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震える手でカトリーヌはそれにサインをした。
皮肉にもきれいな字を書くように訓練されていたこともあり、記載された名前は綺麗なもので、震えながらも書いたにしてはきちんと読めるほどのもの。
記載されたのを確認してから、ピッと用紙を指先で取ってカトリーヌがこれ以上必要ない記載をできないようにフリーンが先に取ってしまったのだ。
これで下手に適当にペンを走らせて落書きされたり、二重線でどこかの文章を修正するような形にされでもするとこの誓約書は効力が無くなるのでそうなる前に自分の手元に確保する。
ただ、カトリーヌには二重線で文書を訂正するということを知らないうえ、本気で己を領地に戻すと宣言し、おまけに追放処分をはっきりと告げた母に呆然として、今はただ書き終えたペンを机に置くこともできずに持ったまま誓約書をきちんと確認する母を見ているままだ。
「ん、きちんと書けているようね。
ではこれは私が預かります。
いいこと?この紙にあなたが自分で名前を書いたことを忘れないようにね?」
そう言って侍女を引き連れて部屋を出ようとする母。
そのお付きの侍女はさっと動いてカトリーヌの手からペンを取って、その他のインク瓶なども片付けるためにトレーの上に置いてから持ち上げ、母の後ろをついて行くように部屋を出た。
「どうしよう…サイン、しちゃった」
ぽつりとこぼすような言葉は、後悔のものか、それとも自分の必死さに己自身でもびっくりしたからなのか、それを知るのは本人だけだ。
「あら、お母さまどうなされたんですか?」
フリーンが廊下に出て少し歩いたところで、グウェンドリンが声をかけてきた。
丁度タウンハウスの中でも階段に近いところで、更にその近くには書斎があり、今までグウェンドリンが仕事をしていた。
「グウェンドリン、仕事はひと段落したのかしら?」
「ええ、あったのはほぼ確認するだけのものでしたから、内容を確認してサインをして終わりでした。
面倒なものはどうやらお父様が先に片付けてくれていたみたいなので…。
後で手紙でお礼を伝えておこうかと」
その件についてはフリーンも心当たりがある。
ヴァルファズルが入学して初の通常登校だからと気をまわして今朝のうちにあれこれ仕事を片付けていたし、それをシュヴァルドと一緒に手伝ったのだ。
「シュヴァルド殿も手伝ってくれていたから、そちらにもお礼の手紙を書いておきなさいね」
「分かりました!」
笑みを浮かべて「それでは部屋に戻ります」と伝えるグウェンドリンの背中を見ながら、思う。
自分の可愛い娘は二人から一人になるかもしれないなと。
皮肉にもきれいな字を書くように訓練されていたこともあり、記載された名前は綺麗なもので、震えながらも書いたにしてはきちんと読めるほどのもの。
記載されたのを確認してから、ピッと用紙を指先で取ってカトリーヌがこれ以上必要ない記載をできないようにフリーンが先に取ってしまったのだ。
これで下手に適当にペンを走らせて落書きされたり、二重線でどこかの文章を修正するような形にされでもするとこの誓約書は効力が無くなるのでそうなる前に自分の手元に確保する。
ただ、カトリーヌには二重線で文書を訂正するということを知らないうえ、本気で己を領地に戻すと宣言し、おまけに追放処分をはっきりと告げた母に呆然として、今はただ書き終えたペンを机に置くこともできずに持ったまま誓約書をきちんと確認する母を見ているままだ。
「ん、きちんと書けているようね。
ではこれは私が預かります。
いいこと?この紙にあなたが自分で名前を書いたことを忘れないようにね?」
そう言って侍女を引き連れて部屋を出ようとする母。
そのお付きの侍女はさっと動いてカトリーヌの手からペンを取って、その他のインク瓶なども片付けるためにトレーの上に置いてから持ち上げ、母の後ろをついて行くように部屋を出た。
「どうしよう…サイン、しちゃった」
ぽつりとこぼすような言葉は、後悔のものか、それとも自分の必死さに己自身でもびっくりしたからなのか、それを知るのは本人だけだ。
「あら、お母さまどうなされたんですか?」
フリーンが廊下に出て少し歩いたところで、グウェンドリンが声をかけてきた。
丁度タウンハウスの中でも階段に近いところで、更にその近くには書斎があり、今までグウェンドリンが仕事をしていた。
「グウェンドリン、仕事はひと段落したのかしら?」
「ええ、あったのはほぼ確認するだけのものでしたから、内容を確認してサインをして終わりでした。
面倒なものはどうやらお父様が先に片付けてくれていたみたいなので…。
後で手紙でお礼を伝えておこうかと」
その件についてはフリーンも心当たりがある。
ヴァルファズルが入学して初の通常登校だからと気をまわして今朝のうちにあれこれ仕事を片付けていたし、それをシュヴァルドと一緒に手伝ったのだ。
「シュヴァルド殿も手伝ってくれていたから、そちらにもお礼の手紙を書いておきなさいね」
「分かりました!」
笑みを浮かべて「それでは部屋に戻ります」と伝えるグウェンドリンの背中を見ながら、思う。
自分の可愛い娘は二人から一人になるかもしれないなと。
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