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第1章
①
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―――3年前。
「優華様。本日のドレスもとてもお綺麗でございます」
「本当に。そのドレスは新作でございますね。とてもよくお似合いでございます」
今夜は桜ノ宮大帝国の次期国王、桜ノ宮繁樹皇太子の20歳の成人を祝う夜会。
つまり、椿公爵家の一人娘。
椿優華の婚約者の大切な公式行事の日。
「当然ですわ!この国一の人気デザイナーに1年間、手間暇をかけて作らせたの。ドレスについている宝石だって、宝石商に集められるだけの宝石を集めさせたものなのですから」
―――パシッ。
優華はそう言うと、隣に控えていたメイドの頬を手を振り上げて叩いた。
「髪の毛はトップ3㎝、サイド2㎝。全体的にふんわりと仕上げなさいと言ったでしょう!私に恥をかかせるつもりですか!まったく使えないメイドね」
「も、申し訳ございません!お許しください。お嬢様!」
優華はこの国で最も権力を持つ椿公爵家の長女。生まれた時から、蝶よ花よと美しい物だけに囲まれ。
両親からも気高く誰に対しても、舐められないよう立ち居振る舞いを訓練された彼女は舌打ちと共に鋭く土下座をするメイドの頭を冷たく見下げる。
「下がりなさい」
「は、はい!」
メイドは優華の言葉にびくりとその体を震わせると返事をしてから這いつくばるように部屋を出た。
「クビになさらないとは、お嬢様は寛大なお心の持ち主でございます。失態を犯した者を正しく叱責されるお姿も美しい。嬉しく思います」
恭しく頭を下げるメイド長に優華は微笑む。
「当然ですわ。王太子の婚約者なのですから」
誰がみてもやりすぎな、彼女に周囲のメイドは拍手をする。なぜなら、椿公爵夫妻にそう命じられているから。
「繁樹王太子殿下のお迎えはまだ?ご自身の成人の誕生日を祝う夜会だけれど、婚約者を迎えに来ないなんて非常識な事はなさらないでしょう」
少女はそういうと、鏡の前に立つ。
金色の長い髪の毛にブルーの瞳。
真っ白な肌に細く長いしなやかな手足。
天使と名高い容姿の彼女は、鏡の前でにっこり微笑んだ。
次期王太子妃として何一つ非の打ち所がない。
完璧な私には完璧なパートナーが必要だ。
「優華。あなたは今日も完璧ね」
優華を褒めるその声の主は、彼女を高慢ちきの高飛車令嬢に育てた母親。
「お母様」
嬉しそうに彼女は部屋に入って来た母親を見る。
それと同時に、母親の隣で控えるメイドの青ざめた顔を見た。
「どうしたの?」
母親の側近メイドは優華の言葉に更に青ざめる。
「きょ、今日は・・・」
尋ねられたメイドは口ごもる。
「ハッキリおっしゃい!」
母親は手に持っていた扇子で彼女の頬をぶつ。
「きょ、今日は!殿下はお嬢様をお迎えにいらっしゃいません!」
悲鳴じみた声でメイド長は言い切ると母親は何も言わない娘に眉を顰める。
「優華。ここは、なんですって!無礼なと、怒る所。殿方は女性を大切にするもの。特に婚約者を大切にしない行為は断罪。例え、身分が上位であったとしても結婚すれば王太子と王太子妃は同列。優華と殿下は同列なの。いいえ、貴方は女の子。誰からも愛されて、大事にされて、尊ばれる存在よ」
母親はそういうと、優華はキリっとした表情で母を見る。
「物申しに行きますわ」
「正しい反応だわ」
優華の性格は母親によって鍛えられた。
***
王宮に着くなり優華はその美しい顔のこめかみに皺を寄せ、ズカズカと王太子に歩み寄る。
「私を迎えにいらっしゃらないなんて、どういうおつもりですか!」
王太子の成人の誕生日を祝う会場だけあり、豪華絢爛な王宮のパーティー会場の中央で雑談をしていた王太子の腕を掴むなり彼女は息を吸い込むと声を上げた。
甲高い声は会場内に響き渡る。
王太子が大切な夜会に優華を迎えに行かなかったことはその場の全員が知っており、二人に誰もが注目する。
「顔面偏差値を上げるために、脳内偏差値をまわしたなんてことはございませんわよね!それ以上、顔面偏差値を上げる必要はなくてよ!」
それはつまり、俺は十分顔が良いという事か?
要するに、俺の顔は彼女の好みだ。
ドストライク!っということか!
繁樹は嬉しくてにやけそうになるのを必死に堪える。
今から自分は彼女を突き放さなければならないのだ。
「王太子殿下に失礼でございます」
王太子の側近執事、忍坂典人は止めようとするが彼女は止まらない。
「無礼者っ!触らないで!」
声を上げる彼女に周囲にいた誰もが彼女を見る。
「無礼者は君だ」
王太子は冷ややかで悲し気な視線を彼女に向ける。
「君?私には固有名詞があります。3人称単数で呼ばないでください」
勇むように言う優華に王太子はため息をついた。
「今日の成人をもって、僕は伴侶を自分で選ぶ権利を得た」
どこまでも冷たく、まるで蔑むような。
嫌悪感すら感じているとでも言わんばかりの声で前置きをすると彼は意を決したように優華をまっすぐ見た。
「婚約破棄だ」
「なんですって!正気なの!今まで私は・・・」
今まで、私は貴方に相応しい女性であるよう、次期王太子妃として恥ずかしくないように頑張ってきたのに。
気高く美しく誰からも軽んじられぬよう、両親の教えに従い忠実に生きてきたのに。
そんな彼女の声は最後まで続けられることがなかった。
「王太子!英断でございます!」
「この時を待っておりました!」
「この高飛車高慢ちきの悪役令嬢め!」
―――その瞬間。
今まで少しでも腹の立つ言葉があれば罵倒し、手をあげてきた彼女に向かって周囲はここぞとばかりに動いた。
「きゃっっ!やめてっっ!」
周囲の大人たちは手に持っていた酒、食べ物を優華に投げ始めた。
***
「言子先生。依頼人からお礼の手紙とお菓子の詰め合わせが届きました」
地球という惑星の日本の中心。
東京駅の近くの弁護士事務所で一人の女性が秘書から手紙とお菓子を受け取る。
「ありがとう。鈴木さん」
言子と呼ばれた女性はにっこり微笑んだ。
彼女は弁護士一家に生まれ、愛情いっぱいに育てられ。
自らも弁護士となり、30歳にしてやり手の女性弁護士として、雑誌やテレビにも引っ張りだこの人気弁護士。
「美味しそうなお菓子の詰め合わせね。一つ頂くわ。残りは他の弁護士さんや秘書の皆さんで食べてね」
「はい。ありがとうございます。あ、先生。赤門大学からまた、講演依頼が来ています」
「先方は何月希望?」
「来年の8月です。先生がこないだされた講演がとても人気だったそうです。私も男が女のコートのポケットに財布を盗もうと手を入れたけれど、女のコートの中は空っぽ。この男は何の罪に問われるかって言うあれ、面白かったです」
「窃盗罪、コートのポケットがお股に近いから痴漢罪、コートから手を抜く時に服を引っ張り転ける可能性もあるから暴行未遂。女が驚いて転倒でもすれば暴行罪。迷惑取り締まり条例にもひっかかるとかのアレね」
「はい」
頷く秘書に言子は頬に手を当て考える。
「次はどんな講演にしようかしら?」
「言子先生が仕事をする上で気を付けている事を話されてはどうですか?先生、依頼をこなすことは勿論ですが。先生は依頼人の心にも寄り添って、なんだったらカウンセリングまでしちゃいますもん」
「自覚はないけど、そう言ってもらえると嬉しいわ」
嬉しそうに笑う言子に秘書は話は変わりますがと、口を開く。
「こないだ、バラエティ番組に出演した時にイケメン俳優とは仲良くなれました?」
「惨敗」
誰とも仲良くなれなかったわと肩を落とす言子の手を鈴木は握る。
「言子先生はお優しいし、お綺麗ですから!年内に!片っ端から合コンに参加しましょ!目指せ恋人100人」
友達100人と同じように励ます鈴木に言子はくすくす笑う。
幼稚園から大学まで女子校育ち、弁護士になってから自分の事務所設立と、依頼をこなす為に仕事漬け。
「もし、人生がやり直せるなら美少女になってイケメンと恋がしたいわ」
言子が言い終わった瞬間だった。
建物が大きく揺れ、彼女は天井が落ちてくるのがわかった。
あぁ。
これは、死んだわね。
来世では・・・イケメンと恋がしたい。
言子は深い眠りについたはずだった。
服が冷たい。私は過労死をしたはずだったのだけれど、池にでも落ちて溺死したのかしら?
彼女は目を開けると自身の服を見る。
これはワイン?シャンパン?アルコールの匂いが体中からするし床はお酒の海。
近くの窓ガラスに映る全身がえんじ色に染まった少女の年の頃は15、6歳。
とても美しい少女だわ。将来は絶世の美人になるわねって・・・・これは私自身。
婚約者の王太子に婚約破棄されて・・・。
頭がくらくらする。
状況が断片的にしか分からなければ、記憶が混在する。
「人生初の侮辱だね」
16歳の公爵令嬢の優華。
30歳の言子。
二つの記憶、人格が混在、混乱する中で酷い言葉を投げかける声の主を見上げる。
すると今まで絶望、動揺、悲観していた感情は消えうせ彼女の心を支配したのは"怒"の感情。
ゆっくりと立ち上がると左手を自身の腰に当て、開いている手の人差し指を王子の胸板に突きつけた。
「私が今からいうこと。一字一句逃すことなく聞きなさい。ク・ソ・ガ・キ」
「く、クソガキ。ぼ、僕がクソガキ」
「違うの?」
こんな美少年君なんてクソガキで十分。
30歳からしたら20歳なんてお子様。
「全員の前で婚約者を罷免し、この状況を作り上げる事は予測可能で殺人ほう助罪の適用が認められる行為でここの全員、やっている事は暴行罪で逮捕。この子、優華は”どうみたって”未成年。そんな娘に大量にお酒をかけて、急性アルコール中毒。アナフィラキシーショックでも起こせば殺人罪。大衆の面前でお酒をかけ、辱めるなんて・・・」
侮辱罪。そして、このまま死ねば殺人罪。死ななくとも殺人未遂罪よと全てを言い終わらない内に彼女は意識がぼやけていく。
それと同時に結婚破談?どうして?私の何がいけなかったの?
少女の感情が言子の中に流れ込んで来た。
一度に色々な感情が流れ込み、彼女は意識を手放した。
16歳の両親に間違った愛を注がれた少女。
30歳の心優しきやり手弁護士。
2人の人格が完全に入り混じった。
「優華様。本日のドレスもとてもお綺麗でございます」
「本当に。そのドレスは新作でございますね。とてもよくお似合いでございます」
今夜は桜ノ宮大帝国の次期国王、桜ノ宮繁樹皇太子の20歳の成人を祝う夜会。
つまり、椿公爵家の一人娘。
椿優華の婚約者の大切な公式行事の日。
「当然ですわ!この国一の人気デザイナーに1年間、手間暇をかけて作らせたの。ドレスについている宝石だって、宝石商に集められるだけの宝石を集めさせたものなのですから」
―――パシッ。
優華はそう言うと、隣に控えていたメイドの頬を手を振り上げて叩いた。
「髪の毛はトップ3㎝、サイド2㎝。全体的にふんわりと仕上げなさいと言ったでしょう!私に恥をかかせるつもりですか!まったく使えないメイドね」
「も、申し訳ございません!お許しください。お嬢様!」
優華はこの国で最も権力を持つ椿公爵家の長女。生まれた時から、蝶よ花よと美しい物だけに囲まれ。
両親からも気高く誰に対しても、舐められないよう立ち居振る舞いを訓練された彼女は舌打ちと共に鋭く土下座をするメイドの頭を冷たく見下げる。
「下がりなさい」
「は、はい!」
メイドは優華の言葉にびくりとその体を震わせると返事をしてから這いつくばるように部屋を出た。
「クビになさらないとは、お嬢様は寛大なお心の持ち主でございます。失態を犯した者を正しく叱責されるお姿も美しい。嬉しく思います」
恭しく頭を下げるメイド長に優華は微笑む。
「当然ですわ。王太子の婚約者なのですから」
誰がみてもやりすぎな、彼女に周囲のメイドは拍手をする。なぜなら、椿公爵夫妻にそう命じられているから。
「繁樹王太子殿下のお迎えはまだ?ご自身の成人の誕生日を祝う夜会だけれど、婚約者を迎えに来ないなんて非常識な事はなさらないでしょう」
少女はそういうと、鏡の前に立つ。
金色の長い髪の毛にブルーの瞳。
真っ白な肌に細く長いしなやかな手足。
天使と名高い容姿の彼女は、鏡の前でにっこり微笑んだ。
次期王太子妃として何一つ非の打ち所がない。
完璧な私には完璧なパートナーが必要だ。
「優華。あなたは今日も完璧ね」
優華を褒めるその声の主は、彼女を高慢ちきの高飛車令嬢に育てた母親。
「お母様」
嬉しそうに彼女は部屋に入って来た母親を見る。
それと同時に、母親の隣で控えるメイドの青ざめた顔を見た。
「どうしたの?」
母親の側近メイドは優華の言葉に更に青ざめる。
「きょ、今日は・・・」
尋ねられたメイドは口ごもる。
「ハッキリおっしゃい!」
母親は手に持っていた扇子で彼女の頬をぶつ。
「きょ、今日は!殿下はお嬢様をお迎えにいらっしゃいません!」
悲鳴じみた声でメイド長は言い切ると母親は何も言わない娘に眉を顰める。
「優華。ここは、なんですって!無礼なと、怒る所。殿方は女性を大切にするもの。特に婚約者を大切にしない行為は断罪。例え、身分が上位であったとしても結婚すれば王太子と王太子妃は同列。優華と殿下は同列なの。いいえ、貴方は女の子。誰からも愛されて、大事にされて、尊ばれる存在よ」
母親はそういうと、優華はキリっとした表情で母を見る。
「物申しに行きますわ」
「正しい反応だわ」
優華の性格は母親によって鍛えられた。
***
王宮に着くなり優華はその美しい顔のこめかみに皺を寄せ、ズカズカと王太子に歩み寄る。
「私を迎えにいらっしゃらないなんて、どういうおつもりですか!」
王太子の成人の誕生日を祝う会場だけあり、豪華絢爛な王宮のパーティー会場の中央で雑談をしていた王太子の腕を掴むなり彼女は息を吸い込むと声を上げた。
甲高い声は会場内に響き渡る。
王太子が大切な夜会に優華を迎えに行かなかったことはその場の全員が知っており、二人に誰もが注目する。
「顔面偏差値を上げるために、脳内偏差値をまわしたなんてことはございませんわよね!それ以上、顔面偏差値を上げる必要はなくてよ!」
それはつまり、俺は十分顔が良いという事か?
要するに、俺の顔は彼女の好みだ。
ドストライク!っということか!
繁樹は嬉しくてにやけそうになるのを必死に堪える。
今から自分は彼女を突き放さなければならないのだ。
「王太子殿下に失礼でございます」
王太子の側近執事、忍坂典人は止めようとするが彼女は止まらない。
「無礼者っ!触らないで!」
声を上げる彼女に周囲にいた誰もが彼女を見る。
「無礼者は君だ」
王太子は冷ややかで悲し気な視線を彼女に向ける。
「君?私には固有名詞があります。3人称単数で呼ばないでください」
勇むように言う優華に王太子はため息をついた。
「今日の成人をもって、僕は伴侶を自分で選ぶ権利を得た」
どこまでも冷たく、まるで蔑むような。
嫌悪感すら感じているとでも言わんばかりの声で前置きをすると彼は意を決したように優華をまっすぐ見た。
「婚約破棄だ」
「なんですって!正気なの!今まで私は・・・」
今まで、私は貴方に相応しい女性であるよう、次期王太子妃として恥ずかしくないように頑張ってきたのに。
気高く美しく誰からも軽んじられぬよう、両親の教えに従い忠実に生きてきたのに。
そんな彼女の声は最後まで続けられることがなかった。
「王太子!英断でございます!」
「この時を待っておりました!」
「この高飛車高慢ちきの悪役令嬢め!」
―――その瞬間。
今まで少しでも腹の立つ言葉があれば罵倒し、手をあげてきた彼女に向かって周囲はここぞとばかりに動いた。
「きゃっっ!やめてっっ!」
周囲の大人たちは手に持っていた酒、食べ物を優華に投げ始めた。
***
「言子先生。依頼人からお礼の手紙とお菓子の詰め合わせが届きました」
地球という惑星の日本の中心。
東京駅の近くの弁護士事務所で一人の女性が秘書から手紙とお菓子を受け取る。
「ありがとう。鈴木さん」
言子と呼ばれた女性はにっこり微笑んだ。
彼女は弁護士一家に生まれ、愛情いっぱいに育てられ。
自らも弁護士となり、30歳にしてやり手の女性弁護士として、雑誌やテレビにも引っ張りだこの人気弁護士。
「美味しそうなお菓子の詰め合わせね。一つ頂くわ。残りは他の弁護士さんや秘書の皆さんで食べてね」
「はい。ありがとうございます。あ、先生。赤門大学からまた、講演依頼が来ています」
「先方は何月希望?」
「来年の8月です。先生がこないだされた講演がとても人気だったそうです。私も男が女のコートのポケットに財布を盗もうと手を入れたけれど、女のコートの中は空っぽ。この男は何の罪に問われるかって言うあれ、面白かったです」
「窃盗罪、コートのポケットがお股に近いから痴漢罪、コートから手を抜く時に服を引っ張り転ける可能性もあるから暴行未遂。女が驚いて転倒でもすれば暴行罪。迷惑取り締まり条例にもひっかかるとかのアレね」
「はい」
頷く秘書に言子は頬に手を当て考える。
「次はどんな講演にしようかしら?」
「言子先生が仕事をする上で気を付けている事を話されてはどうですか?先生、依頼をこなすことは勿論ですが。先生は依頼人の心にも寄り添って、なんだったらカウンセリングまでしちゃいますもん」
「自覚はないけど、そう言ってもらえると嬉しいわ」
嬉しそうに笑う言子に秘書は話は変わりますがと、口を開く。
「こないだ、バラエティ番組に出演した時にイケメン俳優とは仲良くなれました?」
「惨敗」
誰とも仲良くなれなかったわと肩を落とす言子の手を鈴木は握る。
「言子先生はお優しいし、お綺麗ですから!年内に!片っ端から合コンに参加しましょ!目指せ恋人100人」
友達100人と同じように励ます鈴木に言子はくすくす笑う。
幼稚園から大学まで女子校育ち、弁護士になってから自分の事務所設立と、依頼をこなす為に仕事漬け。
「もし、人生がやり直せるなら美少女になってイケメンと恋がしたいわ」
言子が言い終わった瞬間だった。
建物が大きく揺れ、彼女は天井が落ちてくるのがわかった。
あぁ。
これは、死んだわね。
来世では・・・イケメンと恋がしたい。
言子は深い眠りについたはずだった。
服が冷たい。私は過労死をしたはずだったのだけれど、池にでも落ちて溺死したのかしら?
彼女は目を開けると自身の服を見る。
これはワイン?シャンパン?アルコールの匂いが体中からするし床はお酒の海。
近くの窓ガラスに映る全身がえんじ色に染まった少女の年の頃は15、6歳。
とても美しい少女だわ。将来は絶世の美人になるわねって・・・・これは私自身。
婚約者の王太子に婚約破棄されて・・・。
頭がくらくらする。
状況が断片的にしか分からなければ、記憶が混在する。
「人生初の侮辱だね」
16歳の公爵令嬢の優華。
30歳の言子。
二つの記憶、人格が混在、混乱する中で酷い言葉を投げかける声の主を見上げる。
すると今まで絶望、動揺、悲観していた感情は消えうせ彼女の心を支配したのは"怒"の感情。
ゆっくりと立ち上がると左手を自身の腰に当て、開いている手の人差し指を王子の胸板に突きつけた。
「私が今からいうこと。一字一句逃すことなく聞きなさい。ク・ソ・ガ・キ」
「く、クソガキ。ぼ、僕がクソガキ」
「違うの?」
こんな美少年君なんてクソガキで十分。
30歳からしたら20歳なんてお子様。
「全員の前で婚約者を罷免し、この状況を作り上げる事は予測可能で殺人ほう助罪の適用が認められる行為でここの全員、やっている事は暴行罪で逮捕。この子、優華は”どうみたって”未成年。そんな娘に大量にお酒をかけて、急性アルコール中毒。アナフィラキシーショックでも起こせば殺人罪。大衆の面前でお酒をかけ、辱めるなんて・・・」
侮辱罪。そして、このまま死ねば殺人罪。死ななくとも殺人未遂罪よと全てを言い終わらない内に彼女は意識がぼやけていく。
それと同時に結婚破談?どうして?私の何がいけなかったの?
少女の感情が言子の中に流れ込んで来た。
一度に色々な感情が流れ込み、彼女は意識を手放した。
16歳の両親に間違った愛を注がれた少女。
30歳の心優しきやり手弁護士。
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