うちの居候は最強戦艦!

morikawa

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第3章

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 私は突然機能を停止してしまったセラスチウムから艦橋を分離させ、時空の断層へ飲み込まれてゆく船体から脱出を図った。だが、間に合わない。

 セラスチウムの攻撃が抉じ開けてしまった、時空の断層。それはまるでブラックホールのように、いや、巨大な怪物の口のように全てを飲み込もうとしている。私もセラスチウムも抗うこともできず、カルティ達と同じように次元の断層へ吸い込まれて行く。

 どうしてこんなことになってしまったのだろう。私の復讐をかなえられると思っていたのに。

 突然現れたヴァルミンという正体不明の機械群。奴らは私の大事な家族を奪った。

 それに飽き足らず、何度も何度も人類に対して無秩序な攻撃を繰り返して来る恐ろしい存在。

 でも天才カルティ・ベットの建造する戦艦だけが奴らに対抗することが出来た。だから私は全てを捨てて、彼女に協力したのに。

 でも結果はこれだ。対ヴァルミンの切り札を、セラスチウムと私はコントロールすることが出来なかった。

 地球を襲ったヴァルミンの艦隊は滅ぼしたけれども、カルティの艦隊もその暴走する力に巻き込まれて全滅だ。無数の艦船がバラバラに引き裂かれ、私達もろとも地獄への入り口とも思える深淵の闇に吸い込まれて行く……

 気付いた時、私は見知らぬ世界に一人、放り出されていた。

 ここは私の世界の過去に良く似ている。だけど確実に違う。

 ここは帝国ではない。別の歴史を歩んだ異なる世界だ。おそらく、平行宇宙、なのだろう。

 まさか机上の空論で実証など出来っこないと思っていた世界に自分が来てしまうとは。

 だが、そんなことはどうでもいい。役に立たない実証などどうでもいい。

 私はなんとしてもセラスチウムを探し出し、私の世界に戻らなくてはならない。何もかも失ってしまった私にはもう復讐しか残っていないのだから。
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