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王国崩壊編
141.『さようなら』
しおりを挟むどうしても監視役の男の顔がぶっさいくで不愉快だから殴った。
ユストゥスはいけしゃあしゃあとそんな供述をしたらしい。おかげでユストゥスはこっぴどく叱られる羽目になった。
監視役が実際いるのとは別に、部屋には監視用の録画魔具も置かれていたらしいのだが、そこには性行為を終えたユストゥスが急に肉棒を殴ったシーンしか映っていなかった。見せてもらったのだが、私が肉棒とおまんこしていたシーンもユストゥスの消音魔法を付け外ししていたシーンも、会話をしていたシーンもない。その映像は少しどころか、だいぶ足りていないものだった。
この映像に間違いはないかと問われて、確かにユストゥスが私とおまんこしていた直後に殴ったのは間違いではないしと頷けば、それ以上のことは質問されなかった。
皆の元に戻った後、群青騎士の備品として存在している奴隷の暴行に私はユストゥスを取り上げられる危険性があったと、先輩方に教えられて肝を冷やした。最初からそれを知っていたら、せめて私が殴ったことにしたというのに。
だが数日の折檻が付くが、一応私の奴隷として戻されることを聞けて安堵した。
そんなユストゥス肉棒暴力事件の翌日、私たちの本部軟禁は本日のうちに解除される旨が通達された。
「ほんとみんなも被害者なのに、本部の融通の利かなさと言ったら……」
寮監のバルタザールもぷりぷり怒っていたが、無事解放が判明してほっとした様子だった。ただ寮自体は破壊されているので、本部が用意した別の建物に移動するらしい。
今日はその通達とともに、現場から見つかった各個人の持ち物の引き渡しが行われた。割れ物などは一応本人の了承を取った上で廃棄か引き渡しが決まるのだが、鎧や騎士服などはまた追って支給されるとのことだ。
また群青騎士として戦えることを誇りに思う。
が、それはそれとして。
「ジュスト!」
引き渡された私物の中にあった、狼ぬいを私は強く抱きしめた。少しヨレて汚くなっているが、四肢はちゃんとあるし、目つきの悪いつぶらな瞳も割れていない。
他の皆はそれぞれ自分の私物を受け取っていたが、私にはこれさえあればいい。
「……お前私物、それだけしかねえの?」
「うむ。ジュストさえいれば他は替えが利くものだしな」
ライマー先輩が少し怪訝そうな顔で私の私物を見やる。ライマー先輩もそこまで多くはないが、それでも私の数倍はある。一番多いのはジギー先輩だ。衣服や装飾品が多い。茶器など割れ物が多かったクリス先輩は、引き渡された品物の少なさにがっかりしていた。
部屋に入りきらない品物は目録を作って確認後、そのまま新しい建物に送られるという。せっかく二週間振りにジュストを持って歩きたいところだが、私は泣く泣く送ってもらえるよう手続きをした。
新居も決まりそれぞれ本部の仮部屋に置いていたものをまとめていると、何やら外が騒がしい。騒ぎの元が近づいてくることに皆が身を硬くして様子を伺っていた。私はと言えばろくに詰めるものも何もないので、先輩方の手伝いをしていたときだった。
「やあみんな!失礼するよ!」
バァンっ!と大きくドアを開け放って部屋に入ってきたのはエリーアス様だった。
「エリーアス?!」
「ええ?どうしてエリーアスくんがここに……っ?!」
「エリーアス様っ!」
あの日別れて以降、一度もお会いできなかったエリーアス様に私は飛びついた。白金のさらさらしていた髪の毛は少し痛み、目の下にも隈が出来ていてやつれている。それでもいつもの優しくも強い目の光は失われていなかった。
「君、監禁されてたんじゃ……っ」
「監禁だとっ? エリーアス様は事情聴取ではなかったのか!」
バルタザールの口からぽろっと出た言葉に、私は目を見開いて怒鳴った。
確かにエリーアス様の専属奴隷であるマインラートの暴走で多大な被害が出たが、それでもあの時エリーアス様は止めようとなされていた。それをどうして本部が監禁しようとする必要があるのだ。
「ふふふ……かっわいいなあクンツ。好きだよ。みんなも大好き」
「エリーアス、さま……?」
ぎゅっと抱きつかれ、背伸びしたエリーアス様に額をコツンと合わせられる。急に柔らかくふんわりとした口づけを与えられた。下唇を甘噛みされ、薄く開いた唇から舌を差し込まれる。
「ん、っふ……ぅ」
甘く快感をくすぐるような口づけに、私の身体から力が抜ける。その場にガクッと膝を付けば、エリーアス様に優しく頭を撫でられた。
「僕は群青騎士を辞める」
「は、ぇっ……?」
キスに軽く酔ってしまった私は、エリーアス様の言葉をうまく飲み込めなかった。他の先輩方にも緊張感が満ちる。私は呼吸を弾ませたまま、ただぼんやりとエリーアス様を見上げた。
エリーアス様は緩く笑みを浮かべ、悠然とした態度を見せていた。清廉で美しくて私の尊敬する大好きなエリーアス様が、群青騎士をお辞めになる……?
「僕はマインラー……、カインザート様を追う。早く追い付けるといいのだけど……。おそらく君たちとは敵同士になるだろう。ラーディン王家はカインザート様の即時抹殺の命を下した。僕はあの方の騎士だからね。命を賭してお守りするのが責務だ。なるべくなら戦いたくはないけど、君たちは任務に忠実に過ごしてほしい」
「何を馬鹿なことを!」
「まっ、待って待って!話についていけない!」
「何をおっしゃっているのですかエリーアス!」
先輩方も動揺して詰め寄ろうとした瞬間、場にエリーアス様の魔力が満ちるのがわかった。動きを制限された先輩方の視線が鋭くなる。殺気にも似た気配に、私はひゅっと喉を鳴らした。
「エリーアス、落ち着け。追ってどうする。マインラートは君を置いていったんだぞ」
アンドレ先輩が低い声でゆっくりとそう告げるが、エリーアス様は笑みを深くしただけだった。
「それでもだ。ごめんね。もう僕は決めたんだよ」
その麗しくも確かな決意を秘めた表情と言葉に、アンドレ先輩の表情が歪んだ。
エリーアス様の背後、ドアの向こう側から怒鳴り声が響く。
「てめぇコラァっ!!エリーーーーッ!!」
「おっとそれでは皆、元気で。『さようなら』」
言いたいことだけ好き勝手に告げたエリーアス様が姿を消した。圧力のような魔力がその場から消えて、ディー先輩やクリス先輩がその場に膝を付く。ライマー先輩は大きくその場で悪態をつき、アンドレ先輩は黙って目を閉じ、ジギー先輩は大きく頭を抱える仕草をした。
「あンの野郎、俺が来たからって逃げやがって……!!」
「ランド様……」
私は膝を付いたまま、駆け込んできたランド様を見上げる。相変わらずがりがりに痩せていて、顔色は悪くて、目の下の隈はそういう化粧か何かかとでも思うように濃い。
部屋の中を睥睨し、苛立ったように頭を掻いた。
「ったくただでさえ忙しいってのに……一度全員を拘束して、この部屋の録画魔具を検める!てめぇらに反抗の意思がねえのはわかってるが、念のためだ。抵抗すんなよ。立場が悪くなる」
ランド様の掛け声とともに、他の隊の群青騎士が駆け込んできた。紋章は四聖と三光、そして双葉だ。一番四聖隊が多い。兄弟がいるかと思ったが、姿は見えなかった。
先輩方は、同僚である他の群青騎士に魔封じの魔具を手にかけられても、抵抗することはなかった。一部は顔見知りなのか、先輩方に気安く話しかける者もいる。彼らにしてみても、この拘束は言葉通り念のための処置という雰囲気が伺えた。
呆然としていた私も立ち上がるように言われ、魔封じの魔具を取り付けられながら立ち上がる。連れ出されようとしたアンドレ先輩が、低い声を絞り出した。
「……ドマニリア。もしかしなくてもエリーアスは、監禁されていたのを抜け出してきたのか」
「ああ。くっそぉもうちょい待ってりゃ、普通に出してやれたかもしれねえのによっ!あの馬鹿!ほんとに大馬鹿だ!」
喚いて悪態をつくランド様は心の底から悔しそうだった。そばにあった壁を叩いて怒りを発散している。
「連れてけ」
一頻り怒鳴ったランド様はそう部下に命を下して、私たちはそれぞれ本部内にある独房に入れられた。格子戸が張られたドアは分厚く、部屋自体にも魔封じの魔法陣が敷かれているようで、体内の魔力が上手く練ることができない。
「エリーアス様が群青騎士を辞めるなんて、本当なのだろうか」
私は格子戸から廊下を眺めながら呟いた。それぞれ孤立してはいるが、声や物音はやけに響く。何か不審な動きがあればわかるように、逆に聞き取りやすいようにしているのかもしれない。
向かいにも左右にも同じ独房が並んでいて、それぞれに分けて私たちは収容された。録画魔具と合わせて事情聴取を受け、内容に齟齬がなく、反逆の意思がないと認められればここから出ることが出来るらしい。
独房に入れられるなど、兄弟に知られたら一族の恥だと言われてしまうかもしれない。少し落ち込みかけたが、よく考えたら私たち兄弟はそこまで他の兄弟の進退に関して、意見を口を出すことはない。最終的にはきちんと任務をこなせればよいのだ。
「本人が辞めるっつってたんだから、辞めんだろうよ」
「……」
私の疑問に、ライマー先輩がぶっきらぼうに答えてくれた。
「ねークリス。カインザートって何者なの?文官だったから知ってたりしない?」
そうのんびりとした声を出したのはジギー先輩だった。確かに、何度かマインラートのことを呼ぶときそう呼ばれていた。その質問にクリス先輩が苦笑する。
「文官だからって、なんでも知っているわけではないですよ。……けれど、その名前には聞き覚えがあります」
「そうなの?何者?」
「曲がりなりにも、公爵家の跡取りでしょうジギー?おそらく君も知ってるはずですよ」
「え、うっそ知り合い?……いたかなあ?」
「もったいぶってねえで教えろよ。ジギーが知ってるってことは、お貴族様かなんかだろうあいつ。所作なんて俺より綺麗だったしよ」
ライマー先輩が苛立ったように声を荒げた。時々ライマー先輩は少し短気だ。でもその意見には同感だった。
「クリス先輩、私も知りたい。教えてくれ」
「カインザート・ラーディン。13年ほど前にその地位を剥奪された前国王の子の名前が、カインザート・ラーディンだ」
会話に割って入ったのはアンドレ先輩だった。その言葉に場が一瞬静まり返る。
「おう、ぞく……?」
マインラート、いやカインザートが、私の敬愛すべき王族の方々の1人だというのか。その衝撃の事実に私はぽかんと口を開けた。でもマインラートからは一切魔力を感じなかった。
「んだよあいつ、王子だったのか」
「地位が剥奪されたって言っただろうライマー。14年前、前国王が崩御されている。そのあとを継いだのは嫡子のカインザートではなく、前国王の弟君で現国王のゼナファリアス様だ」
「どうしてマイン……カインザートは奴隷に?」
震える声はディー先輩のものだった。
「あの感じだと、エリーアスがどうにかしたに違いない。……カインザートは父親殺し。その当時12歳で、前国王を殺害した犯罪者だ。王族に仇なす者は極刑に処す。うちの王国は史実で王族同士の争いも多いが、少なくとも王位を継いだのは」
「現国王ゼナファリアス様です。カインザートが本当に父親殺しを果たしたのかは不明ですが、少なくともそのように当時告知されました」
「……そう言えば、そんなこともあったねぇ……」
ジギー先輩が暗く小さく呟いた。
14年前というと……私が5歳前後のころだ。その頃の記憶を掘り起こしても、そんな話があったとを知らなかった。日々の訓練と生まれたばかりの弟たちの世話ばかりしていた気がする。あの時は生きることに必死だったな……。
でもそういえば、その頃年上の兄弟たちが一気に減った時期があった気がする。繰り上がりで成人したての兄弟たちが、前線に送られ、無事に任務を果たして帰ってこなかった。
「ってことは、エリーアスがそのカインザートを匿ってたってことかよ……」
「王族は皆さま方、まばゆい金髪と美しい碧眼をお持ちです。マ……カインザートも最後、魔力で爆発を起こす際に条件を満たす容姿に変わっていましたから、おそらくはそういうことでしょう」
「はー……よくまぁしれっと匿えたもんだな」
ライマー先輩の感嘆に近いぼやきに、また沈黙が満ちた。違和感を感じるその間に、「なに、なんだよ急に黙んなよ!」とライマー先輩が不安に襲われたのか怒鳴る。
「匿えた、ということが事実であれば、少しおかしいです」
「群青騎士の奴隷はその経歴を確認される。身分を隠された経緯のわからない奴隷を、群青騎士の奴隷になんてしない」
「え。ってことは、少なくとも団長や本部上層部は知ってたってこと~?」
「でしょうね。ただ……本当にマインラートが国王殺しのカインザートだったというのであれば、エリーアスの嘆願でもさすがに生かしておくがないとは思うのですが……」
また言葉が途切れた。
難しい話ばかりが続いて私はよくわからない。でもわかることはある。
「エリーアス様は、カインザートを守るために群青騎士団を退団されたというのは本当なのだな」
だからエリーアス様は敵対することになると言ったのか。そしてカインザートを守るということは、王族に敵対するということでもある。すなわち、王国の盾であるリンデンベルガーとも。
「うっ……」
急に頭痛を感じて、私はその場に蹲った。ずきずきと痛む頭に呼吸が乱れる。
エリーアス様、エリーアス様と、私が、戦う……。戦わなくてはいけない。エリーアス様と……!
キンッ。
「ぅあっ」
「クンツ?おいどうしたクンツ!」
ライマー先輩の荒げた声がやけに頭に響く。申し訳ないが少しばかり耳障りだった。もう少し音量を落としてほしい。ぽろっと零れ落ちた涙を指で払いながら、私はドアに手を付いて立ち上がる。
「大丈夫だ。なんでもない」
「んだよ!脅かすなよも~」
「クンツ、本当に大丈夫?」
ディー先輩の気遣うような声に、「ああ」と頷き返す。
マインラート……カインザートは寮の奴隷で、私とはなぜか気が合わなかったが、悪い男ではなかったように思う。だが仕方ない。
「なにも問題はないぞ、ディー先輩」
王国に、王族に仇なす者は、たとえ誰であっても倒すべきだ。それが私の使命であるのだから。
しばらくして事情聴取が行われた。だが、誰かが部屋に乱入してきて、そのせいで私や先輩方は独房に入れられたというのに、私はその原因を少しも覚えていなかった。
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