二人の転生伯爵令嬢の比較

紅禰

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「「……」」

グウェンドリンとヒルドは顔を見合わせて何とも言えないという表情をした。

とはいえ、グウェンドリンは内心カトリーヌにとってはある意味望み通りの展開になっているなとも思っていた。

カトリーヌはとにかくイケメンにモテることを望んでいた。

スカルドもなかなか顔立ちは整っているし、現在目の前で阿呆な求婚をしてカトリーヌを絶句させている令息もなかなかのイケメンだ。

しかし、当の本人はこの最悪のタイミングで訪れてしまった、恐らく逆ハー展開に白目を剥くしか許されていない。

「(なんで誓約書書いてから来るのよ!もっと早く来なさいよね!?)」

そう、カトリーヌは誓約書の件があるため、向こうから勝手にアプローチされるのはともかく、この勝手に行われるアプローチに対してなびくような素振りを一切見せてはならないのである。

もしも、なびくようなそぶりを見せた瞬間、即座に家からたたき出される。

そんな非常に危ない綱渡りの様な状況で行われていると言ってもいいアプローチに下手な返事ができない。

これでお断りの返事をきちんとできない場合や、相手が変にポジティブであった場合「家が決めた婚約者がいるから無理なんだね!?でも大丈夫僕らは真実の愛で結ばれているのさ!」とエッジの効いた返答をしでかしかねないのがいるのが悲しいかな貴族社会でもあった。

ちなみに変にポジティブなのが多いのが、夢見がちな次男次女以下である。

嫌でも現実を見据えなさいと教育されるような長男長女の跡取りポジションにいる子供たちにはない返答の仕方である。

「(誰か、誰か…!
!、お姉さまいるじゃん!助けてお姉さま!!)」

流石にこのまま返答せずにだんまりだと痺れを切らして目の前の勘違い求婚男が何をしてくるか分からないので、カトリーヌは自身が追い込まれている恐怖から誰かに助けを求めようとした。

きょろきょろと辺りを見回せば、そこには好きではないが頼りになる姉の姿。

縋る様に視線を送る。

その視線に気づいたグウェンドリンは、先ほどの白目を剥きそうな表情から鬼気迫る勢いで視線を投げつけてきた妹に、流石に自分の立場が危ないというのが分かっているのかとちょっと安心して、これ以上下手なことをされないようにカトリーヌに近寄って行った。

そして小さくカトリーヌの耳元で

「よくうなずかなかったわね、そのご褒美です」

と告げてから目の前で跪いたままの令息に対して、冷たく微笑んだのである。
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