うちの居候は最強戦艦!

morikawa

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第3章

3-5

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 無事に部屋に戻り、冷めてしまったけど十分に美味い夕食を平らげ、勉強の残りもこころに教えてもらいながら何とか片づけ、俺はセラスが準備してくれた風呂に入った。とりあえず熱いシャワーを頭から浴びる。うわっ、あちこち痛い……

 それにしても今日はいろいろあったよな、と思い返す。サレナやカルティのこと、セラスのマスターになったこと……それに……俺はついあの二つの感触のことも思い出してしまった・・・体は正直なもので、こころ曰く使う当てのないみじめな俺の某器官が反応を始めてしまう。うごっ、まずいまずい。俺は誤魔化すように、シャンプーを手に取り、頭を洗い始めた。

 その時、風呂の古いガラスの引き戸が、がらがらと音を立てて開いた。

 な、なんだ? 俺が泡まみれの頭でそちらを見ると、セラスが居た。し、しかもは、は、はだか……?

 成長した中学生くらいのセラス。手足もすらりと伸び、以前見たときとは大違いだ。細い華奢な体つき、自己主張を始めた形の良い胸……ってまずいまずいまずいまずい!

 俺は慌てて眼をつぶり、一心不乱に泡まみれの頭をがしがしとやり、頭を洗うことに専念することで、今見てしまったものを流そうとした。ま、まずいですよやばいですよ、どういうことよ、ど、どうしたらいいのよ、俺~!

「コーイチ、私も一緒に入ります」

 一瞬の間のあと、俺が声を掛けないせいか、セラスは自分からそんなことを言った。

「な、なぜでしょうか? セラスさん?!」

 俺は慌てて尋ねる。いや、まあ、正直に言えば、二人で暮らしてた時に、セラスが背中を流しますとか言って入ってきたことはあった。だが、あの時はメイド服着用だったし。な、なんでいきなり裸なんだ!?

「そうですね、なぜでしょう。私も良く分かりません。ただ、見たいような、見せたいような、もっとコーイチと近付きたいような……なんなのでしょう、この思考、考え、行動・・・気持ちは」

 な、なんだ? またおかしくなったのか? そう思って泡の中からちらりとセラスを見るが、今はそんな感じではない。それより、ちょっと顔を赤らめている様子は、宇宙戦艦だと主張していた無表情なころと比べ、本当に普通の女子のような、可愛さがあった。

「ちょ、ちょ、ちょっと! それはだめだよ、反則だよ~!?」

 俺が茫然とセラスを見ていると、突然大声を上げながらこころが現れ、セラスを羽交い絞めにした。

「ず、ずるいよ、その手は!? じゃなくて、女の子は好きな人相手だっていきなりそれをやっちゃだめなの~!」

 こころはそう叫びながら、ずるずるとセラスを引きずり、風呂場から出て行く。た、助かった……だがふと下を見ると、俺のこころ曰く以下略は困ったことになっていた……

 こう、なんだ、悶々とした何かを抱えたまま、俺が風呂から出ると、セラスは正座で、こころに説教されていた。

 ううぅ……なんだかよく分からんが、女子としての教育はお前に任せた、こころ母さんよ……とりあえず俺は布団を敷くことにする。セラスは寝ないだろうが、とりあえず三つ敷く。そして俺は窓側の端っこへ……お休みなさい、大変だった今日の日よ、さようなら……俺は眠りに落ちた……

 と、思ったら引き戻されました。何かが俺の布団の中に入ってきたらですよ。しかも乱暴に。ええ、がばっと。

「コーイチ、一緒に寝ます」

 侵入者はそう言って、俺に柔らかい体を押し付けて来た。セラス!? おま、何を!?

「そ、それも反則だよ~!?」

 後ろでこころが怒鳴る。ぴたっとくっついてきたセラスの体はほかほかと暖かい。ふ、風呂にでも入った後なのか? 今まで入ったことなかったくせに! こころを見るとドライヤーを持ったままだ。電源コードをずるずると引きずっている。こころの髪もしっとりと濡れた感じだ。

 ふ、風呂上がり? いや、昨日までもあったけどさ、こころが風呂から出て来た時ってのは。でもこんな無防備な感じではなかったのですよ!

 二人は俺の傍できゃあきゃあと何か言い合いをはじめた。なんか良い香りのする美少女二人に囲まれてしまっている。

 うごっ、ま、まずいですよ?! 薄いパジャマ姿の美少女二人、しかもむ、胸を固定する何かを付けていませんね、二人とも? ゆさゆさととても素敵な感じに揺れてらっしゃるのですけど? こ、このままでは以下略が困ったことに……!?

 結局、散々揉めた揚句、俺が真ん中に寝て、窓側はセラス、キッチン側はこころということになった。これはどういう状況なのですか? まずすぎです……

 俺はどうにも寝付けなくて、ちらりと横を見た。こころは寝付きが良いので、あれだけ騒いでいたくせに、もうすうすうと寝息を立てている。まあ、そうだよな。今日はいろいろあったもんな。

 って……寝ているこころを見ると、なんというか、あれだ。本当に黙ってると結構な美少女だよな。か、可愛い……寝顔はあどけないって言うけど、ほんとに無垢な感じのこころの顔……可憐な顔立ち、結構しっかりとした眉毛、すっと通った鼻筋、そしてふっくらとした唇……まずいまずいまずい! 俺はついその唇に自分のを近付けたくなるような強い欲求に身を任せそうになって、あわてて寝返りをうって、反対側を向いた。いや……今のは危険だった……心臓がばくばくと鼓動してやがる……

 と、反対側では、めずらしく、というか初めて布団に入ったセラスが、じっとこちらを見ていた。目が合う。

 すると、セラスは恥ずかしそうに布団に顔を隠すように埋め、それから目までひょこっと出すと、顔を赤らめて、それから俺を見た。

 ……まずいです、こちらも可愛いです。な、なんだよ、俺! ああ、可愛い彼女が出来ればな~絶対一生大事にするのにとか思ってたくせに、二人の女子を同時に、可愛い、可愛くてたまらん、はっきり言って二人とも好きだとか思ってやがる! さ、最低だ、俺! 史上最低だ! このくそ野郎め! 死んだ方が良いぞ!

 ……いや、別に付き合ってるとか浮気とかしたわけじゃないんだが! 本当に二人が俺のこと好きとか決まった訳じゃないし! いや、これは言い訳なのか、そうなのか!?

 俺はどうしようもなくなって、セラスからも顔を背けて、仰向けに体勢を変え、天井を睨んだ。こ、こういう時はどうすれば良いんだ!? 天井のシミを数えるのか!? いや、激しく違う気がするが、俺は他にどうする事も出来なくて、とりあえずシミを数え始めた……一つ、二つ、三つ……

 かなり数えたころ、布団の中に、そろそろっと何か入ってきて、俺はびくっとした。な、何かと思ったら、手、だった。セラスの手。ちょっと冷たくて、か細い、セラスの手。すっと俺の手に寄ってきて、ちょっと指先を絡めて来た。横のセラスを見ると、もじもじと、なんだか気まずそうに、恥ずかしそうにしている。ああ、何だよもう、可愛いな?! ちくしょう!

 俺は倫理的な悩みはとりあえずあっちに置いといて、手くらいいいだろうとその手を握った。セラスはちょっとびくっとして、それから俺の手を握り返して来た。またセラスを見ると、なんだかすごく嬉しそうだ。……仕方ない、このまま寝るか。

 それにしても、なんというか、セラスは急に感情が豊かというか、行動的になったよな。成長が早いので、そういったコントロールがうまく行ってないのだろうか。あと、このストレートな好意は、おやじや兄貴に対するようなものなのだろうか、それとも……

 そんなことを考えていたら、まったくドキドキして眠れなかったけど、恥ずかしくてセラスやこころの方を向くこともできず、俺は仰向けのまま、じっとしていた。
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