うちの居候は最強戦艦!

morikawa

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第4章

4-3

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 カーテンの隙間から差し込む朝日で、俺はなんとなく目を覚ました。

 ・・・あれは夢だったのか? そうだと良いな! 俺はささやかな希望を抱きながら、体を起こす。

 セラスも、こころももう起きているようだ。布団には居ないし、キッチンから調理をする音が聞こえてくる。俺はできるだけ音を立てないように布団から抜け出し、セラスのようにそっと引き戸を開ける・・・

「あ、おはようございます、コーイチ」

 テーブルに皿を並べていたセラスがすぐに俺に気付いて微笑む。

「ふ~んだ!」

 だが、鍋を掻き混ぜていたこころは俺をちらっと見ると、そんなことを言って顔を背けた。だめでした。やはりあれは現実だったようです・・・

 セラスに促されて、おれはしょぼんと食卓に付いた。すると、こころがむすっとした顔のままお盆を持ってこちらへ来る。そして、俺の前にドンと味噌汁のお椀を置く。

「ま、事情はセラスちゃんから聞いたけど。次、あんなことセラスちゃんにさせたら打っちゃうからね?」

 こころはむすっとした顔のままそんなことを言い、軽く腰を揺する。

 すると、淡いブルーの短いスカートが半分はふわりと揺れ、残り半分は何かの重みでこころのウエストと太ももをずるりと滑る。そして、滑った側のスカートから、そのポケットに入っている緑色の重量感のある何かが少し顔を覗かせた。

 う、うがっ? つ、次、俺、射殺?! わ、わざとではないのです、こころ様。けっしてわざとでは・・・

 俺はぶるぶると震えながら、そう連呼してしまいました。こころはくすっと笑いながら、エプロンを外した。

「そうですか。では許してあげましょう」

 こころはエプロンの下に制服ではなくピンクの袖口やウエストに小さなフリルの付いたシャツを着ていた。それを見て、ああ、そう言えば今日は休みだったな、と思いだした。

 育子さんに襲われてから数日。あれから彼女は俺達の前に現れない。セラスは警戒して常にでかい機銃をにょっきりと空間から生やした状態で待機している。

 周囲(主に俺)がビビるからやめて欲しいのだが、これについては言うことを聞かない。ちなみに、家の中でもそんな状態だ。というか外よりひどい。玄関の戸や窓等の侵入口へ向けて、無数の機銃が銃口を向けている状態だ。今もあるぞ? 部屋中に・・・な、なんて物騒な光景なんだ・・・

「いただきます」

 全員食卓につくと、こころはそう言って手を合わせた。いつもこころはそうやってから飯を食う。おばあちゃんかお前は、とも思うのだが、最近は俺もつられてやっている。

 セラスが全部やった時はともかく、自分も作ったなら良いんじゃないか? と言ったら、作ってくれた人や、食べ物になってくれた存在にお礼を言うんだよと教えられた。ますますばあちゃんっぽい。まあ、確かに、正論だけど。

 こころは、育子さんに言わせると、別の宇宙からきた人らしい。別にそうだからって俺にとってはこころはこころだし。どうってことは無いのだが、何か問題を抱えているのなら、俺にできることなら力になってやりたい。とは言っても何もできやしないのだが。情けないことに。

 俺がそんなことを考えながら黙々と朝飯を頂いていると、突然セラスが部屋中の機銃をドアの方へ向けた。俺とこころははっとなって、身構える。銃口が動く小さな駆動音が、静まり返った室内に響く。

 そしてぴんぽーんと玄関のチャイムが鳴った。俺はびくっとする。

「私達だ。ぶっそうなものは向けるな。それともやる気か?」

 ドアの向こうから聞いたことのある声がする。

「こんにちは~どう、元気にしてる~?」

 またしても聞いたことのある声。そして声の主はドアを無遠慮に開けて入ってくる。カルティとサレナだ。

「やけに警戒厳重だな。お前もラナを捕捉したのか?」

 サレナは吐き出し窓から洗濯かごを抱えて室内に戻ってきたセラスを見て言う。セラスはそれを聞いて、ぴたっと止まった。

「いえ・・・一瞬空間の揺らぎを検知しましたが、詳細は掴めませんでした」

「そうか。だが、あれは間違いない。ラナだ。探したのだが、見つからなかった。何度も通信を送っているのだが返事も無い」

「それで何か知ってるかなと思って来てみたのよ~」

 真剣な顔つきのサレナと正反対に、緊張感の無い口調でカルティは続ける。

「ラナに気付いたわけじゃないのに、やけに物々しいわね~他に何かあった~?」

「・・・育子に会いました」

「ほう・・・? それでどうした」

 少し顔つきを険しくして、サレナが尋ねる。

「私のマスターはコーイチです。それにもう私は戦いたくありませんから・・・帰ってもらいました」

「ふん、この状況下でまだそんなことを言っているのか」

 サレナはセラスを睨みつける。セラスは一瞬ひるむが、それでもサレナをじっと見つめ返す。

「でも良かったわ~コウイチ君、マスターになってくれたのね? ありがとう~」

 カルティは睨み合う娘達に気を止めず、俺の方に寄って来て、俺を軽く抱きしめた。おぉ・・・なんというか育子さんと違う少し甘い感じの、大人っぽいの香り。し、しかも胸でかっ。でかくて底なしに柔らかいものが俺の顔に当たる・・・な、なんなんだ、同じ年くらいの美少女なのに、この色気と感触は?!

 その時、凄まじい殺気を俺は背後に感じた。こころが怖い顔をして俺を見てる、というか凝視している。こ、こころさん、これはカルティがやったことで、お、俺の意志では無いのですよ? でもそんな言い訳聞いてもらえそうになかったので、俺はカルティから逃げるように離れる。

「それじゃあ、詳しい話しを聞かせてもらえるかしら~?」

カルティはそんな俺達を見てくすくすと笑いながら言った。

「あらあら、まさかとなりに住んでたなんてね~」

 俺達の説明を聞いたカルティは、セラスの淹れたお茶をすすりながら笑う。

「笑い事じゃねえよ?!」

 俺は殺されかかったんだぞ?! まったく!

「あらあら、ごめんなさいね~この前ようやく会えたのに、調査をしたいからすぐには帰らないって言ったら、あの子怒って飛び出しちゃったのよ。連絡先も教えずにね。まさかそんなことする程焦ってるとは思わなくて。ホントはもっと冷静な子なのにね~」

 子って。どう見ても育子さんの方が年上じゃん。

「怒って飛び出したというレベルじゃなかっただろう・・・」

 げんなりとした様子でサレナが呟く。

「何したんだよ?」

「銃を乱射した」

 俺の質問にぐったりとした声で返答をよこすサレナ。

「あいつは科学者だが、軍の正規訓練を受けたパイロットでもある。格闘戦もわりとやるので、取り押さえようとしたが逃げられた。お前達はよく無事だったな」

 サレナの言葉に俺とこころは苦笑いする。まあ、子供だと思って油断してたんだろうし、本気で殺すつもりじゃなかったってことか。

「まあ、こんな状況に陥ったわけだ。気持ちが分らんわけではないが・・・そこまで焦っているならもう手段を選ばない可能性があるな。その後は戻ってきていないのだな?」

「ああ」

 サレナの質問に俺は頷く。

「あ、でもそれなら丁度良いわ~さすがにもう隣には帰ってこられないでしょうから、貰っちゃおうかしら~」

 貰っちゃうって。所詮貸家だぞ?

「カルティさん達はどこに住んでいるんですか?」

 こころが尋ねる。

「空家を有効活用させてもらっている」

 サレナが外を見ながらぼそっと答えた。有効利用って・・・勝手に使ってるだけだろ・・・犯罪じゃあ・・・まあサレナはバイトとかしてたし、この宇宙に来て大変なのだとは思うが・・・

「そうなのよ~、ご近所にばれそうになると移転しなくちゃいけないし、結構めんどくさいのよね~」

 のほほほ~んとカルティは言う。その割には緊張感というか切迫感が無いな・・・意外と逞しいのか、このお姉さんは。

「それにしても良くここが分かったな?」

 以前会った時、また連絡するとは言われたが、連絡先とか教えてなかったし。

「ああ、お前の持っている携帯電話の電波を拾った」

 サレナは事もなげに答えた。

「そんなこと出来るのか? じゃあ育子さんとかラナの居場所はなんで分からないんだ?」

「ラナは無理だ。もともと我々はステルス性が高いし、船体を別空間に隠されてしまっては手も足も出ない。この人型の中枢体も基本は普通の人間と変わらないから探知は難しい。私の船体を上空に出して光学探索を行えば可能だが・・・」

 それじゃあ騒ぎになるよな。サレナの船体を見たことは無いけど、多分セラスと同じくらいの大きさがあるんだろ? この間のセラスはラッキーなことに問題が起きてないけど、巨大な戦艦がぷかぷかと長時間空に浮かんでたら町はパニックだ。

「育子はお前と同じことをやれば良いのだが、それが可能ならもうセラスがやっているだろう」

 サレナはちらりとセラスを見る。セラスは首を振った。

「逃走の後、すぐに電子機器の類は電源を切っているようです」

 はあ、打つ手はないってことか。

「それにね、ラナのことが心配なのよね~」

 そのわりにはぽわんとした様子のまま、カルティは言った。

「そうだ。あいつは生意気なくせに寂しがり屋だ。そんなあいつが、私達の居場所が分かるくせに出てこないのはおかしい・・・」

 カルティの言葉を受けて、サレナがそう言った時だ。

「さすが、妹のことは良く分かっているわね?」

 庭から声が聞きなれた声がした。

「育子さん!?」

 こころはそう言いながらポケットに素早く手を突っ込む。セラスは無言のまま、機関砲を声の方に向ける。そしてサレナもカルティをかばう様に身構えた。当のカルティはのんびりとお茶をすすっているが。

「あら、皆さんお揃いで」

 育子さんが冷たい笑みを浮かべながら、姿を現す。

「なんだ、結局諦めて戻ってきたのか?」

 サレナが警戒したまま尋ねる。

「私は提案に来たのよ、カルティ」

 育子さんは冷笑したままカルティに顔を向ける。

「何?」

 カルティはあいかわらずのほほんと、お茶を手に持ったまま、育子さんの方を向かずに答える。

「私に協力してくれない? 貴女が残りたいというのならもう反対はしないわ。でも、私はどうしても私達の宇宙へ帰りたいの。今なら私達の通ってきた時空の断層が残っているはずだわ」

 カルティはゆっくりとお茶をすすってから微笑む。

「その提案、可能性はあるにはあるけど、並行宇宙は無限にあるのよ? 同じ断層を通ったからと言ってもとの宇宙へ行けるとは限らないわ~現に私達がこの世界に到着するのにも大分時間差があったし」

「だからと言って、こんなところでずっとお茶でもすすってるつもり?!」

「あなたはどうしてそんなに急いで帰りたいの~?」

「帰りたいわよ! 私はあいつらを、あいつらを! 皆殺しにしてやりたいのよ! すべて破壊してやらないと気が済まないのよ!」

 育子さんは怒鳴った。冷笑していた顔はいつの間にか紅潮し、怒気を孕んだものに変わっていた。

「私は、私は、あの人を殺したあいつらが存在していることが、耐えられないのよ!」

「落ち着きなさい、育子」

 カルティは微笑みを消し、冷静な顔でグロースさんの方を向いた。

「この世界にもヴァルミンは居るわ」

「・・・そう? 並行宇宙なんだから、居るかもね。だけどよその宇宙のことになんか責任持てないわ! 関係ないじゃない!」

「関係あるわよ~?」

「は? いつからそんな博愛主義者になったの!? この偽善者!」

「落ち着きなさい。あなたは冷静さを失っているわね~普段なら一言で察したのに。私はサレナが破壊したこの宇宙のヴァルミンを調べたわ。そしたら組織構成もプログラムも、100%、まったく同じだった」

「!?」

 育子さんがはっとした顔をする。どういうことだ? 後ろのこころとセラスを見ると、セラスも驚いた顔をしている。こころは何故だろうか、何か迷っているような表情を浮かべ、その後は下を向いてしまった。

「この宇宙で調べることはいろいろあるわ。元の宇宙に戻る方法も検討中よ。だから私の下に戻って来なさい。機材も人手も足りないのよ~」

 カルティはほわっとした表情に戻ってそう続けた。

「あら、寛大ね? 私を許すって言うの?」

「えぇ。今なら軽いお仕置きで許してあげるわ~?」

 にやっと、いや、どす黒い何かを発する笑みを、カルティは浮かべた。う、うわ? なんか怖えぇ? 育子さんもびくっと後ずさるし。

「ど、どのくらいかかるの?」

 紅潮していた顔を青ざめさせながら育子さんは尋ねる。そ、そんなにカルティって怖いのか? おっとりとした美少女にしか見えないが・・・

「さあ? 超天才の私でもそればっかりは。一か月かもしれないし、数年かもしれない。だって設備も機械も無いんだもの~」

 カルティは黒いオーラを霧散させ、またぽわっとした感じに戻って答える。
「そんなに待てないわ!」

 育子さんはまた顔を紅潮させて怒鳴った。そして俺の方を向く。

「花咲君? この間は悪かったわ」

 育子さんはいつもの優しい笑顔で微笑む。

「本当にごめんなさい。私はどうしても元の宇宙に帰りたいだけなの。脅すだけで本当に打つつもりは無かったわ。だから許してちょうだい」

「は、はい・・・」

 うう、やはりきれいなお姉さんに微笑まれると、俺は弱いな~。と、殺気を感じて振り向くと、こころが怖い顔をしながら、ポケットに突っ込んだ手で何かカチャカチャいじっている。セラスもなんだかむすっとした顔をして、育子さんに向けていた機関砲の一つをすっと俺に向ける。ふ、二人とも、こ、怖いです! 殺さないで下さい! お願いだから・・・

「セラスチウムのことは諦める。あなた達には手を出さないわ。だから協力してちょうだい」

「な、何をですか?」

 俺は背後からの殺気に心底怯えながら答える。

「セラスチウムの主砲でもう一度空間を抉じ開けて欲しいの。そうすれば私は元の宇宙へ戻れる。あなた達は私を警戒せずに今まで通り暮らせるわ。どう?」

 まあ、確かに、悪い話しでは無いよな。育子さんもそんなに帰りたいならお隣のよしみで出来る手伝いくらいはしたいし。

「やめておけ」

 俺の横に居たサレナがちらりと育子さんを見ながら言う。

「セラスの力で下手に時空の断層を開けば、お前達もどうなるか分からんぞ。次元の歪みが生む力は強大だからな。おまけに大きく揺らいだ不安定な断層をもう一度抉じ開けようというのだ、危険すぎる。下手をすれば育子と一緒に吸い込まれるぞ、どことも分からん別の宇宙にな。最悪、この宇宙に何らかの影響を与えてしまう可能性もある」

「そうそう。私の調査と研究が終わるまで待ちなさい~」

 カルティもそう言って反対した。

 うう? どうしよう。俺には難しくて分からん。危険がないのならいくらでも手伝うのだが・・・セラスとこころを見ると、こころは黙ってそっぽを向いている。セラスは俺を見てこくこくと頷きながら、

『ここは母達の意見に従った方が良いでしょう。分からないこと、不確かなことが多すぎます』

 と、俺の脳に直接言葉を伝えて来た。・・・そうか、確かにそうだよな。セラスに危険なことはさせたくないし、あまり無茶をすれば育子さんも無事では済まなそうだ。

「すみません、育子さん。俺達も少し様子を見たいと思います」

 俺はすまないと思いながらそう伝えた。

「そう・・・」

 育子さんは悲しそうな顔をして、うなだれる。うぅ、悪いことをしてしまっ
ただろうか、仕方ないにしても。だが、育子さんは、

「じゃあ、仕方がないわよね」

 また冷たい笑みを浮かべながら顔を上げた。そして、

「ごめんなさいね、誰も助けてくれないんじゃ、こうするしかないもの」

 と言った。反射的にセラスは俺をかばう様に立ち塞がり、サレナもカルティを守ろうと身構える。

「ラナンキュラス!」

 育子さんが叫ぶ。すると、轟音。金属を打ち破り、木を圧し折る凄まじい音を立てて、何かが天井から落ちてくる! 部屋中にもうもうと粉塵が舞う。

「きゃあぁ!?」

 煙のような粉塵の中で、こころが悲鳴を上げた。良く見えないが、落ちて来た何かがこころにまとわりつくように蠢いている。

「こころ!」

 俺はこころを呼びながら、粉塵の中に飛び込んだ。天井に出来た大きな穴から、黄色く薄い、こころの肩幅くらいの金属の板のようなものが、まるでムチかヘビのようにうねり、こころに巻きついている! こ、こいつがさっき天井落ちて来たやつの正体か?! いや、天井の穴から日が差し込み、粉塵を輝かせている。屋根と2階を突き破ったってことか。って空から伸びて来たのか?

「ナノ・ホイル? ラナ、やめろ!」

 サレナが叫ぶが、ナノ・ホイルと呼ばれた金属の板は動きを止めない。

「こころ!」

 俺は駆け寄り、こころに巻き付いたナノ・ホイルを掴む。だが、こいつ薄いくせに堅い。俺が力いっぱい引っ張ってもびくともしない。

 セラスが機関砲を打つ。狙いは違わず、ナノ・ホイルに何発も命中する。ガシンガシンと鈍い音を立ててナノ・ホイルは大きく陥没し、巨大な弾頭が落下してズシンズシンと激しく畳を揺らす。だが、ナノ・ホイルを断ち切ることは出来ない。ナノ・ホイルは俺を跳ね飛ばし、捕えたこころを軽々と持ち上げる。そして、まるで自分の巣穴に獲物を引きずりこむように、天井の穴へと姿を消した。

「こころ!」

 俺は慌てて起き上り、それを追う。だが、もうナノ・ホイルもこころも姿を消していた。穴の向こうに見えるのは青い空だけだ。

「育子! ラナに何をした!」

 サレナが怒鳴る。俺が庭を見ると、育子さんは屋根程の高さに出来た空間の歪みから伸びたナノ・ホイルに乗って引き上げられている最中だった。

「別に? 寂しくて泣いていたからマスターになってあげただけよ? 感謝して頂戴?」

 育子さんはサレナへ冷笑しながら答える。そして俺に向かって、

「春花さんを助けたかったら、私を追って来なさい。私のお願いを聞いてくれたら、無事に帰してあげるわ」

 と、挑発するようにくすりと微笑んだ。そして、育子さんの姿は歪みの中へ消える。俺は茫然とそれを見送るだけだった。この突然の出来事に対する怒りと、自分の無力さにどうしようもなくて、

「うあああああっ」

 ただ、意味の無い叫び声を上げて、やつあたりに思いっきり壁を叩いた。

「ごめんなさい、コーイチ。私はこころを守れませんでした・・・」

 セラスが俯きながら、俺に謝る。

「お前のせいじゃないよ・・・」

 俺はセラスの頭を撫でた。ちくしょう、俺はなんて情けないんだ。気になる女子一人守ってやることもできないなんて・・・
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