本好きゆめの冒険譚

モカ☆まった〜り

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第八十三頁

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 全ての勇者達に防具と剣が渡り、後は出陣のみ!のハズだったのだが・・・

「これって、動きにくいよ。」

 ゆめが着用した防具は「フルメタルアーマー」。

 アテーナーさんの渾身の逸品ではあるのだが、動きにくいとなると、ただの邪魔でしかない。

「戦と言えば、これしか浮かばなくって・・・」 アテーナーさんが申し訳なさそうに、頭を何度も下げている。

「ゆめや、得意のイメージで何とでもなるぞ。」

 ゼウスがそう言うので、軽くて動きやすい、それでもって可愛いの・・・アテーナー作の防具が変形を始めた。

 出来上がった装備は、ロングコート風の装備。薄ピンク色に染まったコートは綺羅びやかな印象を与える。

「可愛いというより、カッコいいかな?まぁ、いいや。」

「ゆめや。儂の最後の願いを聞き入れてもらえんか?」「何?お父さん。」「正式に儂とヘーラーの娘になってもらえんか?」

 ゆめは間髪入れずに「何言ってるの?お父さん。」「やっぱり、だめかの?」ゼウスは息を附く。

「私はずっと前から、お父さん、お母さんの娘よ!」ゆめはゼウスとヘーラーを抱きしめた。

「ありがとう。必ず、帰ってくるんじゃぞ。」ゼウスは、ゆめの頭に手を翳し、「これが、儂が与える事が出来る最後の能力、ケラウノスじゃ・・・待っとるからの。」「はい!」

「それでは!行ってまいります!ゼウス!お願い!」「畏まりました、ゆめ様!」

 あれ程いた大軍がゼウスの中へと、消えて行った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ククク スベテ クライツクシテシマエ」

 ダイモーンは、眷属に命令を下すと、自らも捕食するために街中を飛び回る。

 例え屋内に逃げ込んでも壁をすり抜ける事が出来る彼には、何の障害にもならない。

「モットダ モット ヨウブンヲ ヨコセ」「ユメ カミノコヨ ハヤク ヤッテコイ」

ダイモーンの本当の狙い・・・それは全宇宙の支配者になる事、この星はただの餌場でしかない。それに、自分を封印した神への復讐も忘れてはいない。

「カミガミハ ゼウスダケハ ユルサン キガスムマデ イタブッタアトデ ゼンイン クッテヤル ワレコソガ ホントウノ シハイシャ二ナルノダ ソシテ コンドコソ シアワセナ セカイヲ ツクルノダ」

地球の人口の6割超の人間を喰った。しかし、まだ足りない・・・

眷属を作っては、各地に散らしているが、全部の人間を喰らい尽くすのには、時間がかかる。

苛立ちを覚えながらも、人間を見つけては喰らい、眷属を作っては、散らす・・・そんな作業を繰り返す。

1時間ほどで、残りの人口も2割程度になった。

「コノホシノ ニンゲンガ ナクナレバ ホカノホシヘト イドウスルシカナイナ」

そう、考えながら眷属を自分の所に呼び戻し、吸収する。一回り大きい体になった。

世界に散らしている眷属は後100体程度、これだけあれば数分で終わるだろう・・・地球の終わりが近くなってきた。

「ホカノ 星ハ ドコに アるのカ」

そう考えながら、空を仰ぐと、そこに一つの光が現れた。

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