ちっぱい令嬢は美声魔王の甘いささやきに溶かされる

優月紬

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13.癒し※

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「フィオーレ、やっと会えた!何だか久しぶりな気がするね」

 夜、湯浴みを済ませて部屋でレクスを待っていると、彼は案外すぐにやって来てくれた。

「お疲れ様です、レクス」
「うん、本当に疲れた。ハグして」
「もちろんですわ」

 私が両手を広げると、レクスはぽすん、と私の腕の中におさまってくれた。久しぶりに感じるレクスの体温が、とても心地よい。

「なんかさ、魔物の動きが活発になってきて、城下でも目撃されたんだ。このままだと僕も討伐に向かわなきゃいけない。こんなこと思っちゃいけないけど、めんどくさいよ」
「私にできることが、もっとあれば良いのですけど」

 いつになく弱々しいレクスがとても可愛く見えて、私はそっと彼の頭を撫でた。レクスのことを少しでも癒せたらと思ったのに、ふわふわとした彼の髪の毛の感触に私の方が癒されてしまった。

「フィオーレは、僕の癒しになってくれてるからそれだけでいいんだよ」
「これからも、そうでありたいと思っていますわ。でも、あまり一人で何でも抱え込まないでくださいませ」
「そうしたいけど、魔王は僕一人しかいないからね」

 レクスは私の腕の中からそっと抜け出すと、私の目を見て微笑んだ。

「ベッド行こうか」
「……はい」

 私が照れたように笑うと、レクスは私の身体を持ち上げ、お姫様抱っこでベッドへと運んでいった。

「んっ」

 ベッドに優しく下ろされた後、すぐにレクスにキスされる。お互いの柔らかな舌がくちゅくちゅと唇の隙間から官能的な音を漏らし、優しく絡み合う。けれど、彼の唇は、そっと私から離れていってしまった。
 私はレクスを潤んだ瞳で見上げながら、次の動きを待つ。けれど、レクスは微笑んで、そのまま私の隣に寝転がってしまった。

「おやすみ、フィオーレ」

 私の耳元で囁くようにそう言われ、キスの余韻もあって何だか身体が疼いてしまう。だからと言って、自分から誘って、はしたないと思われたくもない。レクスが寝ると言うのなら、私はそれを受け入れるしかない。

「……おやすみなさいませ」

 せっかく久しぶりに一緒にベッドに入れたのに、もう寝てしまうのか。そんな切なさが、私の中に生まれる。
 私はレクスに身体の疼きを悟られないように、彼に背中を向けるように寝返りをうった。

「捕まえた」
「っ、」

 そのまま目を閉じようとした瞬間、レクスの体温を背中に感じて、静かに驚く。彼は私を背中から包み込むように、ピッタリと私の身体にくっついてきた。

「やっぱり眠れそうにないから、少しだけ触れさせて?」

 レクスの手が、私の胸元に伸びてくる。内心待ち望んでしまっていた行為に、私は胸をときめかせる。ナイトドレスの上から優しくマッサージをするように小さな胸を揉まれていると、私は堪らなくなって、甘い吐息を漏らした。

「ふあっ……」

 そっとナイトドレスの隙間から手を差し込まれ、直接胸に触れられる。感触を確かめるようにふにふにと少ない膨らみに触れられていると、優しい快楽の波が私を包んだ。
 焦らすように、撫でるようにゆっくりと動くレクスの手のひらは、時々私の胸の蕾を掠めた。私はその度に、少しだけ身体を震わせてしまう。

「なんかすごく、安心する」
「安心、ですか?」
「うん、癒されるし、幸せな気分になる」

 レクスは私の胸に触れながら、そんなことを言った。
 私の平らな胸で癒されるのなんて、きっとレクスしかいない。けれど、彼が本心からそう言ってくれているのであれば、レクスを癒せるのはきっと私くらいしかいない。そう思うと、甘い優越感が私の中に広がった。

「好きなだけ、癒されてくださいませ」
「うん、そうする」

 レクスの手が、私の胸を柔らかく揉んでいる。ただ、撫でるように、そっと優しく触れていた。時々思い出したように指の腹で胸の蕾をトン、と優しく叩かれると、その度に私は身体を小さく震わせた。彼にされること全てが、私の中にある熱を高めていく。

「フィオーレも気持ちよさそうだね」
「んんっ……」

 その様子が彼に伝わったのか、レクスは吐息を漏らすように笑った。
 レクスの優しい囁き声が、私の耳に落ちる。

「レクス、その、」

 焦らさないで、もっと激しくしてほしい。身体が熱を持っていくばかりで、疼いてしまう。そう言いたいのに、言えない。
 レクスの手はただ私の小さな膨らみを撫でるだけで、それ以上の刺激を与えてくれなくなってしまった。
 それどころか、次第に動きがゆったりとしてきているような気がする。
 すると、彼の手がストン、と私のお腹の方に降りてきて、そのまま動きが止まった。

「……レクス?」

 返事は、なかった。代わりに聞こえてきたのは、レクスの気持ちよさそうな寝息。
 彼は、私を包み込むようにして、私の胸を撫でながら、寝てしまったようだった。

「お疲れ、だったのですね」

 私は自分のナイトドレスの中で動かなくなったレクスの手を、彼を起こさないようにゆっくりと外に出した。
 背中にぴったりとくっついていたレクスの身体からそっと抜け出し、彼と向き合うように寝がえりを打つ。
 すやすやと寝息を立てるレクスの寝顔を見ると、とても美しかった。今までは私の方が先に眠ってしまっていたので、彼の寝顔を見るのは初めてだと気がつき、思わず頬を緩める。

「おやすみなさい、レクス」

 私はそっと、彼の頭を触れる程度に撫でた。そして、彼を起こさないように静かに、レクスの胸元に顔を寄せる。
 気持ちよさそうに眠るレクスとは反対に、私は全く寝つけそうにない。身体は何だか熱を持って疼いているし、彼の寝息や体温が、私を包み込んでいるから。
 それでも、久しぶりにレクスと触れ合えて、こうして隣で眠ることができている。それだけで、とても幸せな時間だった。
 私はゆっくりと目を閉じて、その幸せを噛み締める。そのうちに、私も自然と眠りに落ちていた。
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