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第15話ゴブリン襲来編⑨

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 余裕の表情で待ち構えるゴブリンに、マリアが斬撃を繰り出す。
「まだこんな力を残してるとは、大した女だぁ」
 すべての攻撃を剣で受け止めながら、巨体ゴブリンがニヤニヤ笑う。
 次第にマリアの攻撃速度が遅くなり、剣捌きが鈍っていく。
「そろそろ限界なんだろぉ? オラオラッ!」
 巨体ゴブリンの大剣がマリアに襲い掛かる。マリアは剣で防御しながら、必死にその場に踏みとどまろうと歯を食いしばった。
 
(クッ……コイツ、私のよりもひと回り大きい大剣を軽々と。攻撃速度も私より速い。力勝負じゃコイツには勝てない)

「オラァ!」
 巨体ゴブリンの一撃がマリアを吹き飛ばした。
 マリアが空中で体勢を整え着地する。
「このゾイド様の剣をここまで受けられるとは、正直驚いたぜ。マリア、お前は生かして俺様のペットにしてやる。さぁ、剣を捨てろ」
「死んでもお断りよ!」
 マリアが地面に唾を吐く。
「そうか、それなら力ずくでしつけてやろう。お前のそのデカ乳を揉み、思う存分吸い付いてやる。グハハハハッ」
 ゾイドが下品な笑いを見せた。

(アイツに通常攻撃は効かない。スキルで一撃必殺を狙うしかない。でも、私の攻撃スキルは溜が長くて予備動作も大きい。カウンターを狙うにしてもリスクが大きすぎる……)

 マリアが横目でベックや冒険者たちを確認する。皆が満身創痍の状態でゴブリンたちと戦っている。戦況は明らかに劣勢である。
「マリア、俺は平気だ! ゴブリンなんかの言葉に惑わされんなっ。お前なら絶対に勝てる!」
 ベックが声を振り絞る。
「嬢ちゃん、頑張れ! 他のゴブリンは俺らに任せとけ。絶対町には行かせねぇ!」
 冒険者たちが口々にマリアへエールを送った。

(考えてる暇はない。今、私に出来ることを全力でやる! お願いハルト、私に力を貸して)
 マリアが瞳を閉じて胸元に手を添え、若葉色のブラをそっと撫でた。

「いくわよっ!」
 ターゲットに向かってマリアが駆ける。
「グハハハ! 遅い、遅いぞぉ」
 ゾイドが一瞬で間合いを詰める。
 ゾイドの攻撃がマリアの体に当たった瞬間、胸元から薄緑色の光が輝き魔法陣が浮かび上がった。
「な、なんだこれはっ?」
 大剣をはじき返され、ゾイドが体勢を崩す。

(ヒットしたはずなのに、ダメージが全くない。もしかして戦闘用ブラのおかげ? そうか、ハルトが守ってくれたんだね。私、勝つよ!)

 マリアが大剣を握りしめ肩にかつぐ。
「チャージ完了! ローリングスマッシュ!」
 マリアは高く跳躍すると体を横にひねりながら回転し、白く輝く大剣を振り下ろした。
 必殺の一撃が肩当てを砕き、ゾイドの上半身から紫色の血しぶきが飛ぶ。
「ウガァァァァァ!」
 今にもちぎれ落ちそうな左腕を押さえ、ゾイドは地面にうずくまりながら痛みに絶叫した。
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