うちの居候は最強戦艦!

morikawa

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第6章

6-2

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 カーテンの隙間から差し込む朝日で、俺はなんとなく目を覚ました。

 ぼんやりと体を起こして当たりを見る。ここは俺の部屋だ。そして居るのは俺一人。やっぱり一人は寂しい・・・

 昨日は夕方になってから、やっとこころとラナが戻ってきた。

 買い物をしてたから遅くなったんだとか。それだったら俺が荷物持ちやってやったのにな?

 結局カルティ達は戻ってこなかったので、三人で夕飯を食った。

 その後、俺はラナにこころの部屋から追い出されてしまったのだ。夜遅くまで女性の部屋にいるな、です! とか言われて。まあ確かに正論なのだが。

 俺は未練がましく、もう一度部屋を見る。

 当然のことだが、誰も居ない。

 体に穴が空いたような、体の一部が無くなってしまったような、そんな感じだ。ちょっと前までそれが当然だったのに。そのせいか、セラスの夢まで見てしまった。あ、いや、別にエロいのじゃないぞ! 本当だぞ!

 夢の中で、セラスはうずくまり、膝に顔を埋めたままじっとしていた。

「何してんだよ」

 と尋ねるとセラスは驚いたように俺を見上げ、

「私は汚いのです、みっともないのです」

 と答えた。

「どこがだよ?」

「全部。私の存在そのものが」

「どこも汚くないだろ? みっともなくねえよ」

 というか十分に可愛いぞ。

「なんでそんなこと思ったんだよ」

「・・・言えません、恥ずかしくて情けなくて」

「そうか。まあ、そんなことは誰にでもある」

 俺にもあるぞ、いろいろ、いろいろと。とてもいろいろと。しかもその一部は女子共にばれてしまっているし・・・

「お前は人間と同じなんだろ? だったらそんなところがあっても当然だ」

「でも私は・・・こころを、こころを・・・」

 うぅ、やっぱりそれか。よっぽど俺に懐いてくれてたんだな。いや、夢の中でまで逃げるのはよそう。俺のことを好きになってくれたんだな。ありがとう、セラス。

「悪かったよ、この間は。お前を戦わせておいて、お前を傷付けるようなことして」

 セラスは顔を埋めたまま、ふるふると首を振る。

「悪いのは私です。汚いんです」

 またそれか。子供から急に大きくなったから、そういう感情をコントロールできないで居るのかもしれない。

 俺はなんと言えばいいのだろう。って、言葉を選ぶのも逃げだよな。二股だと言われようと、正直なところ言うしかない。

「帰って来てくれよ、セラス」

 俺は勇気を振り絞って言った。

「俺はこころを好きだけど、お前も好きだ、大事だ。汚かろうとなんだろうと、そんなことどうでも良い。お前が居ないと寂しいんだよ。もう一人にはなれないんだよ。だから帰ってきてくれ! お願いだから!」

 セラスは驚いたような顔をして、膝から顔を上げた。大分泣いたのか、きれいな青い目は充血して、顔も汚れている。セラスは何か言おうと口を開いた。

 ここで目が覚めた。良く思い出すと恥ずかしいな! 見悶えしそうだ! 夢の中でだけど、初めて告ってしまった。うわ、ああ恥ずかしい! しかも結論なし! ヘタレな俺っぽい夢だな! うぅ・・・

 その時、静かに玄関のドアが開いた。鍵を掛け忘れてたな、そう言えば。どうせ蹴れば開くんだと油断してた。

 こころかな? いや、それにしちゃ足音が静かだ。あいつはもっと勢いよく歩く。この猫のように静かな足音は・・・!

 おずおずと、少しだけ引き戸が開く。そこから白い顔と青い目、そして銀色の髪が覗く。

「セラス!」

 俺は思わず叫んだ。そして無意識のうちに布団を飛び出し、引き戸をがばっと開けた! 

セラス、セラスだ! ちょこんとしゃがんだまま、目に涙を溜めて俺を見上げている。俺もしゃがみ込むと、そのままの勢いでセラスを抱きしめた。

「このバカ、もっと早く起きろよ・・・」

「ごめんなさい。コーイチと話すまで、まともに思考もできなかったのです・・・」

 え、俺と話すまで? ・・・ひょっとしてさっきの夢は、セラスとリンクして会話してたということですか? というと何ですか? 告ったのも事実ということに・・・

 俺は顔に血が上ってきた。は、恥ずかし過ぎる・・・だが、そんなことはもうどうでも良い。セラスが起きて動いて俺の腕の中に居る。それが堪らなく嬉しい! 俺はもっと強くセラスを抱きしめた。

「もう寝るの禁止だ、お前は」

「はい」

「俺から離れるのも禁止だ」

「はい」

 俺はセラスを抱きしめたまま、頭を撫でた。セラスも嬉しそうに、ちょっと恥ずかしそうに微笑む。その時ドアが激しい音を立てて開いた。

「セラスちゃん!」

 こころがセラスに気付き、大きな声を上げる。そして嬉しそうな顔をして、中に入ってきた。

「良かった、良かったよ・・・心配したよ・・・」

 だがセラスは、びくっととして、子猫が怯えて逃げるように俺の後ろへと逃げる。そして暗い、今にも泣きそうな表情をしながら、こころから顔を隠す。

「セラスちゃん・・・」

 こころも悲しそうにしゅんとした顔をして、その場に止まる。うぅ、そうだ、セラスが起きたとはいえ、問題は何も解決していない・・・ど、どうすれば・・・

「やっと起きたかこののろまめ、です。お姉ちゃんに心配を掛けるとは良い度胸だ、です」

 この困った状況に気付かず、ラナがこころに遅れて中に入ってきた。そしてセラスとこころの様子を見てさらりと言う。

「これが修羅場か、です。初めて見た、です」

 そして俺を睨んで、

「このヘタレ淫獣ヤリチンどうするつもりだ死ねばいいのに、です」

 と言った。うぅ、すみません。でもやっていません・・・
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