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Prolog.
しおりを挟む幼い頃から誰かに褒められた記憶はない。
頭を撫でられたことも抱きしめられたこともない。人と笑いあって話した記憶もない。
ただこれだけは覚えている。
「ジョゼフィーヌ。王妃になりなさい。この国に命を賭して尽くしなさい。貴女はそのために生きているのです。」
親戚たちが口を揃えてそう言った。
私は王妃になるために生まれてきた。そのために存在している。これだけが私の生きる意味。
そのために3歳から厳しい王妃教育をしてきたし、学園で女の子達が街へお出かけしたり恋愛小説を読んでいるのを横目に他国との外交を行ってきた。
私の16年間はただ王妃になるためだけに捧げられてきた。そしてこれからもそのはずだった。
なのに。
「ジョゼフィーヌ、俺は愛する人を見つけてしまった。だからお前は側室となり子を産んでくれ。」
どうして正妃じゃなくなると言われる日がくると想像出来ましょう。
どうして隣国から男の恋人を連れ帰ってくるなどと想定出来ましょう。
どうして世継ぎのためだけに存在することになると思いましょう。
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