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◎二年目、九月の章
■乃々子に報告
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博文が入団して数日が経った。
久遠、晴、賢司に博文。そして秋影克馬、羅貴水呉の姿があった。
「いや、たしかに男手を頼んだけどよ」
晴は久遠に耳打ちする。「どうして大手クランのリーダーが来るんだ」と。
「僕じゃなくて賢司が呼んだんだよ」
克馬はともかく堅物そうな水呉が来るのは意外であった。
クイーンナイツの宿舎に到着すると乃々子と明里が話をしている。
「乃々子さん。明里さんも来てたんですね」
久遠が二人に呼びかける。
「役者が揃ったね」
荷運び用のトラックもちょうど到着したようで、これから荷入れをはじめようかというところだった。
「さあさ、男どもは肉体労働に勤しむように」
明里は晴の背中をバンバンと叩きつつ発破をかける。
晴はうへえという苦虫をかみ潰したような表情だ。
「彼って新顔?」
乃々子が博文の方を見ながら久遠に耳打ちしてくる。
「ええ、学野博文先輩です。八期生なんですよ」
「まあ、残り一年しかないとはいえ男であることに違いないわ。今後もよろしくね」
乃々子としては他にも思うところもあったのかもしれないが、それは口にせず商売のほうを優先させたようだ。
よくやったとばかりにうんうんと頷いている。
「荷物はそんなにないようですね」
「どっちかっていうと捨てるものが多いかなぁ。一新できるものはそうしたいしね」
「なるほど」と久遠は頷きながら言った。
「今回は本当に助かったわ。久遠くん――東方旅団のみんなには感謝してる」
乃々子は深々と頭を下げる。
「どうして、学生寮を利用しようと思ったんですか?」
久遠がふいに訊ねてくる。すると乃々子はどう答えるべきか少し考えこんだ。
「やっぱりね、よく稼げる娘とそうでない娘がいるのよ。それは本人たちもよくわかっているわ」
それは良くも悪くもという話でしかない。だから、そこについてをとやかく言うつもりはなかった。
「私ね。真鈴さんはやっぱり嫌いだった。彼女、本当に綺麗でね。愛想もそこそこよかったから。でも、そこそこなのよ。なのに人気あったわ。私なんか何倍も努力してるのにってね」
そう言う乃々子はどこでもないところへ視線を向けている。
「だから唐突に虚ろな目でクランをやめるって言ったときは驚いたよ。いつか見返してやるってずっと思ってたから」
そして、真鈴がいなくなって乃々子は色々なことに気がついたというのだ。
「在籍してる娘が急に蒸発していなくなるのそんなに珍しくないわ。人気でないなら頑張ればいいじゃないって思うけど、そうじゃないのよね」
頑張るに越したことはない。しかし、誰もができるわけでもないのだと乃々子は言う。
「君たち東方旅団って誰かと競ったり目標持ったりしてないのに何だか楽しそうじゃない。あっきーも言ってたよ。『よくわからないけど、つい遊びに行くんだ』って」
「特別なことをやってるとは思えませんけどね」
「でもね、楽しくやるって君が思っているより難しいんだよ」
湿っぽくなってしまったなと乃々子は思った。
「さ、今日はしっかり働いてもらうからね!」
なのでバンと久遠の背中を叩いてしまう。
これからはじまるのだと言わんばかりに。
久遠、晴、賢司に博文。そして秋影克馬、羅貴水呉の姿があった。
「いや、たしかに男手を頼んだけどよ」
晴は久遠に耳打ちする。「どうして大手クランのリーダーが来るんだ」と。
「僕じゃなくて賢司が呼んだんだよ」
克馬はともかく堅物そうな水呉が来るのは意外であった。
クイーンナイツの宿舎に到着すると乃々子と明里が話をしている。
「乃々子さん。明里さんも来てたんですね」
久遠が二人に呼びかける。
「役者が揃ったね」
荷運び用のトラックもちょうど到着したようで、これから荷入れをはじめようかというところだった。
「さあさ、男どもは肉体労働に勤しむように」
明里は晴の背中をバンバンと叩きつつ発破をかける。
晴はうへえという苦虫をかみ潰したような表情だ。
「彼って新顔?」
乃々子が博文の方を見ながら久遠に耳打ちしてくる。
「ええ、学野博文先輩です。八期生なんですよ」
「まあ、残り一年しかないとはいえ男であることに違いないわ。今後もよろしくね」
乃々子としては他にも思うところもあったのかもしれないが、それは口にせず商売のほうを優先させたようだ。
よくやったとばかりにうんうんと頷いている。
「荷物はそんなにないようですね」
「どっちかっていうと捨てるものが多いかなぁ。一新できるものはそうしたいしね」
「なるほど」と久遠は頷きながら言った。
「今回は本当に助かったわ。久遠くん――東方旅団のみんなには感謝してる」
乃々子は深々と頭を下げる。
「どうして、学生寮を利用しようと思ったんですか?」
久遠がふいに訊ねてくる。すると乃々子はどう答えるべきか少し考えこんだ。
「やっぱりね、よく稼げる娘とそうでない娘がいるのよ。それは本人たちもよくわかっているわ」
それは良くも悪くもという話でしかない。だから、そこについてをとやかく言うつもりはなかった。
「私ね。真鈴さんはやっぱり嫌いだった。彼女、本当に綺麗でね。愛想もそこそこよかったから。でも、そこそこなのよ。なのに人気あったわ。私なんか何倍も努力してるのにってね」
そう言う乃々子はどこでもないところへ視線を向けている。
「だから唐突に虚ろな目でクランをやめるって言ったときは驚いたよ。いつか見返してやるってずっと思ってたから」
そして、真鈴がいなくなって乃々子は色々なことに気がついたというのだ。
「在籍してる娘が急に蒸発していなくなるのそんなに珍しくないわ。人気でないなら頑張ればいいじゃないって思うけど、そうじゃないのよね」
頑張るに越したことはない。しかし、誰もができるわけでもないのだと乃々子は言う。
「君たち東方旅団って誰かと競ったり目標持ったりしてないのに何だか楽しそうじゃない。あっきーも言ってたよ。『よくわからないけど、つい遊びに行くんだ』って」
「特別なことをやってるとは思えませんけどね」
「でもね、楽しくやるって君が思っているより難しいんだよ」
湿っぽくなってしまったなと乃々子は思った。
「さ、今日はしっかり働いてもらうからね!」
なのでバンと久遠の背中を叩いてしまう。
これからはじまるのだと言わんばかりに。
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