二人の転生伯爵令嬢の比較

紅禰

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「あら、そう、あの子そんな感じだったのね」

タウンハウスに戻って、カトリーヌが自室に戻ったのを確認して、自身も荷物を置いてから母に今日の確認書類を受け取るために部屋へ足を向ければ、母はお茶を飲んでいた。

なので、書類を受け取るついでに馬車内でのことを報告してみれば、ちょっと意外そうな顔をして目をぱちくりと瞬かせた。

「まあ、本人も求婚されていた時には白目を剥きかけるような顔でしたから、本当にあの令息に関してはどうでもいいと感じていたところはあるんでしょう」

「そのあたりに関しては、ある意味貴族らしいわよね。
興味のないことや遠ざけるべきものに関してはあっけらかんと「どうでもいい」と言ってしまえるあたりは」

「それは同感です」

そういえば、実際グンナールの時もショックを受けていたものの、それなりに立ち直り始めるとグンナールのことなんてどうでもよさげな態度だったのを思い出す。

立ち直りには多少時間がかかっても、その後の引きずらなさは見習いたいものがあると思うくらいにはあっさりしていた。

グウェンドリンも多少あっさりしているところはあるが、結構ショッキングなものは引きずりやすい前世からの性質はあまり直っていないようで、今はまだそこまでショッキングなものはないものの今後のことがちょっと怖いなと感じている。

「そうそう、ヴァルファズルから連絡が来ていたわ。
どうやらまず我が家に謝罪にとアポイントメントを取るための伺いが来たのだけれど、やっぱりやらかしたことが阿呆すぎるということで、3回くらい断ってから受けるそうよ」

「3回ですか、やきもきするでしょうね」

「ま、婚約者がきちんといて、それも王家の肝いりに近い婚約に対して馬鹿なことを仕出かした令息付きの謝罪だもの。
こちらとしても謝罪のための落としどころをブラギ伯爵家とある程度すり合わせておかなくてはね」

「そういえば、私の時にもありましたね。あの、グラニア嬢の時の」

「そうよ、こちらはほどほどに、でもアルファズル侯爵家からは法外にも近い値段をふっかけてやったわ」

ふふ、とちょっと悪い顔をして笑う母からは圧を感じられるので、程々にしていただきたいなとグウェンドリンは笑う顔の裏でそう思う。

「まあ、しばらくはあの伯爵家のことは忘れていていいわ。
むしろ覚えてなくて全然いい。
連続でアポイントメントを取るための連絡なんてできるわけもないし、うちだけでも2週間は足止め喰らうでしょうね」

ホホホホ、と高笑いする母に苦笑を返して、失礼しますと部屋を出た。

「…だいぶムシャクシャしてたのね」

自分でどうにかできる問題ではないものの、大事な婚約が決まっている娘にちょっかい出されて面白い親はいない、それをよく体現していた。

この分だと父はもっと思うところが沢山あるだろうから、2週間の足止めで本当に終わればいいけれど、とグウェンドリンは内心謝罪行脚中の伯爵家に向かって気持ちだけではあるが手を合わせた。南無。
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