3 / 21
第一話 運び屋
2.「荷物」
しおりを挟む
廃都にて、一瞬の静寂が広がった。
少女の手には拳銃のようなものが握られている。
「…ヒッ」
どうやら二人組の片割れ、その足元に向けて発砲したらしい。
驚いた。古びてはいるが、ブラスターか…?
少なくとも俺の知る限りだと、この辺じゃあんなものは滅多に出回らない。
この少女は一体…
「今のは脅し。次は当てる。」
「「す、すみませんでしたぁ~~~!!!」」
ゴロツキコンビは「ピュ~ッ」という間の抜けた効果音が聞こえてきそうな勢いで退散していった。
俺の見間違えじゃなければ、撃たれた方は少し漏らしていたかもしれない。
「…ふぅ」
少女はほっと一息つく。
その表情に先程までの面影はなく、年相応の少女のように見えた。
バチッ。
目が、合ってしまった。少女は一瞬狐に摘まれたような顔をしたが、直ぐに表情を強張らせ銃を構える。
「あー、待て待て、俺はただの通りすがりだ。お前に危害を加えるつもりは無いよ。」
「…こんな辺鄙な場所を、たまたま通りすがるのか?」
どうやら、疑われているらしい。
まぁ、警戒するのもわかる。
俺が彼女でも同じ反応をとるだろう。
「それが通りすがるんだな!運び屋やってるもんで!!仕事柄な!!!」
「…運び屋?」
「そう、運び屋!ここから数キロ離れた場所に事務所があって、今は隣町のジャンク屋まで荷物届けた後の仕事帰り!!ここ通ったのはたまたま!!!偶然!!!!」
引き金に指を掛けてきたので若干早口になってしまったが、どうやら納得してくれたらしい。
こちらを向いていた銃口も降ろされたので、とりあえず肩の力を抜く。
彼女はそのままじっ…と俺の顔を見つめていた。
その表情は何かを考え込んでいるようだった。
再び広がる静寂。気まずい。非常に気まずい。
「そうか…運び屋……」
先に静寂を切り裂いたのは少女の方であった。
彼女は俺を真っ直ぐ見つめて、こう続けた。
「お前に、仕事を頼みたい」
少女の手には拳銃のようなものが握られている。
「…ヒッ」
どうやら二人組の片割れ、その足元に向けて発砲したらしい。
驚いた。古びてはいるが、ブラスターか…?
少なくとも俺の知る限りだと、この辺じゃあんなものは滅多に出回らない。
この少女は一体…
「今のは脅し。次は当てる。」
「「す、すみませんでしたぁ~~~!!!」」
ゴロツキコンビは「ピュ~ッ」という間の抜けた効果音が聞こえてきそうな勢いで退散していった。
俺の見間違えじゃなければ、撃たれた方は少し漏らしていたかもしれない。
「…ふぅ」
少女はほっと一息つく。
その表情に先程までの面影はなく、年相応の少女のように見えた。
バチッ。
目が、合ってしまった。少女は一瞬狐に摘まれたような顔をしたが、直ぐに表情を強張らせ銃を構える。
「あー、待て待て、俺はただの通りすがりだ。お前に危害を加えるつもりは無いよ。」
「…こんな辺鄙な場所を、たまたま通りすがるのか?」
どうやら、疑われているらしい。
まぁ、警戒するのもわかる。
俺が彼女でも同じ反応をとるだろう。
「それが通りすがるんだな!運び屋やってるもんで!!仕事柄な!!!」
「…運び屋?」
「そう、運び屋!ここから数キロ離れた場所に事務所があって、今は隣町のジャンク屋まで荷物届けた後の仕事帰り!!ここ通ったのはたまたま!!!偶然!!!!」
引き金に指を掛けてきたので若干早口になってしまったが、どうやら納得してくれたらしい。
こちらを向いていた銃口も降ろされたので、とりあえず肩の力を抜く。
彼女はそのままじっ…と俺の顔を見つめていた。
その表情は何かを考え込んでいるようだった。
再び広がる静寂。気まずい。非常に気まずい。
「そうか…運び屋……」
先に静寂を切り裂いたのは少女の方であった。
彼女は俺を真っ直ぐ見つめて、こう続けた。
「お前に、仕事を頼みたい」
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
