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第2章
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飯が終わり、こころはセラスの髪型をツーサイドアップに結い始めた。もはや朝の儀式となってしまった感がある。
昨日は動けなくなったこころを背負って連れ帰ったりでバタバタしてたし、セラスも無表情を通り越して仮面でも被ってんじゃないかってくらいな感じで何も話さなかったのでつい俺も口を開けず、詳しいことは聞きそびれたままだ。
結局何だったのだろう、あの化け物は。それにそれをあっさり倒したセラスは何なんだろう。聞かなくてはいけないとは思うのだが、なんとなく何かが変わってしまいそうで怖くて、その後もついつい聞けないまま今になってしまった。
こころは自分の部屋に着替えに行き、教科書やらノートやら持って帰って来た。こちらもお互い口を聞けないままだが、やっぱり一人は怖いらしい。
今、こころは教科書を広げて勉強している。そうだよなあ、来週期末テストだもんなあ。でも、なんというか今の俺は集中できそうにない……
あぁ、あの感触がまだ手に残ったままだ……ああ、また腹の下が、むずむずと大変なことに……
俺はこの非常事態を悟られぬよう、何気な~く寝ころび、何気な~く体を丸めるようにして、危険箇所を隠匿する。
俺はそこで愕然とした。テストはともかく、正体不明の敵やそれに怯える女子のことより、初めて揉んだお、お、おぱぱ……の方が気になるのか?! 俺って最低だ……自分にがっかりした……もうだめだ。死んでしまいたい……
陰鬱な気分の俺は寝転がったまま、それでもついこころをちらっと見ると、こころもやっぱり集中できないのか、日本史の教科書をパラパラをめくっているだけだ。おいおい、そんな後半の方はテスト範囲じゃないぞ?
なんとなく、いや、こころを見ていたいという欲求に勝てずにそのまま気付かれないようにこっそり観察していると、ページをめくる手が、教科書のかなり後ろの方で止まった。
「ふうん……こっちは『世界』大戦だったんだ……」
「は?」
俺はつい声に出してしまった。こっちって何だよ。
「え? あ、何でもないよ?」
こころはなぜかびくっと反応して、教科書をぱたんと閉じた。
「そ、それより好一君は勉強しなくて良いの? 水曜日からテストだよ?」
「う、う~ん……」
だけど、やっぱりテスト勉強してる気分じゃないんだよな……このもやもやした感じは何なんだろう。正体不明の化け物への不安なのか、みっともない自分へのがっかり感なのか、それとも別の何かなのか……
こうなったら仕方がないと、俺はむくりと起き上った。
「ちょっと出かけてくる」
気分転換は必要だよな、ということで。
一人で少しだけ出かけるつもりだったが、結局三人で出ることになってしまった。でもまあ、それも当然か。セラスは無条件で俺に付いてくるし、こころも今一人になるのは嫌なんだろう。まあ、いいか。気分も変わればこころやセラスと話をしやすくなるかもしれんし。
まず三人でふらふらと本屋をぶらつく。いつものように、マンガとラノベのコーナーをちらっと見るが、新刊は無い。ゲームやアニメ系の雑誌コーナーも見るが、さすがに女子二人の前でエロゲー雑誌も買えず……とりあえず本屋を出る。三人でぞろぞろと……
まずい……会話が無い……セラスはいつもの通り無表情だが、いつもはハイテンションで何か喋ってるこころまで無言で、なんかもじもじしてるし……ど、どうした良いんだ、俺は?!
三人共無言のまま、人通りの少ない街を歩いていく。き、気まずい……
どうすることも出来ないまま、いつも寄るゲーセンが近付いてきた。どうしようもないこの状況を打破すべく、というか他に方法も思いつかないのでとりあえず入って少し遊ぶことにする。
二人をほっといてゲームに興じるのもなんだし、入口の辺りにごちゃごちゃとあるUFOキャッチャーをやる。取りやすそうなものを探して適当にやったら、ストラップになる小さいクマっぽいぬいぐるみが取れた。二つセットらしく、紐に上手く引っ掛かったのだ。女子用ぽかったので、紐を解いてこころとセラスにあげた。
こころは単純に喜んで可愛い~とか言ってたし、セラスも無表情ながらぬいぐるみをぎゅっと握ったり、紐を持って目の前でぶらぶらと揺らしているので喜んではいるのだろう。
ぬいぐるみのおかげで話しのきっかけができたので、休憩に自販機でコーヒーを買って飲みながら、三人で他愛も無い話をした。よかった、昨日までに戻ったみたいだ。肝心なことは聞けなかったが、まあしょうがないよな。
ちらりと時計を見ると、もう11時になっていた。この後の行動は相談の結果、早めの昼飯ということでハンバーガーでも食って、食料品を買って家に戻り、夜まで勉強をすることになった。二人との関係修復が成っても、一難去ってももう一難だ……うう、やだな……どうしてテストなんてあるんだろう?
昨日は動けなくなったこころを背負って連れ帰ったりでバタバタしてたし、セラスも無表情を通り越して仮面でも被ってんじゃないかってくらいな感じで何も話さなかったのでつい俺も口を開けず、詳しいことは聞きそびれたままだ。
結局何だったのだろう、あの化け物は。それにそれをあっさり倒したセラスは何なんだろう。聞かなくてはいけないとは思うのだが、なんとなく何かが変わってしまいそうで怖くて、その後もついつい聞けないまま今になってしまった。
こころは自分の部屋に着替えに行き、教科書やらノートやら持って帰って来た。こちらもお互い口を聞けないままだが、やっぱり一人は怖いらしい。
今、こころは教科書を広げて勉強している。そうだよなあ、来週期末テストだもんなあ。でも、なんというか今の俺は集中できそうにない……
あぁ、あの感触がまだ手に残ったままだ……ああ、また腹の下が、むずむずと大変なことに……
俺はこの非常事態を悟られぬよう、何気な~く寝ころび、何気な~く体を丸めるようにして、危険箇所を隠匿する。
俺はそこで愕然とした。テストはともかく、正体不明の敵やそれに怯える女子のことより、初めて揉んだお、お、おぱぱ……の方が気になるのか?! 俺って最低だ……自分にがっかりした……もうだめだ。死んでしまいたい……
陰鬱な気分の俺は寝転がったまま、それでもついこころをちらっと見ると、こころもやっぱり集中できないのか、日本史の教科書をパラパラをめくっているだけだ。おいおい、そんな後半の方はテスト範囲じゃないぞ?
なんとなく、いや、こころを見ていたいという欲求に勝てずにそのまま気付かれないようにこっそり観察していると、ページをめくる手が、教科書のかなり後ろの方で止まった。
「ふうん……こっちは『世界』大戦だったんだ……」
「は?」
俺はつい声に出してしまった。こっちって何だよ。
「え? あ、何でもないよ?」
こころはなぜかびくっと反応して、教科書をぱたんと閉じた。
「そ、それより好一君は勉強しなくて良いの? 水曜日からテストだよ?」
「う、う~ん……」
だけど、やっぱりテスト勉強してる気分じゃないんだよな……このもやもやした感じは何なんだろう。正体不明の化け物への不安なのか、みっともない自分へのがっかり感なのか、それとも別の何かなのか……
こうなったら仕方がないと、俺はむくりと起き上った。
「ちょっと出かけてくる」
気分転換は必要だよな、ということで。
一人で少しだけ出かけるつもりだったが、結局三人で出ることになってしまった。でもまあ、それも当然か。セラスは無条件で俺に付いてくるし、こころも今一人になるのは嫌なんだろう。まあ、いいか。気分も変わればこころやセラスと話をしやすくなるかもしれんし。
まず三人でふらふらと本屋をぶらつく。いつものように、マンガとラノベのコーナーをちらっと見るが、新刊は無い。ゲームやアニメ系の雑誌コーナーも見るが、さすがに女子二人の前でエロゲー雑誌も買えず……とりあえず本屋を出る。三人でぞろぞろと……
まずい……会話が無い……セラスはいつもの通り無表情だが、いつもはハイテンションで何か喋ってるこころまで無言で、なんかもじもじしてるし……ど、どうした良いんだ、俺は?!
三人共無言のまま、人通りの少ない街を歩いていく。き、気まずい……
どうすることも出来ないまま、いつも寄るゲーセンが近付いてきた。どうしようもないこの状況を打破すべく、というか他に方法も思いつかないのでとりあえず入って少し遊ぶことにする。
二人をほっといてゲームに興じるのもなんだし、入口の辺りにごちゃごちゃとあるUFOキャッチャーをやる。取りやすそうなものを探して適当にやったら、ストラップになる小さいクマっぽいぬいぐるみが取れた。二つセットらしく、紐に上手く引っ掛かったのだ。女子用ぽかったので、紐を解いてこころとセラスにあげた。
こころは単純に喜んで可愛い~とか言ってたし、セラスも無表情ながらぬいぐるみをぎゅっと握ったり、紐を持って目の前でぶらぶらと揺らしているので喜んではいるのだろう。
ぬいぐるみのおかげで話しのきっかけができたので、休憩に自販機でコーヒーを買って飲みながら、三人で他愛も無い話をした。よかった、昨日までに戻ったみたいだ。肝心なことは聞けなかったが、まあしょうがないよな。
ちらりと時計を見ると、もう11時になっていた。この後の行動は相談の結果、早めの昼飯ということでハンバーガーでも食って、食料品を買って家に戻り、夜まで勉強をすることになった。二人との関係修復が成っても、一難去ってももう一難だ……うう、やだな……どうしてテストなんてあるんだろう?
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