絶対に笑える作者の日常・爆笑した話集

湯川仁美

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㊹一人旅と夫

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北陸に住む義姉の夫はスーパードクター
週に1度しか帰宅はしない。
日本の医療のために日夜大学でお勤めあそばされている。

「日曜、朝一から引越しを手伝ってもらえないかな?」
義姉からの申し出に梨乃はにっこり微笑んだ。
「良いですよ」
「夫は仕事で不在なんだけど義母もいらっしゃるの。だから、メンバーは4歳の私の娘、梨乃ちゃん、総一郎、義理のお母様だから梨乃ちゃんの・・・なんだろ?義姉の姑だから・・・」


「姉義理お母様には赤ちゃんのお世話で決定ですね」
「そうなるよね」
梨乃と義姉は満場一致で打ち合わせを10秒行った。

ーーー引っ越し前々日。
「梅雨の晴れ間にお天気回復。土曜日は白川郷の合掌作りに行ってくるね。だから待ち合わせは北陸のAえぇホテルでいいかな?」
夫である総一郎は土曜日は会社のレクリエーションの司会進行でお昼過ぎまで料亭の川床料理。
義姉の引っ越しはアーク引越しセンターの荷詰から開封作業まで午前9時からなので、土曜日は義姉の家の近くのホテルに泊まる予定。
梨乃たちの泊まる家はない。
「・・・・うん。21時から23時くらいに着く」



1人で白川郷の観光を終えた梨乃はルンルンでAホテルにたどり着いたのは17時。
ホテルに荷物を置くと携帯を見た。
"17時半に着く"
あれ?移動に3時間かかるのに?
21時~23時ごろに来るんじゃないの?
夫からの連絡に首を傾げる。
すごい時間を巻いて移動をしてきたなぁ
なんて、思いつつ1人で生酒を飲む気満々だった梨乃はベッドに寝転び夫の到着を待つと宣言通り17時半過ぎにホテルにやって来た。

「白川郷ってさ」
「何?」
「俺も10年前に行ったことあるけど。楽しくなかった」
「そう」
何々?今日、妻が満喫してきた日本の世界遺産を侮辱かしら?
「だからさ。対して楽しくないと思ってたら、1人で楽しそうにしててさ。俺も会社のレクの川床料理美味しかったし、楽しかったけどさ。なんか、面白いことしてるし、俺だって白川郷行きたかった」
口を尖らせる夫に梨乃は拗ねているの?と大笑いすると梨乃は総一郎は手を引っ張った。
「生酒、飲みに行こう」
意気揚々と歩く中、夫の不機嫌は続く。

「10年前の白川郷には水プリンなんてなかったし、パンフレットでよく見る三合掌は見てないし。アニメ・ひぐらしなく頃にっの聖地しか行ってないし。梨乃と行くと野郎友達と行くより見所を押さえて連れて行ってくれるから楽しいんだよなぁ」


総一郎は妻を見下ろす。
「タンクトップってどうなんだろ?」
今日の梨乃の服装は胸が詰まったタンクトップ、黒のスキニーパンツ、運動靴というシンプルな服装。
「こないだ24歳って職場の23歳の子に言われたよ。保護者には新卒って言われたし。アラサーだけどタンクトップでも良いんじゃない?」
そもそもタンクトップに似合う、似合わない、年齢が関係あるのかは謎であるがと梨乃は首を傾げる。
「年配の人がタンクトップなら別になんも思わないけど、それなりに胸でかい人がタンクトップなら男は見るんだよ」

何を言ってるんだろう?
斜め45度で拗ねているわ。
そんな事を思いつつ。
「女の子は冷えたらダメだし、肩を出していたら変な男に声かけられるよ」

「お前は私のかーちゃんか?」

梨乃は突っ込む。
「ねねね。白川郷の合掌造り・和田家は400円もしたのよ?人間じゃなくて彼らは景観を見てるよ」

「400円かなぁ。高いな。・・・でも、俺ん家の実家は国に買収はれ。入場料取られ始めたけど、500円だから勝った」
「そうだね」
運転免許証を見せて国に寄贈したといえ俺の実家といって入場料をふんだくるから、湯川家は0円なんだけどね。
ふふふっと梨乃は笑うと総一郎の機嫌は治り、梨乃はお子様な夫を片目に生酒を楽しんだ。
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