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信じて
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イケメンは走る勢いそのままに青年をぶん殴る。
「ロベルタ、愛している。結婚しよう」
青年は棒読みで愛を語るまま、倒れる。
倒れた衝撃でロベルタから手が離れていた。
「ロベルタ、君はひどい夢を見ていたんだよ。こんな男に人生をもてあそばれていたなんて」
イケメンはロベルタを抱き寄せて、髪をなでる。
ロベルタはされるがままだった。
「こんな男に婚約破棄をされて、君がどれほど傷ついたのか僕には想像できない。君の代わりに、君を苦しめたすべての人間を殴るよ」
イケメンはネクラをにらむ。
いつもの余裕はないが、貫禄がある。
見るものすべてをひれ伏せるオーラがある。
羽ペンをへし折る。
「僕を信じて待っててね」
イケメンはロベルタをそっと離して、大地を蹴る。
一瞬にしてネクラと距離を詰める。
次の瞬間に、ネクラが派手に吹っ飛び、勢いよく背中から木にぶつかった。
イケメンに殴られて、ネクラは悲鳴をあげる間もなく吹っ飛んだのだ。
「ついでに、よくも僕の名前を二度も気安く呼んだなあぁぁああ!」
「ほげぇええ!?」
御者も勢いよくぶん殴られていた。
ロベルタはイケメンに駆け寄る。
「イケメン様、ありがとうございます!」
「当然だよ。僕とロベルタの愛は誰にも引き裂けない!」
御者が頬をおさえてうずくまるのを尻目に、二人で抱き合って天を仰ぐ。
そんな二人がやはり気に入らないのか、ネクラがふらふらと立ち上がった。
「まったく……あなたたちを本当に好きになれません」
「それは良かった。君なんかに好かれたくないからね」
イケメンが髪をかきげると、ネクラは低い声で笑った。
「それなら安心して殺せます。お互いに嫌いあっているのです。スキル抜きで命の奪い合いをしましょうか」
ネクラが低い声で呪文を唱える。
半透明ながい骨が現れて、カカカと歯を鳴らしている。
「僕は希代の魔法使いです。チートスキルに頼りきりのあなた方とは一線を画すのですよ。こいつが通り抜けた生き物は、魂を奪われます」
「センスのない化け物を呼んだね」
「これでもカッコイイ方なんですよ。デザインを含めて考え抜いた使い魔なのに、バカにするなんて。これだからリア充は嫌いなのです」
ネクラが涙声になっているが、イケメンの知った事ではない。
「僕と君には月と泥水の差があるんだから、諦めなよ」
「例えがひどすぎるでしょう。絶対に殺します」
ネクラが指さすと、がい骨がイケメンに突進する。
思いのほか速い。イケメンが避ける暇はない。
しかし、動揺はない。
イケメンの視線の先には、ロベルタがいた。
「私の事を忘れてもらっては困りますわ。『ざまぁ』行使!」
声高らかにチートスキルを発動する。
羽ペンを相手に何度も発動しているが、疲れを感じている場合ではない。
「ここは『絶対離婚』のフィールドだったのかもしれませんが、同時に『ざまぁ』のフィールドでもありますの。私が生きている間に、イケメン様が殺されるなんてありえませんわ!」
がい骨の動きが鈍くなる。
ピキッパキッと音を立てて崩れる。そして、空気中に溶けるように消えていった。
ネクラは『絶対離婚』を破られて、魔術も破られた。
しかし、含み笑いを始めている。
御者がドン引きした。
「この期に及んでまだ何かするつもりですか」
「ロベルタ、愛している。結婚しよう」
青年は棒読みで愛を語るまま、倒れる。
倒れた衝撃でロベルタから手が離れていた。
「ロベルタ、君はひどい夢を見ていたんだよ。こんな男に人生をもてあそばれていたなんて」
イケメンはロベルタを抱き寄せて、髪をなでる。
ロベルタはされるがままだった。
「こんな男に婚約破棄をされて、君がどれほど傷ついたのか僕には想像できない。君の代わりに、君を苦しめたすべての人間を殴るよ」
イケメンはネクラをにらむ。
いつもの余裕はないが、貫禄がある。
見るものすべてをひれ伏せるオーラがある。
羽ペンをへし折る。
「僕を信じて待っててね」
イケメンはロベルタをそっと離して、大地を蹴る。
一瞬にしてネクラと距離を詰める。
次の瞬間に、ネクラが派手に吹っ飛び、勢いよく背中から木にぶつかった。
イケメンに殴られて、ネクラは悲鳴をあげる間もなく吹っ飛んだのだ。
「ついでに、よくも僕の名前を二度も気安く呼んだなあぁぁああ!」
「ほげぇええ!?」
御者も勢いよくぶん殴られていた。
ロベルタはイケメンに駆け寄る。
「イケメン様、ありがとうございます!」
「当然だよ。僕とロベルタの愛は誰にも引き裂けない!」
御者が頬をおさえてうずくまるのを尻目に、二人で抱き合って天を仰ぐ。
そんな二人がやはり気に入らないのか、ネクラがふらふらと立ち上がった。
「まったく……あなたたちを本当に好きになれません」
「それは良かった。君なんかに好かれたくないからね」
イケメンが髪をかきげると、ネクラは低い声で笑った。
「それなら安心して殺せます。お互いに嫌いあっているのです。スキル抜きで命の奪い合いをしましょうか」
ネクラが低い声で呪文を唱える。
半透明ながい骨が現れて、カカカと歯を鳴らしている。
「僕は希代の魔法使いです。チートスキルに頼りきりのあなた方とは一線を画すのですよ。こいつが通り抜けた生き物は、魂を奪われます」
「センスのない化け物を呼んだね」
「これでもカッコイイ方なんですよ。デザインを含めて考え抜いた使い魔なのに、バカにするなんて。これだからリア充は嫌いなのです」
ネクラが涙声になっているが、イケメンの知った事ではない。
「僕と君には月と泥水の差があるんだから、諦めなよ」
「例えがひどすぎるでしょう。絶対に殺します」
ネクラが指さすと、がい骨がイケメンに突進する。
思いのほか速い。イケメンが避ける暇はない。
しかし、動揺はない。
イケメンの視線の先には、ロベルタがいた。
「私の事を忘れてもらっては困りますわ。『ざまぁ』行使!」
声高らかにチートスキルを発動する。
羽ペンを相手に何度も発動しているが、疲れを感じている場合ではない。
「ここは『絶対離婚』のフィールドだったのかもしれませんが、同時に『ざまぁ』のフィールドでもありますの。私が生きている間に、イケメン様が殺されるなんてありえませんわ!」
がい骨の動きが鈍くなる。
ピキッパキッと音を立てて崩れる。そして、空気中に溶けるように消えていった。
ネクラは『絶対離婚』を破られて、魔術も破られた。
しかし、含み笑いを始めている。
御者がドン引きした。
「この期に及んでまだ何かするつもりですか」
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