俺の命が尽きるまで

ガソリンの猫

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覚えている

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覚えている
家が焼けるにおいを

覚えている
腕が焼ける痛みを

覚えている
父と母の愛情を

覚えている
父と母が撃ち殺されたことを

覚えている
大切なものが奪われる悲しみを

覚えている
父と母を撃ち殺した白装束の少女を

覚えている
死の怖さを

覚えている




自分の死体を

「うああああああああああああああああああああああ!!!!」
恐怖が体を動かす
その死体から、記憶から逃げようとして

俺は、ベッドから転げ落ちた。

頭を床にぶつけた鈍い痛みで我に返る。
「ゆ..め」

心臓が壊れてしまうのかというほど鼓動し、汗をびっしょり書いているのに気づく
「また..か」
このどころ、このフラッシュバックが続いている。
医者に言っても、どうしようもないとさじを投げられ、できるだけ思い出さないようにしているが、なぜか眠ると思い出してしまうのだ。
なぜか、それは
「明日が、怖い..」
きっと自分は、明日、あの地獄が再び現実になるのではないかと、心の奥底でずっとおびえているのだ。

左腕を見る
否、見ているのは、左腕があった場所だ。
あの日、左腕は焼き切れた。
ずるりと肌がずる向け、ちぎれた。

だから、そこにあるのは機械の腕。
痛みを感じない人口の異物だ。
「シャワーを浴びよう」
そこで俺は考えるのを止めた。
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