絶対に笑える作者の日常・爆笑した話集

湯川仁美

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㉒尿検査を忘れた担任

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何年前だっただろうか?

「湯川先生!ごめん!尿検査の容器、配り忘れた!ほんま!ごめん!!!すまない!!」
半泣きで走ってやってきたのは、30代半ばの男性教諭。
5年3組の担任、小島先生。

「管理職にも自分で報告しました!本当にごめんなさい!!!」
「良いですよ~。明日も回収日なので今日配って子供達に明日持ってくるようお願いします。10人以上、明日、忘れた場合は、近隣校の学校に電話して持ち込みで業者に渡しますからご安心くださいね。10人以下の場合は2次検査の時に1時検査を出して引っ掛かったら小児科にでも保護者さんに行ってもらいますね」

「ほんまにごめん!」
「良いですよ~。そんな事より、顔色悪いけど大丈夫ですか?」
「いやぁ。心臓バクバク」
「そうなりますよね。湯川の保健室はわりと柔軟なので、ご安心ください」
「前任者の先生やったら、めちゃくちゃ、怒られてたと思う」
「あはは。めちゃくちゃ怒られてそう」

-----翌日
「全員提出!」
小島は袋いっぱいの尿検査のキットを持ってやってきた。
「すごーい!優秀すぎる!小島先生、ほんとお疲れ様」

「以後気を付けます」
「はぁい。お願い申し上げます」

梨乃はくすくす笑いながら小島を保健室から見送る。
平和な休み時間。
「湯川先生」
やってきたのは、5年生3組の女の子たち。
「はぁい。どうしたの?」
「尿検査。大丈夫だった?」
「業者さん、回収してくれたよ」
「全員提出?」
「そうだよ。どした?」

彼女達は顔を見合わせる。
「昨日さ、30分に一回。小島先生。おしっこ、尿検査、やばいを連発しててん」
「そーやねん!給食の時間にも言っててさ、終わりの会で。全員で、明日は尿検査の回収日ですって合唱してん」
「宿題も一つ、減らしてくれてん。そんなに回収できないとやばいん?」

彼女の言葉に梨乃はあはははっと声をあげて笑う。
「給食の時間はお上品にお尿の事は忘れて食べたいね。うーん。尿検査の提出は義務ではないんだけど、みんなの腎臓元気かな?って、調べる大切な検査で病気が本当に見つかるお友達もいるからね。・・・皆が忘れちゃったりするのは仕方ないけど。検査キットを渡すのを忘れて検査の機会をとっちゃったかもしれない。奪ったら大変!って、小島先生、責任感強いからすごーく焦ったんだと思うよ」

そっかー。
昨日は、1日中。
おしっこ、尿検査を連呼してたんだ。
検査キットを配らなかった担任には、非しかないし。
保護者からしても、しっかりして~っと思うだろうし。

あれだけ焦ってたから、梨乃は何も言わなかったが、ふふふ。
子供も苦労が絶えないね。
「小島先生に協力してあげてありがとうね」

梨乃は彼女達を見送ると、職員室に向かう。
もちろん、教頭も5年3組の尿検査については気になる所だったらしく。
「回収率はどうでした?」

「5年3組さんは100%でしたよ。昨日は1日中、尿検査っ尿検査って小島先生。言ってたらしいので」
「それも、それで、ベクトルがなぁ」
梨乃はくすくす笑いながら職員室を後にした。
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