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完結編:『ゆうしゃの誓い、まほうつかいの旅立ち -さよならの向こうにあるもの-』
第10話 なつみの迷いとひよりの助言[5]
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ひよりは図書館の自動ドアの外でなつみを見送った。
なつみの背中が遠ざかっていくのをじっと見ていた。
そのときだった。
「……ひよりさん」
背後から、静かに声がかかった。
振り返ると、そこにはそらたが立っていた。
少し緊張したような面持ちだが、どこか決意を秘めた表情をしている。
「うまく、できた?」
そらたが小さな声で尋ねる。
ひよりは優しく微笑み返す。
「うん、ちゃんと伝わったと思うよ。なつみちゃんは、“最後のしるし”を探しに行くって、目が輝いてた」
「よかった……」
そらたは、胸をなでおろした。
「君のアイデア、なつみちゃんにとってすごく意味のあるものになると思うよ」
「……ありがとう、ひよりさん」
そらたは照れくさそうに頭をかいた。
「これで、本当に最後の“冒険”になるね」
「うん。ぼくも、ちゃんと“しるし”を残せたから――あとは、なつみが見つけてくれるのを待つだけ」
ひよりはもう一度、そらたの肩を軽く叩いた。
「あなたは本当に“まほうつかい”だね。なつみちゃんの心に、きっと勇気を届けてくれる」
そらたは小さく微笑み、
「なつみが“ゆうしゃ”だから、ぼくはとなりで応援したかったんだ」
と呟いた。
*
その夜、なつみは自分の部屋で、ノートの空白のページをじっと見つめていた。
昼間のひよりの「まだ見つかっていない“しるし”があるかもしれない」という言葉が、頭の中で静かに反響している。
(お姉ちゃん、本当に最後の“しるし”を残してくれたのかな……)
けれど、どうしても気になって、なつみは机の引き出しをひとつずつ開けはじめた。
出てきたのは、これまでの冒険の痕跡――夏休みに描いた「勇気の地図」、そらたからもらった小さなガラス玉、お姉ちゃんがくれたメモ帳、宝物の詰まった空き缶。
ひとつひとつを机の上に並べながら、指先で地図の端を無意識になぞっていた。
そのときだった。
ノートの裏側に、薄い折り目のついた小さな紙片がくっついていることに気づいた。
「……え?」
広げてみると、そこには見慣れた柔らかな文字で――
『図書館の ひかりと かげが まざるとき
ちいさな 勇者は “ふたりで” 扉をひらく
最後の冒険は ページの奥に』
まるで謎解きのような、詩のようなヒントだった。
(……お姉ちゃん。これが、最後の“しるし”?)
胸がどくん、と高鳴る。
けれど、すぐにふと気がつく。
「“ふたりで”……?」
お姉ちゃんの“しるし”のメッセージには、いつも“だれか”と一緒に――という意味が込められていた。
(でも今、そらたはもうすぐ遠くに行ってしまう。もしこのヒントの“ふたり”が私とそらたを指しているのだとしたら……)
思考が堂々巡りになる。
不安、期待、ほんのすこしの寂しさ。でも同時に、また誰かと一緒に“冒険”を始められるかもしれない、というわずかな希望が芽生えていた。
(……そらたと一緒に、最後の冒険ができたら――)
なつみはベッドの上で、何度も何度もそのヒントを読み返した。
夜風がカーテンをそっと揺らす。どこかで桜のつぼみが開きそうな音さえ聞こえる気がした。
「明日、もう一度、図書館に行こう」
そう心に決めたとき、心の底からわき上がる何かがあった。
なつみの背中が遠ざかっていくのをじっと見ていた。
そのときだった。
「……ひよりさん」
背後から、静かに声がかかった。
振り返ると、そこにはそらたが立っていた。
少し緊張したような面持ちだが、どこか決意を秘めた表情をしている。
「うまく、できた?」
そらたが小さな声で尋ねる。
ひよりは優しく微笑み返す。
「うん、ちゃんと伝わったと思うよ。なつみちゃんは、“最後のしるし”を探しに行くって、目が輝いてた」
「よかった……」
そらたは、胸をなでおろした。
「君のアイデア、なつみちゃんにとってすごく意味のあるものになると思うよ」
「……ありがとう、ひよりさん」
そらたは照れくさそうに頭をかいた。
「これで、本当に最後の“冒険”になるね」
「うん。ぼくも、ちゃんと“しるし”を残せたから――あとは、なつみが見つけてくれるのを待つだけ」
ひよりはもう一度、そらたの肩を軽く叩いた。
「あなたは本当に“まほうつかい”だね。なつみちゃんの心に、きっと勇気を届けてくれる」
そらたは小さく微笑み、
「なつみが“ゆうしゃ”だから、ぼくはとなりで応援したかったんだ」
と呟いた。
*
その夜、なつみは自分の部屋で、ノートの空白のページをじっと見つめていた。
昼間のひよりの「まだ見つかっていない“しるし”があるかもしれない」という言葉が、頭の中で静かに反響している。
(お姉ちゃん、本当に最後の“しるし”を残してくれたのかな……)
けれど、どうしても気になって、なつみは机の引き出しをひとつずつ開けはじめた。
出てきたのは、これまでの冒険の痕跡――夏休みに描いた「勇気の地図」、そらたからもらった小さなガラス玉、お姉ちゃんがくれたメモ帳、宝物の詰まった空き缶。
ひとつひとつを机の上に並べながら、指先で地図の端を無意識になぞっていた。
そのときだった。
ノートの裏側に、薄い折り目のついた小さな紙片がくっついていることに気づいた。
「……え?」
広げてみると、そこには見慣れた柔らかな文字で――
『図書館の ひかりと かげが まざるとき
ちいさな 勇者は “ふたりで” 扉をひらく
最後の冒険は ページの奥に』
まるで謎解きのような、詩のようなヒントだった。
(……お姉ちゃん。これが、最後の“しるし”?)
胸がどくん、と高鳴る。
けれど、すぐにふと気がつく。
「“ふたりで”……?」
お姉ちゃんの“しるし”のメッセージには、いつも“だれか”と一緒に――という意味が込められていた。
(でも今、そらたはもうすぐ遠くに行ってしまう。もしこのヒントの“ふたり”が私とそらたを指しているのだとしたら……)
思考が堂々巡りになる。
不安、期待、ほんのすこしの寂しさ。でも同時に、また誰かと一緒に“冒険”を始められるかもしれない、というわずかな希望が芽生えていた。
(……そらたと一緒に、最後の冒険ができたら――)
なつみはベッドの上で、何度も何度もそのヒントを読み返した。
夜風がカーテンをそっと揺らす。どこかで桜のつぼみが開きそうな音さえ聞こえる気がした。
「明日、もう一度、図書館に行こう」
そう心に決めたとき、心の底からわき上がる何かがあった。
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