絶対に笑える作者の日常・爆笑した話集

⑬サプライズと律儀な夫

小学校保健室勤務の梨乃はとにかく、夏休みは嗜好を凝らして下らないサプライズを連発する。

旦那の性癖は巫女。
霊験あらたかな職種を尊重していて、申し訳ないのだが。

メルカルなるフリマサイトで巫女のコスプレを購入。
玄関を開けると、そこには鳥居。
そして、お賽銭箱！
…いくら銭子を入れるでしょうね？
公務員である梨乃もそれなりにお給料はあるのだが、この旦那様は2倍ほど稼ぐ。世に言う高級とり。

総一郎から会社から帰宅の連絡を貰い巫女の服に着替えると某有名雑貨フランフラルの紙袋で作った鳥居を携帯で撮影。

何も知らない総一郎というなの旦那は玄関を開けると固まるのが部屋のドア越しでわかった。
「え？あ、お賽銭。相場っていくら？」

律儀か！
そして、妻にきくなよ！

「札なら可なり～！」

いくらでもいいから。
お賽銭箱に金を入れんかい！
ちなみにメイドのコスプレ服は1080円だったぞ？
「1万円か小銭しかない。・・・ごめん。札ない。1023円で許して」
細かいわっ！
そんな旦那の声にコスプレ服で早く部屋においでとニヤニヤ。


「わぁー。手が込んでる。写メ撮るからちょっと待って」
メイド服を着ている妻に総一郎はニヤニヤ。
もたもたと携帯で角度を決め出すのだが。
「細かいな。夕飯食べたくないの？」
「あー。腹減った。夕飯優先」
「だろうね」
現実はそんなもので。
旦那は適当に妻の写真をとり。

「1023円。まいどーわり！」

妻も色気はなかった。
「メイドさんならぬ。巫女さんに給仕してもらうと、夕飯が霊験あらたかに思える」
「思いっきり肉料理だけどね」

「アレ言わないの？」
「ご飯にする？お風呂にする？それとも、あ・た・し？ってか？」
「それ」
「新婚の時はゆーてたね」
「あの頃も今も楽しい」

今日の湯川家も平和だった。