29 / 40
第5章
5-4
しおりを挟む
「なんだ、来ていたのか」
何をすることもできずにぼんやりとしていると、玄関のドアが開いてサレナがすっと入ってきた。
「どこ行ってたんだ?」
少し救われたような気持ちになって、俺はサレナに尋ねた。
「狩り、だな」
「狩り? ゲームじゃあるまいし」
「ゲームではないぞ? 私の本分だ。私達はヴァルミンと戦う為に建造されたのだからな」
カタンと音がした。こころが櫛を落としたらしい。慌てて、セラスを抱えたまま、ベッドの下へ手を伸ばしている。
「出たのか? ヴァルミンが」
「ああ、昨晩から何度か」
サレナがすっと櫛をこころへ取ってやりながら答える。
「何度もか?」
「昨日宇宙で派手にやり合ったからな、奴らの目に付いたのかもしれん」
「多少は聞いたけど、結局あいつ等は何なんだ? お前達の宇宙にだけ居るもんじゃないのか?」
「何かはまだ分かっていない。正体であるナノマシンの構成は私達の地球の技術で作られたものに似ているらしいが。宇宙人の作った兵器が地球圏にまで到達してしまったという説もある」
「なんだよ、訳分からん」
「私も分からん。ただ、カルティの言うことが正しければ、この宇宙と私達の宇宙のヴァルミンは同じ存在だ。とすれば、連中は並行宇宙を移動できることになるな・・・しかも奴らは特殊な群体だと推測されている」
「群体?」
「ヴァルミンと呼称されるナノマシン、それら全てが共通の思考を持ち、連携を持ちながら行動しているらしいのだ。目的は分からんが、それがここにあるのなら、もっと集まってくるかもしれんな、それこそ別の宇宙から」
「大丈夫なのか?」
「まあ、心配はいらん。地球のどこに来ても私は探知できるし、千や二千程度なら私一隻で十分殲滅できる。セラスとラナが動けるようになれば万単位の大艦隊が来ても対応できるだろう」
うぅ、セラスには地球の未来が掛かっているのに俺のせいで・・・どうすりゃいいんだよ?
「ただ、な」
「ただ、なんだよ」
「さっきも言ったとおり奴らの目的は分からんが、奴らの地球への降下ポイントはこの街付近に限られているのだ」
この街にだけ? なんでまた?
その時、またこころが櫛を落とした。
「どうした? 支えながらではやりにくいか?」
サレナが櫛を拾って、こころの替わりにセラスを支えた。
どうでも良いけど、サレナって結構優しいお姉さん? 口調は武人っぽいけど。
ちょっと暗い顔をしていたこころも微笑んで、二人でセラスの髪を梳かし始める。瞬く間にセラスの長い銀色の髪はいつものように可愛いツーサイドアップに纏められた。
女子二人は共同作業に楽しさを覚えたのか、隣で寝ていたラナも抱え上げて梳かし始める。
「うぅ?」
その最中、ラナが少し目を開けた。声は初めて聞いたが、アニメ声系の萌えるかんじな声だな。
「あ、ごめん。起こしちゃった?」
髪を梳かしながらこころはラナに微笑む。
ラナは半分寝たような顔だったけど、頭を軽く振って、顔を赤らめながらも少し嬉しそうにうつむいた。
ラナが大丈夫そうだったので作業は続行され、黄色い長髪はツインテールに結いあげられた。
俺は何をするでもなく、それを見ていた。嬉しそうに笑う女子達を見ていると、戦いを義務付けられたり、それに巻き込まれている娘達には見えない。俺が守れるものなら守ってやりたいと思った。
けど、俺はヘタレで変態な、並み以下の高校生だ。どうすりゃ良いんだよ・・・どうしようもないのか・・・悲しい現実に、俺はため息をついた。
「どうした、若い男が。鈍っているなら少し鍛えてやろうか? お前も戦わなくてはいけないことになるだろうしな」
こころと笑っていたサレナがそんなことを言った。
「俺がか?」
「自覚を持て。お前はセラスのマスターなのだろう? 姉妹の中でも最大の力を持つセラスのマスターであるお前がこの宇宙の将来を左右するのだぞ?」
考えてみれば確かにそうなのかもしれない。本当にヴァルミンが押し寄せてくれば。だけど俺がか? 俺なんかがか? 出来るわけないのでは?
「これは少し揉んでやらないとだめそうだな?」
表情で俺の思考を読んだようでサレナはそんな恐ろしい発言をした。しかもなぜか楽しそうに笑いながら。
え、あ、ちょ? 俺は揉みたいけど揉まれるのは嫌ですよ? そんな俺の心の叫びを無視して、サレナは俺の腕をぐっと掴むと、出現させた空間の歪みの中に、俺を放り投げる。
どさりと落ちた先は、どこかも分からない山の中だった。付いてきたサレナは軽やかに着地する。
「好一君? サレナさーん?」
穴の向こう側でこころの声が聞こえた。だが、歪みはすぐに消え、俺とサレナだけが山の中に取り残される。周囲は巨木が生い茂り、小さな小川が流れて地面は苔むしている。
「まあ、ここなら良いだろう」
サレナはそんなことを言いながら、俺に何かを放ってよこす。ガシャンと金属音を立てたそれは、日本刀と、ルガーP08っぽいのが未来風に進化したような拳銃だった。
「さあ、取れ。相手をしてやるぞ」
サレナは楽しそうに言う。
ちょ、ちょ? ちょっと待って下さい、サレナ姉さん。俺に何をさせる気ですか?
「お前も戦士になるからには、多少は使えた方が良いだろう? まあ、そんなもので実際に戦うことは無いだろうが。度胸づけだ」
俺はおそるおそる刀と銃を取る。あ、意外と軽い。
「重力制御刀と電磁投射銃だ。銃に安全装置は無いから、引き金に指を掛ける時は気を付けろ。あと、刃を自分に当てるなよ?」
サレナはごく大雑把な説明をすると、すごく楽しそうに俺に襲いかかってきた。
回し蹴りが俺の頭をかすめ、背後の大岩を砕く。うぎょっ! あ、当たったら死ぬ!? 俺はサレナの、わざとやっているのだろう大ぶりの攻撃から必死で逃げる。
「どうした? 反撃しないと死ぬぞ?」
サレナは連続してパンチや蹴りを繰り出しながら、さらに嬉しそうに言う。って嬉しそうに言うようなことじゃないぞ!?
俺は無我夢中で銃を構える。二重になっている引き金が一応セイフティなのだろう、それを一気に引いた。
ほとんど反応もなく、小さくカシュッという音を立てて、銃口から閃光が走る。だがサレナは軽々とかわす。そして回し蹴りの反撃。
俺は尻餅をつきながら避け、刀を抜く。陽光にきらめく白銀の刃。こ、こわっ!すげえ切れそうだ。片手に銃を持ちながらだが、刀の軽さに助けられて、俺はそれを横殴りに振る。
それを、当然だがサレナはなんてことなくかわす。目標を失った刀は近くの岩をざっくりとえぐった。うげっ、超切れる! こんなに軽い刀なのに豆腐みたいに岩が切れた?! 切れ味に驚く俺にかまわずサレナは攻撃を続ける。俺は必死で逃げ、銃を打ち、刀を振るう。そんなことをしばらく続けた。
「まあ、こんなものだろう」
弾が尽き、刀を握ることもできなくなってへたり込んだ俺を見て、サレナはそう言った。そして俺にペットボトルの水を投げてよこす。
「どうだ、体を動かすのも気持ちの良いものだろう」
ごくごくとそれを飲む俺にそう言いながら、サレナは岩の上に腰を下ろした。さらりと黒く長い髪が風になびく。
まあ、確かに、もやもやとしたものは吹っ飛んだというか、考える体力が無くなったと言うか・・・
「こんなことして、俺に何をさせたいんだ?」
俺の問いにサレナは、
「特に何も」
と答えた。なんだよ、それは。
「カルティに言わせれば、お前は英雄らしいからな。何をするかはお前が決めることだ」
「俺が? このヘタレな俺が? 今の見たって分かるだろ?」
「別に肉弾戦に強いのが英雄の必須条件ではない。それに生身の体で私に勝てるものなどそうは居ないぞ?」
周囲の岩は主にサレナの攻撃でかなり粉砕されている。確かにまともな人間じゃあ無理そうだ。でもなあ・・・
「こころもこの宇宙の住人では無いようだな」
サレナは突然言った。育子さんもそんなこと言ってたっけ。不思議な銃も持ってるし、様子がへんなことはあったけど、本当にそうなのか?
「しかもヴァルミンと係わりがあるとカルティはふんでいる」
「そ、それはどういうことだ?!」
俺は驚いて言った。ヴァルミンと? ・・・確かに普段のあいつからすると信じられないくらい怖がってたけど。さっぱり訳が分らん。
「まあ、本人が話すまでこちらからは何も言うつもりは無いが・・・そんなこころと、建造された本来の意味を見失ってしまったセラス。そんな二人がお前の所に集まった。本来接触することのない三つの宇宙がお前を中心に交わったのだ。とんでもない確率の偶然だな」
そう言われてみれば、こころの話が本当ならだが、すごい偶然だな。
「その偶然を得て何かを成し、偶然を必然にしてしまうのが英雄なのだそうだ。カルティに言わせれば」
「訳分からねえよ」
「まあ、そうだろうな。私も良く分からん」
そう言ってサレナは笑った。
「セラスのことを大分案じているようだが、セラスはそう弱い存在ではない。あいつのことはあいつに任せろ。お前はセラスと共に何を成すべきか考えておけ」
俺はますます分からなくなった。
「ま、がんばれ。英雄かどうかはともかく、男の子、なんだろう?」
サレナはそう言って、くすりと笑った。その顔はとても綺麗だった。
何をすることもできずにぼんやりとしていると、玄関のドアが開いてサレナがすっと入ってきた。
「どこ行ってたんだ?」
少し救われたような気持ちになって、俺はサレナに尋ねた。
「狩り、だな」
「狩り? ゲームじゃあるまいし」
「ゲームではないぞ? 私の本分だ。私達はヴァルミンと戦う為に建造されたのだからな」
カタンと音がした。こころが櫛を落としたらしい。慌てて、セラスを抱えたまま、ベッドの下へ手を伸ばしている。
「出たのか? ヴァルミンが」
「ああ、昨晩から何度か」
サレナがすっと櫛をこころへ取ってやりながら答える。
「何度もか?」
「昨日宇宙で派手にやり合ったからな、奴らの目に付いたのかもしれん」
「多少は聞いたけど、結局あいつ等は何なんだ? お前達の宇宙にだけ居るもんじゃないのか?」
「何かはまだ分かっていない。正体であるナノマシンの構成は私達の地球の技術で作られたものに似ているらしいが。宇宙人の作った兵器が地球圏にまで到達してしまったという説もある」
「なんだよ、訳分からん」
「私も分からん。ただ、カルティの言うことが正しければ、この宇宙と私達の宇宙のヴァルミンは同じ存在だ。とすれば、連中は並行宇宙を移動できることになるな・・・しかも奴らは特殊な群体だと推測されている」
「群体?」
「ヴァルミンと呼称されるナノマシン、それら全てが共通の思考を持ち、連携を持ちながら行動しているらしいのだ。目的は分からんが、それがここにあるのなら、もっと集まってくるかもしれんな、それこそ別の宇宙から」
「大丈夫なのか?」
「まあ、心配はいらん。地球のどこに来ても私は探知できるし、千や二千程度なら私一隻で十分殲滅できる。セラスとラナが動けるようになれば万単位の大艦隊が来ても対応できるだろう」
うぅ、セラスには地球の未来が掛かっているのに俺のせいで・・・どうすりゃいいんだよ?
「ただ、な」
「ただ、なんだよ」
「さっきも言ったとおり奴らの目的は分からんが、奴らの地球への降下ポイントはこの街付近に限られているのだ」
この街にだけ? なんでまた?
その時、またこころが櫛を落とした。
「どうした? 支えながらではやりにくいか?」
サレナが櫛を拾って、こころの替わりにセラスを支えた。
どうでも良いけど、サレナって結構優しいお姉さん? 口調は武人っぽいけど。
ちょっと暗い顔をしていたこころも微笑んで、二人でセラスの髪を梳かし始める。瞬く間にセラスの長い銀色の髪はいつものように可愛いツーサイドアップに纏められた。
女子二人は共同作業に楽しさを覚えたのか、隣で寝ていたラナも抱え上げて梳かし始める。
「うぅ?」
その最中、ラナが少し目を開けた。声は初めて聞いたが、アニメ声系の萌えるかんじな声だな。
「あ、ごめん。起こしちゃった?」
髪を梳かしながらこころはラナに微笑む。
ラナは半分寝たような顔だったけど、頭を軽く振って、顔を赤らめながらも少し嬉しそうにうつむいた。
ラナが大丈夫そうだったので作業は続行され、黄色い長髪はツインテールに結いあげられた。
俺は何をするでもなく、それを見ていた。嬉しそうに笑う女子達を見ていると、戦いを義務付けられたり、それに巻き込まれている娘達には見えない。俺が守れるものなら守ってやりたいと思った。
けど、俺はヘタレで変態な、並み以下の高校生だ。どうすりゃ良いんだよ・・・どうしようもないのか・・・悲しい現実に、俺はため息をついた。
「どうした、若い男が。鈍っているなら少し鍛えてやろうか? お前も戦わなくてはいけないことになるだろうしな」
こころと笑っていたサレナがそんなことを言った。
「俺がか?」
「自覚を持て。お前はセラスのマスターなのだろう? 姉妹の中でも最大の力を持つセラスのマスターであるお前がこの宇宙の将来を左右するのだぞ?」
考えてみれば確かにそうなのかもしれない。本当にヴァルミンが押し寄せてくれば。だけど俺がか? 俺なんかがか? 出来るわけないのでは?
「これは少し揉んでやらないとだめそうだな?」
表情で俺の思考を読んだようでサレナはそんな恐ろしい発言をした。しかもなぜか楽しそうに笑いながら。
え、あ、ちょ? 俺は揉みたいけど揉まれるのは嫌ですよ? そんな俺の心の叫びを無視して、サレナは俺の腕をぐっと掴むと、出現させた空間の歪みの中に、俺を放り投げる。
どさりと落ちた先は、どこかも分からない山の中だった。付いてきたサレナは軽やかに着地する。
「好一君? サレナさーん?」
穴の向こう側でこころの声が聞こえた。だが、歪みはすぐに消え、俺とサレナだけが山の中に取り残される。周囲は巨木が生い茂り、小さな小川が流れて地面は苔むしている。
「まあ、ここなら良いだろう」
サレナはそんなことを言いながら、俺に何かを放ってよこす。ガシャンと金属音を立てたそれは、日本刀と、ルガーP08っぽいのが未来風に進化したような拳銃だった。
「さあ、取れ。相手をしてやるぞ」
サレナは楽しそうに言う。
ちょ、ちょ? ちょっと待って下さい、サレナ姉さん。俺に何をさせる気ですか?
「お前も戦士になるからには、多少は使えた方が良いだろう? まあ、そんなもので実際に戦うことは無いだろうが。度胸づけだ」
俺はおそるおそる刀と銃を取る。あ、意外と軽い。
「重力制御刀と電磁投射銃だ。銃に安全装置は無いから、引き金に指を掛ける時は気を付けろ。あと、刃を自分に当てるなよ?」
サレナはごく大雑把な説明をすると、すごく楽しそうに俺に襲いかかってきた。
回し蹴りが俺の頭をかすめ、背後の大岩を砕く。うぎょっ! あ、当たったら死ぬ!? 俺はサレナの、わざとやっているのだろう大ぶりの攻撃から必死で逃げる。
「どうした? 反撃しないと死ぬぞ?」
サレナは連続してパンチや蹴りを繰り出しながら、さらに嬉しそうに言う。って嬉しそうに言うようなことじゃないぞ!?
俺は無我夢中で銃を構える。二重になっている引き金が一応セイフティなのだろう、それを一気に引いた。
ほとんど反応もなく、小さくカシュッという音を立てて、銃口から閃光が走る。だがサレナは軽々とかわす。そして回し蹴りの反撃。
俺は尻餅をつきながら避け、刀を抜く。陽光にきらめく白銀の刃。こ、こわっ!すげえ切れそうだ。片手に銃を持ちながらだが、刀の軽さに助けられて、俺はそれを横殴りに振る。
それを、当然だがサレナはなんてことなくかわす。目標を失った刀は近くの岩をざっくりとえぐった。うげっ、超切れる! こんなに軽い刀なのに豆腐みたいに岩が切れた?! 切れ味に驚く俺にかまわずサレナは攻撃を続ける。俺は必死で逃げ、銃を打ち、刀を振るう。そんなことをしばらく続けた。
「まあ、こんなものだろう」
弾が尽き、刀を握ることもできなくなってへたり込んだ俺を見て、サレナはそう言った。そして俺にペットボトルの水を投げてよこす。
「どうだ、体を動かすのも気持ちの良いものだろう」
ごくごくとそれを飲む俺にそう言いながら、サレナは岩の上に腰を下ろした。さらりと黒く長い髪が風になびく。
まあ、確かに、もやもやとしたものは吹っ飛んだというか、考える体力が無くなったと言うか・・・
「こんなことして、俺に何をさせたいんだ?」
俺の問いにサレナは、
「特に何も」
と答えた。なんだよ、それは。
「カルティに言わせれば、お前は英雄らしいからな。何をするかはお前が決めることだ」
「俺が? このヘタレな俺が? 今の見たって分かるだろ?」
「別に肉弾戦に強いのが英雄の必須条件ではない。それに生身の体で私に勝てるものなどそうは居ないぞ?」
周囲の岩は主にサレナの攻撃でかなり粉砕されている。確かにまともな人間じゃあ無理そうだ。でもなあ・・・
「こころもこの宇宙の住人では無いようだな」
サレナは突然言った。育子さんもそんなこと言ってたっけ。不思議な銃も持ってるし、様子がへんなことはあったけど、本当にそうなのか?
「しかもヴァルミンと係わりがあるとカルティはふんでいる」
「そ、それはどういうことだ?!」
俺は驚いて言った。ヴァルミンと? ・・・確かに普段のあいつからすると信じられないくらい怖がってたけど。さっぱり訳が分らん。
「まあ、本人が話すまでこちらからは何も言うつもりは無いが・・・そんなこころと、建造された本来の意味を見失ってしまったセラス。そんな二人がお前の所に集まった。本来接触することのない三つの宇宙がお前を中心に交わったのだ。とんでもない確率の偶然だな」
そう言われてみれば、こころの話が本当ならだが、すごい偶然だな。
「その偶然を得て何かを成し、偶然を必然にしてしまうのが英雄なのだそうだ。カルティに言わせれば」
「訳分からねえよ」
「まあ、そうだろうな。私も良く分からん」
そう言ってサレナは笑った。
「セラスのことを大分案じているようだが、セラスはそう弱い存在ではない。あいつのことはあいつに任せろ。お前はセラスと共に何を成すべきか考えておけ」
俺はますます分からなくなった。
「ま、がんばれ。英雄かどうかはともかく、男の子、なんだろう?」
サレナはそう言って、くすりと笑った。その顔はとても綺麗だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます
黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる