210 / 247
210.
しおりを挟む
「あら、そう、あの子そんな感じだったのね」
タウンハウスに戻って、カトリーヌが自室に戻ったのを確認して、自身も荷物を置いてから母に今日の確認書類を受け取るために部屋へ足を向ければ、母はお茶を飲んでいた。
なので、書類を受け取るついでに馬車内でのことを報告してみれば、ちょっと意外そうな顔をして目をぱちくりと瞬かせた。
「まあ、本人も求婚されていた時には白目を剥きかけるような顔でしたから、本当にあの令息に関してはどうでもいいと感じていたところはあるんでしょう」
「そのあたりに関しては、ある意味貴族らしいわよね。
興味のないことや遠ざけるべきものに関してはあっけらかんと「どうでもいい」と言ってしまえるあたりは」
「それは同感です」
そういえば、実際グンナールの時もショックを受けていたものの、それなりに立ち直り始めるとグンナールのことなんてどうでもよさげな態度だったのを思い出す。
立ち直りには多少時間がかかっても、その後の引きずらなさは見習いたいものがあると思うくらいにはあっさりしていた。
グウェンドリンも多少あっさりしているところはあるが、結構ショッキングなものは引きずりやすい前世からの性質はあまり直っていないようで、今はまだそこまでショッキングなものはないものの今後のことがちょっと怖いなと感じている。
「そうそう、ヴァルファズルから連絡が来ていたわ。
どうやらまず我が家に謝罪にとアポイントメントを取るための伺いが来たのだけれど、やっぱりやらかしたことが阿呆すぎるということで、3回くらい断ってから受けるそうよ」
「3回ですか、やきもきするでしょうね」
「ま、婚約者がきちんといて、それも王家の肝いりに近い婚約に対して馬鹿なことを仕出かした令息付きの謝罪だもの。
こちらとしても謝罪のための落としどころをブラギ伯爵家とある程度すり合わせておかなくてはね」
「そういえば、私の時にもありましたね。あの、グラニア嬢の時の」
「そうよ、こちらはほどほどに、でもアルファズル侯爵家からは法外にも近い値段をふっかけてやったわ」
ふふ、とちょっと悪い顔をして笑う母からは圧を感じられるので、程々にしていただきたいなとグウェンドリンは笑う顔の裏でそう思う。
「まあ、しばらくはあの伯爵家のことは忘れていていいわ。
むしろ覚えてなくて全然いい。
連続でアポイントメントを取るための連絡なんてできるわけもないし、うちだけでも2週間は足止め喰らうでしょうね」
ホホホホ、と高笑いする母に苦笑を返して、失礼しますと部屋を出た。
「…だいぶムシャクシャしてたのね」
自分でどうにかできる問題ではないものの、大事な婚約が決まっている娘にちょっかい出されて面白い親はいない、それをよく体現していた。
この分だと父はもっと思うところが沢山あるだろうから、2週間の足止めで本当に終わればいいけれど、とグウェンドリンは内心謝罪行脚中の伯爵家に向かって気持ちだけではあるが手を合わせた。南無。
タウンハウスに戻って、カトリーヌが自室に戻ったのを確認して、自身も荷物を置いてから母に今日の確認書類を受け取るために部屋へ足を向ければ、母はお茶を飲んでいた。
なので、書類を受け取るついでに馬車内でのことを報告してみれば、ちょっと意外そうな顔をして目をぱちくりと瞬かせた。
「まあ、本人も求婚されていた時には白目を剥きかけるような顔でしたから、本当にあの令息に関してはどうでもいいと感じていたところはあるんでしょう」
「そのあたりに関しては、ある意味貴族らしいわよね。
興味のないことや遠ざけるべきものに関してはあっけらかんと「どうでもいい」と言ってしまえるあたりは」
「それは同感です」
そういえば、実際グンナールの時もショックを受けていたものの、それなりに立ち直り始めるとグンナールのことなんてどうでもよさげな態度だったのを思い出す。
立ち直りには多少時間がかかっても、その後の引きずらなさは見習いたいものがあると思うくらいにはあっさりしていた。
グウェンドリンも多少あっさりしているところはあるが、結構ショッキングなものは引きずりやすい前世からの性質はあまり直っていないようで、今はまだそこまでショッキングなものはないものの今後のことがちょっと怖いなと感じている。
「そうそう、ヴァルファズルから連絡が来ていたわ。
どうやらまず我が家に謝罪にとアポイントメントを取るための伺いが来たのだけれど、やっぱりやらかしたことが阿呆すぎるということで、3回くらい断ってから受けるそうよ」
「3回ですか、やきもきするでしょうね」
「ま、婚約者がきちんといて、それも王家の肝いりに近い婚約に対して馬鹿なことを仕出かした令息付きの謝罪だもの。
こちらとしても謝罪のための落としどころをブラギ伯爵家とある程度すり合わせておかなくてはね」
「そういえば、私の時にもありましたね。あの、グラニア嬢の時の」
「そうよ、こちらはほどほどに、でもアルファズル侯爵家からは法外にも近い値段をふっかけてやったわ」
ふふ、とちょっと悪い顔をして笑う母からは圧を感じられるので、程々にしていただきたいなとグウェンドリンは笑う顔の裏でそう思う。
「まあ、しばらくはあの伯爵家のことは忘れていていいわ。
むしろ覚えてなくて全然いい。
連続でアポイントメントを取るための連絡なんてできるわけもないし、うちだけでも2週間は足止め喰らうでしょうね」
ホホホホ、と高笑いする母に苦笑を返して、失礼しますと部屋を出た。
「…だいぶムシャクシャしてたのね」
自分でどうにかできる問題ではないものの、大事な婚約が決まっている娘にちょっかい出されて面白い親はいない、それをよく体現していた。
この分だと父はもっと思うところが沢山あるだろうから、2週間の足止めで本当に終わればいいけれど、とグウェンドリンは内心謝罪行脚中の伯爵家に向かって気持ちだけではあるが手を合わせた。南無。
24
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
【完結】結婚式前~婚約者の王太子に「最愛の女が別にいるので、お前を愛することはない」と言われました~
黒塔真実
恋愛
挙式が迫るなか婚約者の王太子に「結婚しても俺の最愛の女は別にいる。お前を愛することはない」とはっきり言い切られた公爵令嬢アデル。しかしどんなに婚約者としてないがしろにされても女性としての誇りを傷つけられても彼女は平気だった。なぜなら大切な「心の拠り所」があるから……。しかし、王立学園の卒業ダンスパーティーの夜、アデルはかつてない、世にも酷い仕打ちを受けるのだった―― ※神視点。■なろうにも別タイトルで重複投稿←【ジャンル日間4位】。
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
婚約者の幼馴染?それが何か?
仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた
「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」
目の前にいる私の事はガン無視である
「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」
リカルドにそう言われたマリサは
「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」
ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・
「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」
「そんな!リカルド酷い!」
マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している
この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ
タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」
「まってくれタバサ!誤解なんだ」
リカルドを置いて、タバサは席を立った
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
将来の嫁ぎ先は確保済みです……が?!
翠月るるな
恋愛
ある日階段から落ちて、とある物語を思い出した。
侯爵令息と男爵令嬢の秘密の恋…みたいな。
そしてここが、その話を基にした世界に酷似していることに気づく。
私は主人公の婚約者。話の流れからすれば破棄されることになる。
この歳で婚約破棄なんてされたら、名に傷が付く。
それでは次の結婚は望めない。
その前に、同じ前世の記憶がある男性との婚姻話を水面下で進めましょうか。
退屈令嬢のフィクサーな日々
ユウキ
恋愛
完璧と評される公爵令嬢のエレノアは、順風満帆な学園生活を送っていたのだが、自身の婚約者がどこぞの女生徒に夢中で有るなどと、宜しくない噂話を耳にする。
直接関わりがなければと放置していたのだが、ある日件の女生徒と遭遇することになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる