うちの居候は最強戦艦!

morikawa

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第2章

2-2

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 カーテンの隙間から差し込む朝日で、俺はなんとなく目を覚ました。

 キッチンから小気味良い包丁の音が聞こえる。いつものようにセラスが朝飯を作ってくれているのだろう。今、何時だろうか。俺は布団から出ずに時計を見ようと、少し体勢を変えるために手を動かす。

むにっ

・・・? なんだ? 何か柔らかいものに触れた・・・?

 触っているものは布・・・だよな?

 だが、布越しに何か暖かくて柔らかい物体の存在が。指が沈み込むような柔らかさがありながら、それでいてその指を強く押し返すような弾力。何だろう、これは? 俺は寝ぼけた頭で、謎の物体をふにふにと揉んでみる。き、気持ちいい・・・な、なんだか癖になりそうな感触だ。

「くふぅ・・・」

 な、なんだ? 柔らかいものが喋った!? 俺は反射的に腹筋のみで体を起こした。

「うぅ・・・だめぇ、好一君、もっと優しく・・・」

 うなっ!? 半分寝ぼけたような顔でこころがぼーっと俺を見ている?! 俺は慌てて、何が何だか分からないまま、手を引っ込める。ひょ、ひょっとして俺が揉んでたのはこころのお、お、おぱぱ・・・!?

 今ので完全に目が覚めた。心臓がバクバクいってやがる。

 おかげで思い出した。昨夜、あの事件が起こってから、こころが一人で居るのは怖いと言って、うちに泊まったんだ・・・

 狭い部屋だし、こころが良いというので、俺のベッドをどかして三枚布団を並べて寝たんだ。

 言い訳をすれば相変わらず布団に入った形跡はないが一応セラスの分を真ん中にしてたのに! こころのやつ、寝像悪過ぎだ! 俺の方まで転がってきてるぞ?!

「ふわっ?!」

 突然、こころが叫び声を上げてがばっと起き上り、慌てて胸を押さえた。ようやく事態を認識したのか、赤い顔をして、ちらっとこっちを見る。こころは夏用の薄いピンクのパジャマを着ている。昨夜も見たはずだが、やっぱり緊張する。その、なんというか、可愛いな・・・

 こころが胸を押さえたまま、また俺をちらっと見た。うう、何と言ったら良いのか・・・わ、わざとでは、狙ったわけではないので潔く謝れば良いのか・・・? し、しかし、ど、どう切り出せば?!

 困惑しつつこころをちらちらと見ているうちに、俺も顔がほてって来た。ちらっちらっとお互いを見ては、目を逸らす。ま、まずい。謝らないといけないのだろうが、きっかけが掴めん!

 その時、引き戸がすっと開いた。そしてその隙間からセラスが顔を出す。セラスは今日も朝からメイド服だ。どうも調理をする時の服装と勘違いしているらしい。

「コーイチ、こころ、朝食が出来ました・・・何かありましたか?」

 俺達の不審な様子を見て、セラスが尋ねる。

「い、いや、何も!?」

「う、うん、何も無いよ?!」

 二人で慌てて否定する。

「・・・そうですか。では、起きて召し上がって下さい。休日とはいえ、だらけているのは感心できません」

 俺達はごまかすように、セラスの言葉に従って慌てて布団から出ると、キッチンへ向かう。今日もセラスの作った朝飯は美味そうだ。

 だが、とても味わっていられそうもない。箸を持つ手に、さっきの感触が残っている・・・ま、まずい! あの感触を思い出しただけで、こ、股間の辺りが困った状態に・・・?!
 危険なこの現状を女子二人から隠匿すべく少し前かがみになりがなら、ちらっとこころを見ると、偶然目が合った。

 こころはまたちょっと顔を赤くして下を向く。俺もなんなんだか良く分からないが、どうしようもなく恥ずかしくて横を向く。

「どうしたのですか?」

 俺達の不審な行動を、何時ものように横で見ていたセラスが尋ねる。

「な、何でもありませんよ?!」

 俺とこころは同時に叫んだ。
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