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それからはグウェンドリンは普通に授業を受ける。
貴族教育の基本的なところをまず学んでいくが、ある程度の教育はすでに終わっているのが当然の高位貴族のクラスなので、ほとんどの事は応用編からの始まりだ。
詩の朗読、作成、手紙の作成の際の文章などのいわゆる国語や現代文、古文に当たるような授業から始まり、計算問題多めの上に領地経営に必要な計算が多くなる数学、そしてこの国の歴史と他国との関係、他国の特色を知るための社会・歴史の授業が主なもので、さらにそこに礼儀作法をより洗練させるためのマナー教室のような授業や、音楽、美術の実践的な授業もある。
男子であれば武術や馬術の授業が選択科目に入り、女子の場合は刺繍やダンスが選択科目に入る。
それが各授業1時間を6科目、授業合間の休憩を10分としてカリキュラムを組まれているため、内容も濃密なうえに授業の進み具合が進学校や一貫校並みに早いのである。
なので、さっさとノートに取り、分からない所は放課後に先生に積極的に聞きに行くか、家庭教師を呼んでもう一度苦手な箇所をしっかりと学び直すような態度でなければ置いてけぼりにされてしまう。
それがグウェンドリンのいるクラスだ。
ちなみにグウェンドリンはこの進行速度の速さに関しては、家庭教師の件でかなり慣れさせられていた。
また、転生前は進学校に含まれる学校に通っていたのも相まって「あー、懐かしい速度。入学前に課題が出されないのは本当に嬉しい」という感想のみでニコニコ笑顔で授業を受けていた。
逆に、カトリーヌのクラス、いわゆる跡継ぎじゃない高位貴族の子供たちが集められているクラスは少し進み具合が穏やかだ。
まあそれでもゆっくり進む下位貴族のクラスよりは断然早いのだが、それでも普通の学校出身のカトリーヌはその時点で内心悲鳴を上げていた。
「(うっそでしょ、早すぎなんだけど…)」
転生前は公立校に通ってあまり変わらない授業の進行速度に鳴れていた挙句、家庭教師が付けられていた入学前には駄々をこねたり、サボったりして授業の進行を遅らせていたりしていたせいもあって、カトリーヌは勉強に使う体力や気力、集中力があまりついていなかった。
おまけに授業の時間も自分がこれまであまり勉強に真面目に向き合わなかったせいでとんでもなく長く感じる1時間。
あまり興味のない授業ばかりの現状、眠気を押し殺してなんとか頑張るしかない初日となってしまったのである。
その結果、放課後には二人の状態は一気に二極化した。
朝の武術の稽古と馬術の訓練を欠かさずに行い、家庭教師との勉強においても学園の授業の進行速度に近いもので慣れていたグウェンドリンは朝よりちょっと疲れたなぐらいの状態で見た目的にはぴんぴんして馬車に乗り込み、カトリーヌはぐったりと疲れたように馬車の中に乗ってまた馬車の側面部分に頭を押し付けるようにして寄りかかった。
「カトリーヌ、大丈夫?」
「………」
返事をする元気もないのか、カトリーヌはずっと黙ったままだ。
グウェンドリンは静かになって良いなと思いつつも、今朝あれだけ不機嫌な状態だったカトリーヌが一気に疲れ果てたサラリーマンのおじさんのような状態になっているのが気がかりだった。
「帰ったら、もうお風呂を用意させてゆっくり浸かって食事の時間まで休みなさい。
課題は食事のあとでやっておけばいいわ。
今日はそれほど課題は出されなかったでしょう?」
「……はい」
今日は入学初日と言うことも相まって、学園生活の雰囲気に慣れることを優先させることを恒例にしている教師たちによって課題は少なめの設定にされている。
グウェンドリンも帰って着替えて軽く家の仕事をした後に取り掛かったとしても、おおよそ30分から1時間ほどで終わるくらい本当に簡単なものしか出されていなかった。
多分食事の時間にも間に合ってしまう。
ただ、明日からは容赦のない課題の嵐になるだろうということをシュヴァルドらから聞いているため、今日のうちにほとんどの領地の仕事と事業の確認などを終わらせておこうと決断する程度にはちょっと怖い量が来そうだとも思っていた。
それを考えると明日からのカトリーヌは本当に心配だ。
ヴォーダン伯爵家の令嬢なのにと笑われる可能性があるし、その風評被害はグウェンドリンはもちろん、伯爵家自体にも及ぶ可能性があった。
母にも伝えておかなければならないことが増えたなとグウェンドリンは少し息を吐いて、夕焼けに染まりつつある外を眺めた。
貴族教育の基本的なところをまず学んでいくが、ある程度の教育はすでに終わっているのが当然の高位貴族のクラスなので、ほとんどの事は応用編からの始まりだ。
詩の朗読、作成、手紙の作成の際の文章などのいわゆる国語や現代文、古文に当たるような授業から始まり、計算問題多めの上に領地経営に必要な計算が多くなる数学、そしてこの国の歴史と他国との関係、他国の特色を知るための社会・歴史の授業が主なもので、さらにそこに礼儀作法をより洗練させるためのマナー教室のような授業や、音楽、美術の実践的な授業もある。
男子であれば武術や馬術の授業が選択科目に入り、女子の場合は刺繍やダンスが選択科目に入る。
それが各授業1時間を6科目、授業合間の休憩を10分としてカリキュラムを組まれているため、内容も濃密なうえに授業の進み具合が進学校や一貫校並みに早いのである。
なので、さっさとノートに取り、分からない所は放課後に先生に積極的に聞きに行くか、家庭教師を呼んでもう一度苦手な箇所をしっかりと学び直すような態度でなければ置いてけぼりにされてしまう。
それがグウェンドリンのいるクラスだ。
ちなみにグウェンドリンはこの進行速度の速さに関しては、家庭教師の件でかなり慣れさせられていた。
また、転生前は進学校に含まれる学校に通っていたのも相まって「あー、懐かしい速度。入学前に課題が出されないのは本当に嬉しい」という感想のみでニコニコ笑顔で授業を受けていた。
逆に、カトリーヌのクラス、いわゆる跡継ぎじゃない高位貴族の子供たちが集められているクラスは少し進み具合が穏やかだ。
まあそれでもゆっくり進む下位貴族のクラスよりは断然早いのだが、それでも普通の学校出身のカトリーヌはその時点で内心悲鳴を上げていた。
「(うっそでしょ、早すぎなんだけど…)」
転生前は公立校に通ってあまり変わらない授業の進行速度に鳴れていた挙句、家庭教師が付けられていた入学前には駄々をこねたり、サボったりして授業の進行を遅らせていたりしていたせいもあって、カトリーヌは勉強に使う体力や気力、集中力があまりついていなかった。
おまけに授業の時間も自分がこれまであまり勉強に真面目に向き合わなかったせいでとんでもなく長く感じる1時間。
あまり興味のない授業ばかりの現状、眠気を押し殺してなんとか頑張るしかない初日となってしまったのである。
その結果、放課後には二人の状態は一気に二極化した。
朝の武術の稽古と馬術の訓練を欠かさずに行い、家庭教師との勉強においても学園の授業の進行速度に近いもので慣れていたグウェンドリンは朝よりちょっと疲れたなぐらいの状態で見た目的にはぴんぴんして馬車に乗り込み、カトリーヌはぐったりと疲れたように馬車の中に乗ってまた馬車の側面部分に頭を押し付けるようにして寄りかかった。
「カトリーヌ、大丈夫?」
「………」
返事をする元気もないのか、カトリーヌはずっと黙ったままだ。
グウェンドリンは静かになって良いなと思いつつも、今朝あれだけ不機嫌な状態だったカトリーヌが一気に疲れ果てたサラリーマンのおじさんのような状態になっているのが気がかりだった。
「帰ったら、もうお風呂を用意させてゆっくり浸かって食事の時間まで休みなさい。
課題は食事のあとでやっておけばいいわ。
今日はそれほど課題は出されなかったでしょう?」
「……はい」
今日は入学初日と言うことも相まって、学園生活の雰囲気に慣れることを優先させることを恒例にしている教師たちによって課題は少なめの設定にされている。
グウェンドリンも帰って着替えて軽く家の仕事をした後に取り掛かったとしても、おおよそ30分から1時間ほどで終わるくらい本当に簡単なものしか出されていなかった。
多分食事の時間にも間に合ってしまう。
ただ、明日からは容赦のない課題の嵐になるだろうということをシュヴァルドらから聞いているため、今日のうちにほとんどの領地の仕事と事業の確認などを終わらせておこうと決断する程度にはちょっと怖い量が来そうだとも思っていた。
それを考えると明日からのカトリーヌは本当に心配だ。
ヴォーダン伯爵家の令嬢なのにと笑われる可能性があるし、その風評被害はグウェンドリンはもちろん、伯爵家自体にも及ぶ可能性があった。
母にも伝えておかなければならないことが増えたなとグウェンドリンは少し息を吐いて、夕焼けに染まりつつある外を眺めた。
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