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11日目 私と相部屋になりますので

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 赤い髪の女子生徒とは対照的に実際に手を保健室に留まるように手を引いた生徒会長は冷静そのものであった。だが、相変わらずまるでブラックホールのように僕の視界を全て吸い込んでしまうような魅力を持つ二つの山によって生じる溝は凶悪そのものであった。生徒会長はそんなこと全く気にしている様子もないのが、より一層赤面してしまう。

「何を考えていらっしゃるのか。そそくさとまるで泥棒のように逃げようとするなんて。心配しなくとも私はちゃんとした用事があってここに来ているのです。そちらのふしだらな彼女とは違うのですから。そこのところはしっかり認識して欲しいですね」

 ふしだら呼ばわりされた彼女は自分の髪の色と同じくらい顔を赤く染め上げる。

「何よ! 急に私の話を無視して駆け出したかと思ったら、私のことをふしだら呼ばわりするなんて。ほんと、失礼な人だわ!」

「あら、真実なのでご謙遜されることもないのによっぽど育ちがいいのですね」

 再び口喧嘩が頭上で行われそうになる前に僕は勇気を振り絞って声を上げた。

「あ、あの!」

 途端に上から降り注がれる四つの視線。慣れない注目のためか大きく胸が鼓動するのを何とか悟られることがないように隠す。こんな時は、尻餅をついて手が床と接していてほんとうに良かったと心から思う。もし、そうでなければ恥ずかしいくらいに震える手を二人に見られていただろう。そのことを突っ込まれると僕はもう立ち上がれることはないだろう。うん、これは絶対。

「僕に用事って一体なんでしょうか?」

「あぁ。また、この人のせいで話が逸れていましたわね。申し訳ありません。簡単です、要件はすぐにすみますから。内容は寮の部屋のことです」

「寮の部屋ですか? あの一年目は絶対に住まなくてはいけないという」

「何が一年目限定よ。結局のところ現三年生も全員寮に残っているじゃない。古臭い校則な上に、新入生を騙すための口実よ、そんなん」

「話の腰を折らないでくださいますか。それでですね、まぁ彼女が言った通り今この学園に通っている生徒は全員寮で一部屋につき二名の学生で生活をしております。当然私も。そして、一年生の方はよりこの学園のことを知れますように、上級生との相部屋が決められておりまして。もちろん、あなたはこの学園始まって以来初めての男子学生ですので行く部屋全てが女性との相部屋なのですが」

「なのですが?」

「最終的に学園長の決定で私、八重樫 櫻との相部屋が決まりましたので。との報告を今のうちに済ましておこうかと。私はすでに朝からそのことを知っておりましたので、一目どんな欲望の塊が来られるのか不安になりまして、今日校門のところで待っていたのですが」

「えぇぇ!!!!!!」

 どうやら、女性経験がないのは当分痛感させられるみたいだ。僕は思わず再び失神しかけるのを、何とか理性で維持するのに数秒間全力を費やすハメになった。

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