたしが悪かったよ」
リトスは絞り出すように言っていた。
「みんなが羨ましかったし、妬ましかった。困らせたかった」
「羨ましいとは?」
「幸せそうだった」
リトスは涙目になっていた。
「あたしが混ざっちゃいけないのは分かるけど、本当に羨ましかった」
「そうですか……とても悩んでいたのですね」
ボスコは両手を伸ばし、そっとリトスの両頬を包む。
「あなただって人の間に生まれた子です。人の間で幸せになる権利があるのですよ」
「そんな権利なんて、とっくの昔に消えた!」
リトスは金切り声をあげて、ボスコの両手を振り払った。
「父ちゃんと母ちゃんが理不尽に死んだんだ! あたしに幸せになる権利なんてないんだ!」
「ひどい心の傷を負ったのですね」
ボスコは憐みの視線を浮かべた。
リトスの頬に涙が伝う。
「やめてくれよ、もう父ちゃんと母ちゃんは戻ってこないんだ。幸せになんてなれないんだ。どうせあたしは死ぬんだ!」
リトスがまくしたてた。荒い息をしている。
僕は何も言えなかった。
僕だって祖国のサンライト王国が滅ぼされた時は辛かった。父さんと母さんも死んだだろう。
この傷は癒えない。
ボスコも困惑していた。
そんな時に、ダークが呆れ顔になる。
「そうだよな、てめぇが幸せになれるはずは無いよな」
心底突き放した言い方だ。その場の空気が固まるけど、ダークは頓着がないようだ。
「一生懸命に幸せになろうと頑張っても、幸せになれない人間がいるんだ。そもそも努力をしていない人間が幸せになんてなれるはずがないよな」
ダークはリトスに軽蔑の視線を送っている。
リトスはわなわなと震えた。
「あんたに何が分かる?」
「なにも分からねぇよ。不幸のままでいいなら放っておくし、死にたければそうしろよ。俺にできる事なんて何もないしな」
ダークは教会の外へ歩き出す。
「ルドルフ皇帝とローズベル皇后に報告に行く。ついでにオルガンの鍵盤を抜こうとした事、仮眠をしていた俺の顔に落書きしようとした事、戦争で重傷になった俺に塩を塗ろうとした事も、全部きっちり報告するぜ」
「リトス、それはすぐに謝ろうよ!」
僕が声を掛けると、リトスは涙声になった。
「未遂で終わったんだからいいだろ?」
「全然よくないよ!? むしろ何でやろうとしたの!?」
「だって面白そうだったから」
「わけがわからないよ!」
この子は何を言っているんだ!?
ダークはもう姿が見えなくなってしまった。
リトスは大粒の涙を流して、わんわん泣いていた。
「あたしだって楽しい事をしたいんだ!」
「リトス、少しいいですか?」
ボスコの視線が痛い。きっと怒っている。
でも、声は穏やかなままだ。
「あなたを庇うために、スカイ君がどれほど苦労をしたのか分かりますか?」
「え?」
意表を突かれたのだろう。リトスは両目を丸くして沈黙した。
僕も言葉を失った。
ボスコの表情は暗い。
「スカイ君から口止めをされていますが、どうしてもお伝えしたい事があります。あなたにとって辛く苦しい話になると思いますが、聞いていただきたいのです」
「……どんな話なんだ?」
リトスは嗚咽をもらしたが、涙をぬぐっていた。
「どうせ死ぬんだ。どんな話でも聞くよ」
「感謝します」
ボスコは悲しそうに微笑んだ。
「実は、あなたはとっくに昔に殺される予定でした。ローズ・マリオネットたちのパワーアップのために」
「え……?」
リトスは固まった。たいがいの話を聞いても驚かないつもりだったけど、僕も唖然とした。
ボスコは続ける。
「あなただけではありません。この教会に住んでいる多くの人間が、殺されるはずでした。ローズ・マリオネットが扱う異能であるワールド・スピリットは、死者の魂の集合体がエネルギー源ですからね。死ぬ人間が多いほど、強力になると言われていました」
「……ダーク・スカイもローズ・マリオネットだよな。あたしなんて死んだ方が都合がいいよな」
リトスは絞り出すように言っていた。
「なんであたしを助けたんだ?」
「詳しい事はスカイ君に聞いてください。僕が見たのは、あなたたちを殺すという決定に猛抗議する姿です。ローズベル様に、決闘を申し込んでいました」
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