絶対に笑える作者の日常・爆笑した話集

湯川仁美

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㉝教師の飲みかい”恥ずかしい話”

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夏休みに突入すると、小学校の先生たちは暑気払いと称して1回のみに行く。

「恥ずかしい話ですか?」
それは40代の教務の男性教諭が隣に居た時に話のお題を振られ、梨乃は少し考える。
「犯罪じゃない恥ずかしさね」
追加されるお題に難しいなと更に考えるのだが。
直ぐには思いつかない。
「犯罪にあたる恥ずかしい話って何ですか?」
具体的なお題のヒントが欲しいなと思いつつ問い返すと勿論っと教務は口を開く。
「不倫、万引き、窃盗、恐喝」
「それ、恥ずかしい話じゃなくて、おっかない話ですよ」
なんて突っ込みを入れながら梨乃は考えると直ぐに思いついた。

「20代そこそこの若い時までは思わなかったんですが、人前で感情を出す人。悲しい事があるから電車でなくとか、そういうのは仕方が無いんだけど怒鳴り散らかしてる人とか。職場で怒鳴る人に対して人として恥ずかしいなって思うようになりました」
「それは恥ずかしいよな」
「私もまだまだ、不快な事は顔に出てしまいますが。大人として感情をむき出しにするのって幼稚で恥ずかしいですね」
特に昨今、TVのニュースでは元交際相手の男性が降られた腹いせにとか。
人生に幻滅してっとか、気に入らないことがあれば恥ずかしいを通り過ぎておっかないになることも多々ある。

「後は適切な言葉も恥ずかしいですね。日本語教師のボランティアで、夏休みは応募生徒が多数で100人程度参加しているグループラインで”俺、休みなんやけど笑笑”って友達言葉を登校した留学生がいて」
「意味は通じるし、自分を参加させてっていう純粋な思いで打ったんだろうけどな」
「そうなんですよね。悪気はないんですけど、こういう友達言葉を全体の場で言うのは。人前でおっぱい!おちんちんって叫んでるようなものよって大袈裟に二度としないように説明しました」
なんて真面目な話をしているのは初めだけ。

「雨の日にこけかかって、手をシュワッチって広げてバランスを取った時も恥ずかしい」
戦隊レンジャー的なキレキレっポーズ!
「あぁ、分る。レジでお金が足らない時も恥ずかしいな」
「・・・恥ずかしいというより、こっぱずかしいが正しいですか?」
「かもしれない。眼鏡かけてるのに眼鏡を探したり、マグカップを持ちながらマグカップを探したり、こっぱずかしい」
教務は腕組をして頷く。

「こっぱずかしいでいえば、間違えて手を振るとかもこっぱずかしい」
教頭先生は入って来ると梨乃は頷いた。
「あぁ。分かりますね。そして手を振られたら、自分も間違える事があるからハーフスマイルで。ごめんなさ~い、きっと、多分別人かなっと思いますって答えてね」
「分かるわぁ。自分のミスと重なって優しくしてしまう」
教務は頷くと、梨乃は少しだけ悪い顔をする。
「友達と焼肉屋に行ったとき、店長に久しぶりって言われて。お久しぶりです!ってなんとなく悪乗りしたら、店長が社割してくれました」
「それは最高」

教務は言うと、教頭先生はおいおいっと突っ込む。
「恥ずかしい話じゃなくて。こっぱずかしい話を通り越して。お得な話しになってるぞ」

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