絶対に笑える作者の日常・爆笑した話集

湯川仁美

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㊸鼻水は風邪じゃないわよ。認めない精神がなにより大事なのよ。

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小学校保健室勤務の梨乃は日々、児童にインフルエンザなどのウイルスに少しずつさらされ。
少しずつ免疫をつけ、会社員の夫の総一郎よりも感染症にかかりにくい傾向がある。
それは日曜の昼下がり。
スーパーから買い物からお昼ご飯を調達して家に帰って来た時だった。

”ずるるるる。くっしゅん”
総一郎はくしゃみをすると彼はテッシュで鼻をかむ。
「風邪ひいたかな?」
そんな呟きに買って来た食材を冷蔵庫に入れながら、梨乃は総一郎をみた。
「風邪ひいてないよ」
キッパリ言い切る妻に総一郎はえっと梨乃を見るのだが・・・。
「寒暖差アレルギー。正式名書を”血管運動性鼻炎”7度以上の気温差で鼻水は出るのよ。風邪ではありません」
「・・・え~。風邪かもよ?優しくしてほしいなぁ~」
「風邪じゃないから無理」
きっぱり梨乃は言い切ると総一郎は苦笑しながらもの言いたげに梨乃を見る。

ー――優しさを保健室にすべておいてきた?
俺にも優しくしてっと以前、言われたことがあり梨乃はにっこり微笑んだ。
「プラセボ効果で自分の体は風邪に屈しない。風邪菌が効かないと信じ込ませて、ノンシーボ効果で菌が体に入っても絶対に発症しない。自分の体では菌は繁殖することはないって言い聞かせたら絶対に風邪なんてきかないわ」
「究極な病は気から説かぁ~」
心底納得したように頷く夫に梨乃はくすりと笑う。
「実際のところ。科学的にプラセボ効果もノンシーボ効果も証明されているんだもの。思い込みだの暗示だのはコスト0円。折角そんな良い昨日が人間のチュートリアルとして備わっているんだから、最大限に有効活用しないと!」
ただより安い薬はない。
どんな薬でも腎臓、肝臓と臓器に負担をかけるが”信じる”この行為は臓器に負担をかけない。
梨乃は自信満々に言うとと総一郎はぽいっと鼻をかんだテッシュをゴミ箱に捨てた。

「現役保健室の先生のいう事だから。その通り」
「その通り。企画モノではない保健室の先生だからね」
ふふふっと笑うと総一郎は体温計をとりだす。
「熱あるの?」
本当に体調が悪いのかと心配そうに見る妻の視線に総一郎はいやぁ~っとバツが悪そうに笑う。
「本当に熱があったら。優しくしてくれるかなーっと」
「優しくして欲しいの?」
「そりゃ、して欲しい」

「あぁ・・・・。はいはい。脇を上げてください」
梨乃は夫から体温計を取り上げると、夫の熱を測る。
「うん。36.1度。体温が低いわね。あげたほうがいいわよ。あははははははは」
熱がなくて残念でしたっと梨乃は体温が低い事を指摘すると体温計をしまって、緑茶を入れ出した。

緑茶にはカテキン。勝菌が沢山含まれているのだから。
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