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第5章
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「あ、おかえり~」
俺とサレナが育子さん家に戻ると、こころがキッチンで料理をしていた。うまそうな匂いがする。そういえば腹減ったな。外も大分暗くなっているし。
「なんだよ、飯作ってくれてたのか?」
俺が尋ねると、
「うん。好一君、お腹すかせて帰ってくるかな~って思って」
と、こころはにぱっと笑いながら答えた。その笑顔はとても可愛かった。可愛すぎて、俺は何故か恥ずかしくなってちょっと目を逸らした。
「尽くすタイプか? 果報者だな」
サレナがにやにやしながら言った。な、な? なんだよ…う、嬉しいのは確かだけど。
「あら、良い匂いね~」
その時、壁の穴からすっとカルティ達が出て来た。服は機械油やら何やらで大分汚れている。
「あ、みんなの分作りましたから、夕ご飯にしましょう。さ、カルティさんも育子さんも座って座って」
皿に盛り付けながらこころが答える。
「私も・・・良いのですか? あんなことをしたのに・・・」
育子さんが暗い顔をしてうつむく。
「あ、別に、私気にしてませんから。育子さんの気持ち、良く分かるし・・・」
こころは一瞬悲しそうな顔をしながらそう言うと、またすぐににぱっと笑った。育子さんは驚いた様子を見せて涙ぐむ。そして、袖で涙を拭うと、こころの手伝いを始めた。
良かった良かった、丸く収まって。
それにしても、俺は部屋がだめになった程度だけど、こころは結構度量のある娘だよな、酷い目にあったのに。可愛くて家事が上手くて、たまに言動があれだけど性格も良くて・・・でも・・・こころはいったい何を抱え込んでいるのだろう。俺は何かしてやれないのだろうか・・・ちくりとまた何かが胸を刺す。
全員で食卓を囲んで、こころの作った夕飯を頂く。セラスとラナが相変わらずベッドの上というのが寂しいが、すぐに目を覚ますと希望を持つことにした。そういえばラナはちょっと起きてたよな、さっき。
「ああ、ラナは修理中だからね~。システムを全部そっちに向けてるのよ。完了すればすぐに目が覚めるわ~」
カルティはもぐもぐと飯を頬張りながら答える。
「ところで私やセラス達にも出してくれているが、食べられないのだが・・・」
カルティが頬に付けた汚れを取ってやりながら、申し訳なさそうにサレナが言う。
「ごめんね~ 私、あんまり食事に頓着がなかったから、そういうこと考えても居なかったわ」
「そういえばろくなものを食べていませんでしたね」
と育子さん。
「両親や親戚も居なくて、全寮制の学校で勉強ばっかりだったからね~。でも、こんなに美味しい家庭料理を食べられるのなら、サレナ達にもそういう機能を付けないとね~」
相変わらずもぐもぐと頬張りながらカルティは言う。
「こころちゃん、私のヨメにならない~?」
「ははは」
こころはにぱっと笑う。
「あら~ 好一君でないと嫌、やっぱり~」
つい俺はぶほっと吹く。こころはごにょごにょ何か言いながら顔を真っ赤にしている。
「いいわね~、羨ましいわ~。でも、セラスが起きたら修羅場ね~」
うぅ・・・それを言わないでくれ・・・
俺はセラスを見た。まだ人形のように寝たままだ。賑やかな食卓で気分は大分まぎれたが、やっぱりお前が居ないと寂しいよ。修羅場は困るが…
俺は風呂から出た後、窓辺でぼんやりと外を見ていた。梅雨も終わって夏が始まっているが、ここは山がちな田舎なせいかあんまり暑くはない。どこからか虫の鳴く音が聞こえる。
俺は網戸越しに空を見上げた。幾つも星が見える。良く見える明るい星は太陽系の惑星なのだろう。
あんなところに行って来たんだよな、と今更ながらに思う。昨日はバタバタしててあんまりじっくり考える暇もなかったからな。
そして、ぼんやりとサレナに言われたことを思い出す。とは言っても並み以下なヘタレの俺に何が出来るのだろうか? セラスはとんでもない戦艦なのだろうが・・・
その時、風呂のドアがバタンと開いた音がする。こころが風呂から出て来たらしい。
こころは古臭いところがあって、俺の部屋に居た時もそうだったが、風呂は男が先に入るものだとか言う。田舎の婆ちゃんっぽいな、そういうとこ。
はっ? それとも何か? 俺が後から入ると、「こ、これがこころの入ったお湯か・・・ハアハア」とかやると思われているのか? い、いや、やらないぞ、多分。いや絶対。いや多分・・・
「あ~ いいお湯だったよ~」
髪を拭きながらこころが脱衣所から出て、居間に入ってきた。そして俺の近くに座ると、別の乾いたタオルでまた髪を丁寧に拭う。
こころはあんまりドライヤーとか使わないな。そのせいなのかどうかは分らんが、髪はすごく艶やかで痛みとかなさそうだ。シャンプーの良い香りが俺の鼻孔をくすぐる。う、や、やばいとか思いつつ、俺は誘惑に逆らえずこころを見る。
日に当たると茶色く見える髪も、今はしっとりと綺麗な黒髪。しかも髪を拭いているせいで、白いうなじがちらちらと見える。おまけに湯上りのせいか少し赤い肌だし、いつもよりしっとりと密着する薄手のパジャマのせいでボディラインが分かってしまうし。
俺はこころを抱きしめてキスしたいという強い衝動に駆られてしまった。
いや、まずいまずい。それはまずい。セラスが目を覚まして、俺達の関係がきちんとしてからだ、そういうことは! だが正直な俺の股間の一器官はきちんと反応を示してしまう・・・うぅ、だめな俺・・・
「どうしたの?」
きょとんとした顔でこころは俺を見る。
「い、いや、なんでもありませんよ?」
しどろもどろに否定する俺。
「本当? あ、分かった。エッチなこと考えてたんでしょ~」
こころはそう言ってにぱっと笑う。そして、その後はっとしたようにうつむいて顔を赤くした。き、気付かれた? 俺がこころに対して青い衝動をもごもごしていたことに!?
「・・・」
「・・・」
俺達はお互いに何も言えないまま、じっとしていた。うう、まずい・・・なんと言えば・・・その時、隣の吐き出し窓をガラガラと開ける音がして、サレナが庭に出て来た。
「どうしたんだ?」
俺はこれ幸いと尋ねる。
「ん? カルティと育子が、ラナンキュラスの運航プログラム書き換え作業を始めたのだ。こうなると手伝うこともないし、かえって作業の邪魔なのでな」
サレナはそう言って空を見上げた。
「ここは夜空が綺麗だな」
「ま、田舎だしな」
「私達の地球では、環境汚染で薄くなってしまった大気の代わりに特殊粒子を軌道上に散布しているからな、星など見えん」
「そうか・・・」
俺とこころも夜空を見上げる。
あんまり意識したことなかったけど、目が慣れてくれば満天の星空に天の川も見えて、地球から見る星ってのも、宇宙で見るのに負けないくらい良いものだと思った。
そして、こころや皆とこうやって何をするでもなく過ごすのも。後はセラスが居ればな・・・
俺とサレナが育子さん家に戻ると、こころがキッチンで料理をしていた。うまそうな匂いがする。そういえば腹減ったな。外も大分暗くなっているし。
「なんだよ、飯作ってくれてたのか?」
俺が尋ねると、
「うん。好一君、お腹すかせて帰ってくるかな~って思って」
と、こころはにぱっと笑いながら答えた。その笑顔はとても可愛かった。可愛すぎて、俺は何故か恥ずかしくなってちょっと目を逸らした。
「尽くすタイプか? 果報者だな」
サレナがにやにやしながら言った。な、な? なんだよ…う、嬉しいのは確かだけど。
「あら、良い匂いね~」
その時、壁の穴からすっとカルティ達が出て来た。服は機械油やら何やらで大分汚れている。
「あ、みんなの分作りましたから、夕ご飯にしましょう。さ、カルティさんも育子さんも座って座って」
皿に盛り付けながらこころが答える。
「私も・・・良いのですか? あんなことをしたのに・・・」
育子さんが暗い顔をしてうつむく。
「あ、別に、私気にしてませんから。育子さんの気持ち、良く分かるし・・・」
こころは一瞬悲しそうな顔をしながらそう言うと、またすぐににぱっと笑った。育子さんは驚いた様子を見せて涙ぐむ。そして、袖で涙を拭うと、こころの手伝いを始めた。
良かった良かった、丸く収まって。
それにしても、俺は部屋がだめになった程度だけど、こころは結構度量のある娘だよな、酷い目にあったのに。可愛くて家事が上手くて、たまに言動があれだけど性格も良くて・・・でも・・・こころはいったい何を抱え込んでいるのだろう。俺は何かしてやれないのだろうか・・・ちくりとまた何かが胸を刺す。
全員で食卓を囲んで、こころの作った夕飯を頂く。セラスとラナが相変わらずベッドの上というのが寂しいが、すぐに目を覚ますと希望を持つことにした。そういえばラナはちょっと起きてたよな、さっき。
「ああ、ラナは修理中だからね~。システムを全部そっちに向けてるのよ。完了すればすぐに目が覚めるわ~」
カルティはもぐもぐと飯を頬張りながら答える。
「ところで私やセラス達にも出してくれているが、食べられないのだが・・・」
カルティが頬に付けた汚れを取ってやりながら、申し訳なさそうにサレナが言う。
「ごめんね~ 私、あんまり食事に頓着がなかったから、そういうこと考えても居なかったわ」
「そういえばろくなものを食べていませんでしたね」
と育子さん。
「両親や親戚も居なくて、全寮制の学校で勉強ばっかりだったからね~。でも、こんなに美味しい家庭料理を食べられるのなら、サレナ達にもそういう機能を付けないとね~」
相変わらずもぐもぐと頬張りながらカルティは言う。
「こころちゃん、私のヨメにならない~?」
「ははは」
こころはにぱっと笑う。
「あら~ 好一君でないと嫌、やっぱり~」
つい俺はぶほっと吹く。こころはごにょごにょ何か言いながら顔を真っ赤にしている。
「いいわね~、羨ましいわ~。でも、セラスが起きたら修羅場ね~」
うぅ・・・それを言わないでくれ・・・
俺はセラスを見た。まだ人形のように寝たままだ。賑やかな食卓で気分は大分まぎれたが、やっぱりお前が居ないと寂しいよ。修羅場は困るが…
俺は風呂から出た後、窓辺でぼんやりと外を見ていた。梅雨も終わって夏が始まっているが、ここは山がちな田舎なせいかあんまり暑くはない。どこからか虫の鳴く音が聞こえる。
俺は網戸越しに空を見上げた。幾つも星が見える。良く見える明るい星は太陽系の惑星なのだろう。
あんなところに行って来たんだよな、と今更ながらに思う。昨日はバタバタしててあんまりじっくり考える暇もなかったからな。
そして、ぼんやりとサレナに言われたことを思い出す。とは言っても並み以下なヘタレの俺に何が出来るのだろうか? セラスはとんでもない戦艦なのだろうが・・・
その時、風呂のドアがバタンと開いた音がする。こころが風呂から出て来たらしい。
こころは古臭いところがあって、俺の部屋に居た時もそうだったが、風呂は男が先に入るものだとか言う。田舎の婆ちゃんっぽいな、そういうとこ。
はっ? それとも何か? 俺が後から入ると、「こ、これがこころの入ったお湯か・・・ハアハア」とかやると思われているのか? い、いや、やらないぞ、多分。いや絶対。いや多分・・・
「あ~ いいお湯だったよ~」
髪を拭きながらこころが脱衣所から出て、居間に入ってきた。そして俺の近くに座ると、別の乾いたタオルでまた髪を丁寧に拭う。
こころはあんまりドライヤーとか使わないな。そのせいなのかどうかは分らんが、髪はすごく艶やかで痛みとかなさそうだ。シャンプーの良い香りが俺の鼻孔をくすぐる。う、や、やばいとか思いつつ、俺は誘惑に逆らえずこころを見る。
日に当たると茶色く見える髪も、今はしっとりと綺麗な黒髪。しかも髪を拭いているせいで、白いうなじがちらちらと見える。おまけに湯上りのせいか少し赤い肌だし、いつもよりしっとりと密着する薄手のパジャマのせいでボディラインが分かってしまうし。
俺はこころを抱きしめてキスしたいという強い衝動に駆られてしまった。
いや、まずいまずい。それはまずい。セラスが目を覚まして、俺達の関係がきちんとしてからだ、そういうことは! だが正直な俺の股間の一器官はきちんと反応を示してしまう・・・うぅ、だめな俺・・・
「どうしたの?」
きょとんとした顔でこころは俺を見る。
「い、いや、なんでもありませんよ?」
しどろもどろに否定する俺。
「本当? あ、分かった。エッチなこと考えてたんでしょ~」
こころはそう言ってにぱっと笑う。そして、その後はっとしたようにうつむいて顔を赤くした。き、気付かれた? 俺がこころに対して青い衝動をもごもごしていたことに!?
「・・・」
「・・・」
俺達はお互いに何も言えないまま、じっとしていた。うう、まずい・・・なんと言えば・・・その時、隣の吐き出し窓をガラガラと開ける音がして、サレナが庭に出て来た。
「どうしたんだ?」
俺はこれ幸いと尋ねる。
「ん? カルティと育子が、ラナンキュラスの運航プログラム書き換え作業を始めたのだ。こうなると手伝うこともないし、かえって作業の邪魔なのでな」
サレナはそう言って空を見上げた。
「ここは夜空が綺麗だな」
「ま、田舎だしな」
「私達の地球では、環境汚染で薄くなってしまった大気の代わりに特殊粒子を軌道上に散布しているからな、星など見えん」
「そうか・・・」
俺とこころも夜空を見上げる。
あんまり意識したことなかったけど、目が慣れてくれば満天の星空に天の川も見えて、地球から見る星ってのも、宇宙で見るのに負けないくらい良いものだと思った。
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