デジタル・リボルト~ディストピアからへの英雄譚~

あかつきp dash

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◎二年目、一〇月の章

■しばし休憩

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 東方旅団にあてがわれた控室には久遠と圭都けいとが二人いるだけだ。

 机に置かれたもう冷めてしまったお茶の注がれたカップ。

 圭都は久遠の肩にもたれかかったままその手も指先のほうを絡ませる。

「身動きできないんだけど」

「する必要あるの?」

 言うほど困ってないだろうと圭都は眠たげな視線で久遠を見つめる。

「いいでしょ。誰もいないんだし」

「それはまあ……」

 久遠はたじろいでいた。それが圭都からすればおかしかった。

「最近、忙しかったんだからゆっくりしてもいいんじゃない」

 圭都はさらに体の位置を少しずらして胸のあたりがより密着するような位置取りをする。もちろんわざとだ。

「ここではなしだろ……」

「口だけ男」

 上目づかいで圭都は挑戦的に久遠をまっすぐ見つめる。

 久遠がゴクリと喉を鳴らす。

「あなたら、何やってるの?」

 横から凍てつくような鋭い声。頼果である。

 彼女は圭都のいる反対側――久遠の隣に無理矢理陣取る。

「もう準備は終わったのかい?」

 久遠が訊ねる。助かったという表情に少し残念という感情が入り交じっていたので、頼果はとりあえず久遠の頬をつねっておいた。

「おかげでね。あとは主催側に任せればいいから、私もお役御免ってワケ」

 そこでコホンと頼果はせき払いをする。

「ここは誰が入ってくるかわからないんだから、もう少し場をわきまえるべきじゃない?」

「……悪かったよ」

 久遠は何か言いたそうな顔をしたが、それらを敢えて呑みこんだのだろう。出てきた言葉は謝罪であった。

「えらく素直ね」

「君が僕をどう思ってるのか想像したまでさ」

「それで点数稼ぎってわけ? 小賢しいこと考えるのね」

「私は久遠が盛りのついたオスでも全然オーケーだよ」

 圭都は敢えて口にしてしまうと頼果は思わず吹き出し、久遠は大きくため息をつく。

「ま、格好なんてつけるもんじゃないわね」

 頼果はニヤニヤと笑みを浮かべる。

「……悪かったよ」

 その悪かったには不貞腐ふてくされたようなトーンが入る。

「久遠って真鈴ますずさんが忘れられないんだよね」

「真鈴って久遠がフラれた女の人だっけ?」

「うん。頼果って、何だか雰囲気とか似てるから」

「なるほど。さぞ、美人だったんでしょうね」

 頼果は誇らしげに胸を張る。たしかに頼果は身長もすらりとしていて、スタイルもいい。それに顔までいいときている。

「あと、すごい面倒くさい人だったよ」

「あっそ」

 何故か頼果に睨まれるのは久遠である。

「やってられないよ」

 久遠は小さくため息をつくのであった。
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